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この検査は何のための検査?

抗核抗体検査

血液検査における抗核抗体検査とは?

抗核抗体検査とは、血液中にある抗核抗体の量を調べる血液検査です。

抗核抗体とは、ANA(antinuclear antibody)ともいい、細胞中の核内タンパク成分と反応する自己抗体(自分を抗原とみなして作られる抗体)の総称です。

身体には本来、細菌やウイルスなどの侵入があれば、それを自分ではないもの(非自己)として認識し、それらに対して防御する免疫系の働きが備わっています。異物に対して反応する抗体を作り、異物を攻撃したり、白血球が貪食したりして防御しています。

通常の免疫機能では自己と非自己を認識し、自己に対しての抗体を作ることはありません。しかし、なんらかの原因によって、自分の身体の一部に対して抗体(自己抗体)を作り出し攻撃してしまうことがあります。

抗核抗体検査の目的

血液検査における抗核抗体検査の目的は、自己抗体によって起こる病気(自己免疫疾患)の一次スクリーニングをすることです。

抗体にはそれぞれ、特定の抗原としか反応しない「特異性」があり、自己抗体の種類によって反応する物質などが違うため、自己抗体の種類からさまざまな病気に分類できます。しかしそれらを一度に測定することは難しいため、まずは抗核抗体検査をおこない、その結果に基づいて「どの病気と関連している自己抗体か」を推定し、次の検査へ進むことができます。

抗核抗体の血液検査で見つけられる病気

抗核抗体を血液検査で調べることは、次のような病気の診断に役立ちます。

 ●全身性エリテマトーデス(SLE)
 ●混合性結合組織病(MTCD)
 ●強皮症(SSc)
 ●シェーグレン症候群(SS)
 ●多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)
 ●関節リウマチ
 ●原発性胆汁性肝硬変
 ●薬剤性ループス

抗核抗体の結果の見方

抗核抗体の血液検査は陰性か陽性かで判定されますが、陽性の場合、検体を40倍、80倍、160倍、320倍と倍々に希釈していきながら測定し、傾向が認められた最終倍を抗核抗体の抗体価として示されています。

基準値は抗体価40倍未満で陰性とされています。40倍を超えると陽性となります(名古屋医療センターより)。

つまり、検体を40倍まで希釈して確認できなければ陰性、さらに希釈しても確認できれば陽性です。この数値が高いほど、抗核抗体が多いことになります。また、どのように細胞核が染色されたかによっていくつかのパターンがあり、そのパターンによって対応抗原をある程度特定することが可能です。

●染色パターン辺縁型
全身性エリテマトーデス(SLE)

●染色パターン均質型
全身性エリテマトーデス(SLE)、薬剤誘発性ループス

●染色パターン斑紋型
全身性エリテマトーデス(SLE)、混合性結合組織病、強皮症、シェーグレン症候群、多発性筋炎/皮膚筋炎

●染色パターン核小体型
強皮症

●染色パターン散在斑紋型
強皮症

●染色パターン細胞質型
シェーグレン症候群、多発性筋炎/皮膚筋炎、原発性胆汁性肝硬変

●染色パターンその他
全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症関連疾患

抗核抗体検査の長所/短所

抗核抗体検査は自己抗体がどの程度存在しているかを、採血で手軽に知ることができますが、検査に利用されている基質の感度がよいため、健康な人でも40倍希釈で31%程度、80倍で13%程度、160倍でも5%程度が陽性となるという調査データがあり、この検査だけで疾患の判定はできません。また、自己免疫疾患以外の病気、たとえば悪性腫瘍や慢性感染症、急性のウイルス感染後でも陽性になる頻度が高くなったり、特定の薬剤の服用によって陽性になったりすることもあります。

いずれも採血による血液検査となりますが、人によっては採血の際に注射針による痛みや、ストレスを感じる人もいるかもしれません。採血のときに冷や汗や吐き気を感じたり、血圧低下、顔面蒼白がみられたりした場合は、副交感神経の緊張で起こる「迷走神経反射」が原因です。

また、採血で使用する物品に対するアレルギー反応を起こすことがあります。とくに、感染予防で使用するアルコール綿には、アルコールが含まれています。アレルギーが心配な人はあらかじめ、採血を担当する医療スタッフに伝えておきましょう。

また、注射針の先が神経に触れると、神経障害が生じる可能性もあります。針を刺したときにピリッとした刺激を感じたときは、我慢をせずに採血を担当する医療スタッフに伝えましょう。

採血後、場合によっては皮下血腫やアザができることがありますが、数日以内で自然に吸収されます。

抗核抗体検査の流れ

血液中の抗核抗体を調べるには、採血が行われます。ここでは、腕からの採血の具体的な流れについて説明します。

1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。

<参考>
国立病院機構 名古屋医療センター 臨床検査センター

この記事の監修ドクター

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)
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