抗原検査
抗原検査とは?
抗原検査は、病気やアレルギーを引き起こすこれらの抗原を検出するための検査です。抗原とは、体内で免疫反応を引き起こす物質の総称です。また免疫反応とは、体内に侵入した抗原物質を攻撃し排除しようとする身体の反応のことです。病原体であるウイルスや細菌のほか、アレルギーを引き起こす花粉なども抗原となりますが、ここではおもに病気に対する抗原検査について解説します。
新型コロナウイルス(COVID-19)流行以前からインフルエンザの検査として使われており、身近な検査でもあります。
抗原検査の目的
ウイルスや細菌などの病原体が身体の中に入りこむことで起こる病気を感染症といいます。抗原検査を行うことにより、特定の病原体に現在進行形で感染しているか診断するのに役立ちます。
PCRよりも簡便で、広くインフルエンザなどの感染症の診断に役立ちます。とくに熱などの症状が出ている場合、30分程度で結果がわかる抗原検査は非常に役立っています。新型コロナウイルス(COVID-19)に対しても2020年5月から保険適応となりました。精度はPCR検査より落ちますが、簡便に判定できるため、空港やクリニックなどでの新型コロナウイルス(COVID-19)の検査として期待されています。
抗原検査で見つけられる病気
抗原検査を行うことは、下記の感染の診断に役立ちます。
●新型コロナウイルス(COVID-19)
●インフルエンザ
●肝炎
●マイコプラズマ肺炎
●RSウイルス感染症
など
抗原検査の結果の見方
抗原検査の結果は、陽性(+)もしくは陰性(-)で判断されます。陽性であれば現在その病気に感染していることを示し、陰性であれば現在その病気に感染していないことを示します。
抗原検査の長所/短所
抗原検査の長所は、検査が簡便であり、短時間で行える点です。とくに検査キットがあるものであれば、30分程度で結果を知ることができます。
一方で、抗原検査には十分な量の抗原が必要です。身体に抗体ができ始めると抗原は減少していきます。検査時期が遅い場合、また感染して時間が経っておらず抗原量が少ない場合、抗原検査では偽陰性を含めて診断ができないことがあります。よって、抗原検査はPCR検査に比べ精度が低いと言えます。しかしながら、短時間で簡便に行えるという特徴を活かし、今後インフルエンザが流行した際、インフルエンザか新型コロナウイルス(COVID-19)かどうかを判断する一次検査として活躍することが期待されています。
抗原検査の流れ
抗原検査は、抗原が存在している箇所により検査方法が異なります。ここでは、多くの感染症でウイルスや細菌が付着しやすい鼻、およびのどの奥を細い綿棒でぬぐって抗原を採取する方法について解説します。
【鼻から採取する場合】
少し上を向き綿棒を鼻に挿入し、鼻の奥をぬぐって終了。
【喉から採取する場合】
1. 口を大きく開け、舌圧子(ぜつあつし・へら状の医療器具)で舌を押さえる。
2.「アー」と声を出しながら綿棒で喉の奥をぬぐう。
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)