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この検査は何のための検査?

ASO

ASOとは?

血液検査におけるASO検査は、血液中のASO の量を調べる検査です。

ASOとは、抗ストレプトリジンO抗体といい、β型溶血性連鎖球菌がつくりだす毒素を中和する働きがある抗体です。溶血性連鎖球菌は、扁桃炎やしょう紅熱を起こしたり、感染後ある程度の時間がたつと急性糸球体腎炎やリウマチ熱を起こしたりする菌であり、その中でもA群,C群,G群が産生する代表的な菌体外産生物質がストレプトリジンです。これらの菌に感染することで、ASOが体内につくられます。

ASOを調べる目的

ASO検査の目的は、溶血性連鎖球菌に感染しているかどうかを確認することです。一般的に溶血製連鎖球菌感染後1週間ころよりASOは上昇し始め、3~5週間目にピークに達します。そして、感染から2ヶ月後よりASOが下降し始め、おおよそ感染から2~3ヶ月で感染前の抗体に戻るとされています。そのため、ASOは継続的な観察が必要な値であると言われています。

また、リウマチ熱や急性糸球体腎炎のような、溶連菌感染に伴う二次的な合併症の場合、特に成人では、ASOなどの血液検査でなければ溶血性連鎖球菌が原因かどうかを確定することができません。 

ASOの血液検査で見つけられる病気

ASOを調べることで見つけられる病気はA群、C群、G群のβ型溶血性連鎖球菌感染症です。具体的には以下のような病気があります。

【ASO検査の値が高い場合】

 ●溶血性連鎖球菌感染による咽頭炎や扁桃炎などの上気道感染症
 ●皮膚感染症(伝染性膿痂疹、いわゆる「とびひ」)
 ●急性リウマチ熱
 ●急性糸球体腎炎
 ●猩紅熱
 ●滲出性喉頭炎
 ●アナフィラクトイド紫斑病

【ASO検査の値が低い場合】

 ●低(無)ガンマグロブリン血症

ほかにも、以下の状態あるいは病気の場合は、非特異的に反応してASO検査の値が上昇することがあります。
 ●血清の汚染
 ●多発性骨髄腫
 ●肝炎
 ●ネフローゼ
 ●高コレステロール血症
 ●大葉性肺炎
など

ASOの結果数値の見方

ASO検査の基準値は、250IU/ml以下です(大阪大学医学部附属病院より)。

ただし、ASO検査の基準値は全国共通とはなっていないため実際に検査を行う施設などにより基準値が異なります。

リウマチ熱患者のおよそ8割は、ASO検査の値が有意の上昇を認めるとされます。しかし、溶血性連鎖球菌に感染していたとしても早期に抗生物質投与をするなど治療を受けていた場合にはASOが産生されないまま経過し、ASO値が高くならないこともあります。

ASOの血液検査の長所/短所

ASO検査の長所は、溶血性連鎖球菌の感染により起こり得る疾患、たとえば急性糸球体腎炎やリウマチ熱などの確定診断につながる可能性があるということです。適当なタイミングで検査ができれば、早期に治療計画を立てられ、治療を受けることができます。

一方で、溶血性連鎖球菌に感染をしていても症状が出てこない、いわゆる保菌者の場合には、ASO検査の値は上昇しません。さらにASOは急性期と回復期の2回調べる(ペア血清)ことが重要であり、不適当なタイミングで1回検査をしただけで確定診断とすることはできません。

検査結果が出るまでの時間は検査を行う医療施設によって変わりますが、ASO検査は採血から概ね2~4日程度で結果を確認できます。

ASOは採血による血液検査となりますが、人によっては採血の際に注射針による痛みや、ストレスを感じる人もいるかもしれません。採血のときに冷や汗や吐き気を感じたり、血圧低下、顔面蒼白がみられたりした場合は、副交感神経の緊張で起こる「迷走神経反射」が原因と考えられます。

また、採血で使用する物品に対するアレルギー反応を起こすことがあります。とくに、感染予防で使用するアルコール綿には、アルコールが含まれています。アレルギーが心配な人はあらかじめ、採血を担当する医療スタッフに伝えておきましょう。

また、注射針の先が神経に触れると、神経障害が生じる可能性もあります。針を刺したときにピリッとした刺激を感じたときは、我慢をせずに採血を担当する医療スタッフに伝えましょう。

採血後、場合によっては皮下血腫やアザができることがありますが、数日以内で自然に吸収されます。

ASOの血液検査の流れ

ASOの血液検査は、採血を行います。ここでは採血の具体的な流れをご紹介します。

1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。

<参考>
大阪大学医学部附属病院 臨床検査部「生物学的基準範囲および臨床判断値一覧」

この記事の監修ドクター

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)
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