頸動脈エコー検査
頸動脈エコー検査とは?
頸動脈エコー検査とは、皮膚表面から頸動脈に超音波を当て、頸動脈から跳ね返った超音波を画像に処理して確認する検査です。その場で画像に処理できるため、リアルタイムで頸動脈の状態を知ることができます。必要に応じて、モニターの画像を写真として残します。頸動脈超音波検査とも呼ばれています。
頸動脈エコー検査の目的
頸動脈は頸部の左右にある太い動脈で、脳に血液を送る重要な血管です。頸動脈エコーは、頸動脈に動脈硬化がないかどうかを確認する目的をもっています。動脈硬化とは、血管が弾力を失って固くなったり、血管内にプラークが沈着して血管内が狭くなったりすることを言います。動脈硬化になると血液が流れにくくなるため、脳梗塞や狭心症などになりやすくなってしまいます。頸動脈エコーは動脈硬化の指標となる検査で、とくに脳梗塞の予防には欠かせません。高脂血症、高血圧、糖尿病などがあると動脈硬化になりやすいため、頸動脈エコー検査を行うこともあります。
頸動脈エコー検査で見つけられる病気
頸動脈エコー検査をすることで、次のような病気の診断に役立てることができます。
●動脈硬化
●頸動脈狭窄症 など
頸動脈エコー検査の結果の見方
頸動脈エコー検査では頸動脈の様子がモニター画面に映し出されるため、技術者(基本的に医師)がそれを見て診断に役立てます。エコー検査は濃淡のある白黒で表され、位置、大きさ、形状などを知ることができます。血管が狭くなっていたり、プラークがあったりすると画像に映し出されます。画像は写真にして残すことができるので、検査後にその写真を見ながら結果を聞くことができます。
頸動脈エコー検査の長所/短所
頸動脈エコーの長所は、受診者の負担が少ないところです。検査は皮膚の表面にプローブ(探触子)を軽く押し当てるだけで、検査時間は10~20分程です。レントゲンなどと違って被爆しないため、妊婦や子どもでも安心して受けることができます。頸動脈は皮膚表面に近いところにあるため、検査がしやすいのも長所の一つです。リアルタイムで頸動脈の状態を確認することができるため、病変の早期発見につながります。
頸動脈エコーの短所は、ゼリーを肌につけないといけないところです。ゼリーの感触が少し気持ち悪いと感じることもありますが、検査後にはしっかりと拭き取ってもらえます。頸動脈エコー検査で病変を発見するには技術者(医師や臨床検査技師)の技量が必要になるため、信頼できる技術者を選ぶことも大切です。
頸動脈エコー検査の流れ
頸動脈エコー検査の流れは以下のようになっています。
1.検査用ベッドに仰向けに横になる。
2.頸部を露出する。
3.右頸動脈を検査する場合は顔を左に、左頸動脈を検査する場合は顔を右に向ける。
4.頸部にゼリーをつける。
5.画像を見やすくするために、室内の照明を少し暗くする。
6.画像を見ながら、頸部の皮膚表面にプローブ(探触子)を軽く押し当てる。
7.ゼリーを拭き取って終了する。
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)