尿中アミラーゼ検査
尿中アミラーゼ検査とは?
尿中アミラーゼ検査とは、尿のなかにどの程度アミラーゼが排泄されているのかを測る検査です。アミラーゼとは、でんぷんを分解し糖を生成するための酵素のことです。この酵素は膵臓や唾液腺、耳下腺から分泌され、血液に乗って全身をめぐった後、腎臓でろ過されて尿と一緒に排泄されます。
尿中アミラーゼ検査の目的
アミラーゼを分泌する器官に炎症など異常が生じた場合、アミラーゼが過剰に分泌されることがあります。そのため、血液や尿中のアミラーゼの濃度を測定することで、これらの臓器の異常を発見することができます。とくに、膵臓に炎症がある場合や、なんらかの理由で膵管の通りが悪くなってしまった際、血液中や尿中のアミラーゼ濃度が高くなることが多く、膵臓の疾患がないか確認するためによく行われる検査です。通常、血清アミラーゼ検査と併せて行われます。
尿中アミラーゼ検査で見つけられる病気
尿中アミラーゼの濃度は、膵臓など分泌臓器に異常があった際に高くなることが多く、腎臓からの排出がうまくいかないときに低くなることが多いです。そのため、次のような疾患を見つける手がかりとして利用されています。
●高値の場合:膵臓疾患、唾液腺疾患、耳下腺疾患、腎不全など
●低値の場合:肝硬変、唾液腺摘出、膵摘出など
尿中アミラーゼ検査の長所/短所
尿中アミラーゼ検査の長所として、採尿をして提出するだけで検査ができ、受診者の身体的負担が少ないという点があります。
一方短所としては、血中アミラーゼの補助検査という意味合いが強く単独で判断できる内容が少ない点、また、脱水などの理由で尿量が減少している場合、見かけ上尿中アミラーゼが高値になってしまうことがあるという点が挙げられます。
尿中アミラーゼ検査の流れ
尿中アミラーゼ検査の流れは、以下のようになっています。
1.検査結果が変動しないよう、過剰な飲水や、逆に飲水制限を行わず、いつもどおりに生活する。
2.採尿カップに必要量だけ採尿する
3.検査者に尿を提出する
<参考>
公益財団法人がん研究会 有明病院 臨床検査センター
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)