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この検査は何のための検査?

TPHA

TPHAとは?

TPHAとは別名「トレポネーマ受身赤血球凝集反応」といい、梅毒トレポネーマとよばれる細菌(抗原)に対する抗体であり、梅毒感染時に認められる特異的な抗体です。一般的に感染症に罹患したとき、血液中のタンパク質で抗体の働きを持つ「グロブリン」の値が時間とともに変化してきます。感染初期ではIgM(免疫グロブリンM)が最初に産生されるため一時的に増加しますが、やがて時間の経過とともにIgG(免疫グロブリンG)が増加してきます。この原理を利用しているのが、血液検査におけるTPHA検査です。

TPHAを調べる目的

TPHAの血液検査は性感染症の一種である梅毒の感染の有無を確認するために行う検査であり、梅毒の症状が出ている人への確定診断のためだけではなく、病院に入院する人などに感染の確認をするために行われることがあります。梅毒に感染しているかどうかを調べる検査には、RPR検査に代表される脂質抗原検査(STS)と、TPHA検査に代表されるTP抗原に対する検査の2種類に分類されます。先に脂質抗原検査を行い、ここで陽性という結果が出た場合に初めてTPHA検査を行うこともあります。

TPHAの血液検査で見つけられる病気

TPHAの血液検査では、以下の病気を見つけることができます。

・梅毒

梅毒の病原菌は「梅毒トレポネーマ」という細菌です。過去に梅毒にかかったことがある場合、治療後でもTPHAがいつまでも高値で持続することがあります。また、まれに「非特異的反応」とよばれる、病態とはかけ離れた測定値が認められることもあります。

TPHA検査の結果の見方

TPHA検査の結果は+と-で表記されることが多く、+は陽性、-は陰性という意味です。また、抗体の量が80倍未満であった場合も陰性という判定になります。TPHA検査単独で検査値を見て病気を診断することはほとんどなく、もう一つの梅毒感染の指標となるRPR検査の結果とあわせて検査値を読み、感染の有無を確認していきます。

梅毒への感染は、いくつかの病期に分けて考えられます。まず、感染から通常 1か月くらいの「早期梅毒1期」では、梅毒トレポネーマが侵入した箇所(口唇、口腔咽頭粘膜、陰部周辺、肛門周辺など)に症状が現れます。TPHA検査では陽性を示します。次に、感染からおおむね 1~3 か月の「早期梅毒第 2 期」では、体内に拡がった梅毒トレポネーマによる、さまざまな症状が現れます。TPHA検査では陽性を示し、RPRは通常高値(16 倍、16RU 以上)を示します。その後、後期梅毒、第3期梅毒と続きますが、いずれもさまざまな症状が現れる一方で、活動性は低いとされます。ただし、これらの時期でも活動性が高い場合は、「潜伏梅毒」に分類されます。これは感染から1年以内を早期、1年以降を後期といい、TPHA、RPRともに高値を示します。

TPHA検査は、今現在梅毒にかかっているかどうかだけでなく、過去の感染を知ることができるという特徴がある一方で、梅毒に感染してから陽性になるまで時間がかかるという特徴もあります。早期発見につながるものではなく、梅毒の治療を行っても値が下がらないため、治療の結果を判断することはできません。

TPHAの血液検査の長所/短所

TPHAを調べる血液検査は、非常に少ない血液量で検査をすることができます。検査結果が出るまでの時間は検査を行う医療施設によって変わります。TPHA検査では採血から2~4日で結果を確認することができます。

採血による血液検査となりますが、人によっては採血の際に注射針による痛みや、ストレスを感じる人もいるかもしれません。採血のときに冷や汗や吐き気を感じたり、血圧低下、顔面蒼白がみられたりした場合は、副交感神経の緊張で起こる「迷走神経反射」が原因です。

また、採血で使用する物品に対するアレルギー反応を起こすことがあります。とくに、感染予防で使用するアルコール綿には、アルコールが含まれています。アレルギーが心配な人はあらかじめ、採血を担当する医療スタッフに伝えておきましょう。

また、注射針の先が神経に触れると、神経障害が生じる可能性もあります。針を刺したときにピリッとした刺激を感じたときは、我慢をせずに採血を担当する医療スタッフに伝えましょう。

採血後、場合によっては皮下血腫やアザができることがありますが、数日以内で自然に吸収されます。

TPHAの血液検査の流れ

血液検査でTPHAを調べるには、採血が行われます。ここでは、腕からの採血の具体的な流れについて説明します。

1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。

この記事の監修ドクター

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)
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