頸部レントゲン検査
頸部レントゲン検査とは?
頸部レントゲンとは、頸部(首)周辺の骨や周辺臓器に異常がないかを調べる画像診断です。X線を照射して平面撮影を行い、骨や臓器に異常がないかを調べます。必要時にはいくつかの方向から撮影することがあります。
頸部レントゲン検査の目的
頸部の骨は頸椎(けいつい)と呼ばれ、脳からつながる重要な神経(脊椎)を守っています。そのため、頸椎に異常があったり、骨が神経に触れてしまっていたりすると、全身に痛みや痺れが生じる可能性があります。また、神経を守る重要な骨ですので、骨粗鬆症などで骨密度が下がっていると、骨折のほか、その結果としての重大な神経損傷につながるリスクも高くなります。
これらのリスクを早期に発見するため、頸部レントゲンを撮影し、骨に異常がないかチェックすることを目的として行われています。
また、頸部レントゲンでは骨の状態に加え、気管や食道、扁桃腺など周辺臓器の異常を発見するためにも利用されています。
頸部レントゲン検査で見つけられる病気
頸部レントゲン検査で、次のような病気の診断に役立てることができます。
●頸椎の骨折
●頸椎の変形
●頸椎の脆弱化
●骨腫瘍
●椎間板損傷や摩耗
●椎間板ヘルニア
●声帯周辺や扁桃腺の炎症
●喉頭蓋炎 など
頸部レントゲン検査の結果の見方
頸部レントゲン検査では、撮影した画像を元に、骨や周辺機関に異常がないかなどを専門医が判断します。
頸部レントゲン検査の長所/短所
レントゲン検査は短時間で撮影できる画像検査であり、手軽に受けることができます。一方、1回の撮影につき一方向からのみの撮影となるため、角度によっては病変が見つけづらいこともあります。状況によっては、CTやMRIといった別の画像検査を併用する必要があることもあります。
また、少量ですが被曝のリスクがあるため、妊娠中の女性や小児には推奨されないケースもあります。このようなケースにおいて検査を受けるかどうかは、担当医と相談の上慎重に決定する必要があります。
頸部レントゲン検査の流れ
一般的な頸部レントゲン検査の流れは、下記のとおりです。
1.レントゲン撮影範囲にある金属製の衣類や装飾具を外す(ネックレス、イヤリングなど)
2.レントゲン撮影着に着替える(頸部レントゲンの場合、私服で撮影可能な場合もあり)
3.撮影箇所に真っ直ぐ立ち、大きく息を吸い込む
4.検査者の合図に従い、息を止める
5.息を止めたまま撮影
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)