腫瘍マーカー エラスターゼ
腫瘍マーカー・エラスターゼとは?
血液検査における腫瘍マーカー・エラスターゼは、血液中に含まれるタンパク分解酵素であるエラスターゼという物質の量を調べる検査です。
身体にがんができると、特殊な物質が大量に分泌され、血液中に漏れ出します。それらを測定することが腫瘍マーカー検査です。エラスターゼは、腫瘍マーカーのひとつで、おもに膵臓で作られるたんぱく質を分解する酵素のため膵臓がんの診断に役立ちます。
腫瘍マーカー・エラスターゼを調べる目的
腫瘍マーカー・エラスターゼの血液検査は、血液中のエラスターゼ量を調べることで、膵臓がんなどの膵臓の病気を調べるために行われます。膵臓がんのほか、膵炎などでも数値が上昇することがあります。
腫瘍マーカー・エラスターゼで見つけられる病気
腫瘍マーカー・エラスターゼの血液検査は、下記の病気の診断に役立ちます。
●膵臓がん
●急性膵炎
●慢性膵炎
●膵膿疱
●消化管穿孔
●腎不全
など
腫瘍マーカー・エラスターゼの結果数値の見方
腫瘍マーカー・エラスターゼ検査の基準値は300ng/dL以下です(京都大学医学部附属病院より)。
エラスターゼが基準値より高い場合は、膵臓がんや膵炎などの病気が疑われます。
腫瘍マーカー・エラスターゼの血液検査の長所/短所
腫瘍マーカー・エラスターゼは、採血による血液検査で簡単に調べることができます。採血については、針を刺しますので痛みを伴います。先端恐怖症の人や痛みが苦手な人は身体的苦痛が大きいでしょう。
針を刺す前のアルコール消毒で肌が荒れてしまう人もいます。アルコールアレルギーがある方は、非アルコール性の消毒がある場合もあるので事前に伝えておきましょう。
また、針を刺すことで、神経損傷を起こしてしまうこともあります。頻度として1万回から10万回に1回と言われており、大抵の人は2~3ヶ月ほどで自然治癒します。万が一採血時にピリッとした痛みがあればその場で伝えましょう。
なお、採血後に青くアザになってしまったりすることがありますが、数日で消失します。
腫瘍マーカー・エラスターゼの血液検査の流れ
腫瘍マーカー・エラスターゼの血液検査では採血を行います。ここでは、腕からの採血の具体的な流れについて説明します。
1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。
<参考>
京都大学医学部附属病院検査部 検査項目情報(一次サンプル採取マニュアル)
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)