上腹部MRI検査
上腹部MRI検査とは?
上腹部MRI検査とは、MRI装置を利用し、上腹部にある臓器を重点的に検査する画像検査です。上腹部にある臓器とは、肝臓・胆のう・膵臓・腎臓・脾臓・副腎・リンパ節です。
MRIとはMagnetic Resonance Imagingの略で、日本語では磁気共鳴画像撮影法と呼ばれています。強力な磁力や電磁波を利用して、体内の輪切り画像を取得することができる検査で、小さな病変でも見つかりやすい検査と言われています。
上腹部MRI検査の目的
上腹部MRI検査は、上腹部にある臓器の形状、がんやポリープ、結石などの有無を確認することを目的としています。
上腹部に含まれている臓器のなかには、病気であっても症状が出にくいものがあります。なかでも膵臓は“沈黙の臓器”と呼ばれるほどで、末期状態になるまでほとんど症状らしい症状がないままということもよくあります。そのため膵臓がんはがんの中でもとくに早期発見率が低く、見つかったときには手遅れというケースも少なくありません。
このような自覚症状の少ない病気を早期発見するために、上腹部MRI検査が行われます。
上腹部MRI検査で見つけられる病気
上腹部MRI検査は、下記の病気の診断に役立ちます。
●膵臓がん
●肝臓がん
●胆道がん
●胆嚢炎
●慢性肝炎 など
上腹部MRI検査結果の見方
上腹部MRI検査では、MRIを利用して上腹部の輪切り画像を取得します。取得した画像内に異常な影がないかなど、詳細な情報について専門医が判断します
上腹部MRI検査の長所/短所
MRI検査は、放射線を使用しないため、CTやレントゲンと比べて被曝しないというメリットがあります。横になっているだけで検査することができますので、身体的負担の少ない検査でもあります。
一方、MRI機器を使用した検査であるため、検査中は狭い機械の中で30分程度動かずにいることが必要となり、閉所恐怖症の人や、長時間動かずにいることに耐えられない人には向きません。
また、磁気を利用して撮影する検査方法のため、金属を身につけていると強大な磁力に引き寄せられ、重大な事故に発展したり、検査機械の故障につながったりする恐れがあります。そのため、検査の際には身につけている金属類をすべて外すことが必要です。過去の治療などで体内に金属を埋め込んでいる場合、素材や部位によっては検査ができない可能性もあるので、事前に担当医に申告する必要があります。
上腹部MRI検査の流れ
上腹部MRI検査の流れは、以下の通りです。
1.検査前に金属類を外す
2.検査台に仰向けになる
3.そのまま検査が終わるまで動かないで30分程度待機する
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)