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この検査は何のための検査?

ABC検査

ABC検査とは?

ABC検査とは、採血によって血液中にあるピロリ抗体(ヘリコバクター・ピロリ抗体ともいいます)とペプシノゲンを調べ、その結果をもとに胃がんになるリスクを判定する検査です。ピロリ抗体はピロリ菌に感染している人がもっている抗体で、ピロリ菌に感染していると胃がんになりやすくなります。ペプシノゲンは、胃の粘膜が萎縮すると減少する成分です。胃の粘膜が萎縮すると、胃がんになるリスクが高くなります。ABC検査は、胃がんリスク検査とも呼ばれています。

ABC検査の目的

ABC検査には、胃がんになるリスクがどれくらいあるのかを知る目的があります。胃がんになるリスクを知ることは、胃がんの予防や早期発見につながります。しかしABC検査は胃がんになるリスクを調べるもので、胃がんであるかどうかの判定はできません。

ABC検査で見つけられる病気

ABC検査をすることで、次のような病気になるリスクを知ることができます。

●胃がん
●胃潰瘍
●十二指腸潰瘍
●萎縮性胃炎
など

ABC検査の結果の見方

ABC検査は、胃がんになるリスクをA群、B群、C群、D群の4段階で判定します(認定NPO法人 日本胃がん予知・診断・治療研究機構より)。

●A群(1年間の胃がん発生頻度予測はほぼゼロ):ピロリ抗体陰性、ペプシノゲン陰性
●B群(1年間の胃がん発生頻度予測は1000人に1人):ピロリ抗体陽性、ペプシノゲン陰性
●C群(1年間の胃がん発生頻度予測は500人に1人):ピロリ抗体陽性、ペプシノゲン陽性
●D群(1年間の胃がん発生頻度予測は80人に1人):ピロリ抗体陰性、ペプシノゲン陽性

検査結果

同機構によると、ペプシノゲン(PG)はPGⅠ≦70かつPGⅠ/PGⅡ≦3を陽性とし、D群は胃の粘膜萎縮が進んでピロリ菌が生存できないためピロリ抗体は陰性になるとしています。

B~D群だった場合は、胃部内視鏡検査を受診してピロリ菌を除菌することがとても重要です。また、以降も医師と相談の上、定期的に胃部内視鏡検査を受診することで、胃がんリスクを大幅に低減できます。

ABC検査の長所/短所

ABC検査の長所は、採血で手軽に調べることができるところです。胃がん検診として行われている、胃エックス線検査や胃内視鏡検査に比べて受診者の身体的・時間的・経済的負担が少なくてすみます。採血量は少量で、採血時間も10分程で済みます。結果が出る日数は医療施設によって違いがありますが、1~2週間程でわかるようになっています。

短所は、針を刺すことによって多少の苦痛を感じる場合があるところです。人によって極度の緊張などから、顔面蒼白、冷や汗、吐き気、意識消失などを起こしてしまうことがあります(「迷走神経反射」と呼ばれているものです)。採血で気分が悪くなったことがある方は、あらかじめ医療スタッフに伝えておきましょう。横になって採血をするなどの対応をとってもらうことができます。

まれにですが、針先が体の神経に触れて神経損傷を起こしてしまうことがあります。ピリッとした痛み、しびれ、違和感がある時には、医療スタッフに申し出てください。これらの症状は、2~3ヶ月すると自然に治まることが多くなっています。

採血部位が内出血することもありますが、数日で自然に治ります。採血で使用するアルコール綿やゴム手袋によって、アレルギー反応を起こしてしまう人もいます。アルコールでアレルギーが出る人は、医療スタッフに相談してください。アルコール以外の消毒液を使用することも可能です。

なお、ABC検査は胃がんになるリスクがどれだけあるのかを調べる検査で、胃がんを確定することはできません。前述のとおり、ABC検査の判定に従った行動を起こすことが大切です。

ABC検査の流れ

ABC検査は血液検査のため、採血で調べることができます。採血部位として選ばれることの多い、腕からの採血の流れについてご説明します。

1.ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2.上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3.アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4.シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5.注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6.完全に止血したら、絆創膏を剥がす。

<参考>
認定NPO法人 日本胃がん予知・診断・治療研究機構「胃がんリスク層別化検診(ABC検診)とは」

同上「新しいABC分類 胃がんリスク層別化検査(ABC分類)2016年度改訂版」

この記事の監修ドクター

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)
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