マイクロRNA
マイクロRNAとは?
マイクロRNAとは、DNAからコピーした遺伝情報から新しい細胞を作りだす際に、不要な情報を削り取ることにより、細胞の増殖、変化、減少(細胞の死)に関与している遺伝物質です。
マイクロRNA検査は、いわゆる遺伝子検査のひとつです。マイクロRNAを解析することにより、おもにアルツハイマー型認知症やがんの発症リスクや早期発見に役立ちます。特にがんの早期発見では、腫瘍などが見えない超初期段階の「ステージ0」レベルでも発見ができる可能性がある最新の技術です。
マイクロRNAを調べる目的
マイクロRNAの血液検査は、がんやアルツハイマー型認知症の発症リスク及び早期発見を目的としています。
がんは発見される時間が遅ければ遅いほど生存率が低くなります。マイクロRNA検査では、肺がん、食道がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、腎臓がん、甲状腺がん、脳腫瘍、胆のうがん、膀胱がん、前立腺がん、乳がん、子宮頸がん、卵巣がんなどが対象となります。医療機関によって、このうちのほとんどの部位を扱っているところもあれば、一部の特定部位のみのマイクロRNA検査を行っている場合もあります。事前に調べてから受診することをおすすめします。
また、アルツハイマー型認知症は、根本的な治療法は確立されていませんが、適切な予防治療を行うことで発症を抑えられると言われています。それらをリスクの段階から発見することで、予防治療に活かすことが可能です。
マイクロRNAで見つけられる病気
マイクロRNAの血液検査を行うことは、次のような病気の診断に役立ちます。
●各種がん(肺がん、食道がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、腎臓がん、甲状腺がん、脳腫瘍、胆のうがん、膀胱がん、前立腺がん、乳がん、子宮頸がん、卵巣がん等)
●アルツハイマー型認知症
マイクロRNA検査の結果の見方
マイクロRNA検査の結果は、医療機関あるいは各医療機関が採用している検査会社のレポートによって異なりますが、各部位ごとにリスクの度合いがレベル別で記載されていたり、自身の数値が陰性群・陽性群のどの水準に属するかなどで記載されていたりします。
ただし、リスクを調べる検査であるため、検査結果でリスクが高いと判断されたとしても必ずしもがんであるという診断ではありません。高リスクの場合は精密検査を行い、その結果も踏まえて医師が診断します。
マイクロRNAの血液検査の長所/短所
マイクロRNA検査は、最新の技術を用いた検査で、がんの早期発見では、ステージ0の状態でも発見できる可能性があります。
マイクロRNA検査は採血検査により簡易に行うことが可能です。採血は、針を刺しますので痛みを伴います。先端恐怖症の方や痛みが苦手な方は苦痛が大きいでしょう。針を刺す前のアルコール消毒で肌が荒れてしまう人もいます。アルコールアレルギーがある方は、非アルコール性の消毒がある場合もあるので事前に伝えておきましょう。
また、針を刺すことで、神経損傷を起こしてしまうこともあります。頻度として1万回から10万回に1回と言われており、大抵の人は2~3ヶ月ほどで自然治癒します。万が一採血時にピリッとした痛みがあればその場で伝えましょう。
なお、採血後に青くアザになってしまったりすることがありますが、数日で消失します。
マイクロRNA検査は、リスクを調べる検査であって、診断するものではありません。
検査結果から医師と相談し、予防治療を始める。生活習慣を変えるなどさまざまな選択肢があります。しっかりと相談をすることで将来のリスクに備えることが大事でしょう。
マイクロRNA検査の流れ
マイクロRNA検査は、血液検査のため採血が行われます。ここでは、腕からの採血の具体的な流れについて説明します。
1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)