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この検査は何のための検査?

血圧脈波(PWV/ABI/CAVI)

心臓・循環器検査における血圧脈波(PWV/ABI/CAVI)検査とは?

血圧脈波(PWV/ABI/CAVI)検査は、血管の硬さや詰まりといった血管の状態を調べる血管機能検査のひとつです。血管機能検査にはいくつかの種類がありますが、身体への負担が少なく簡単に測定できる血圧脈波検査として、PWV、ABI、CAVIの3種類がよく利用されています。いずれも、動脈の血管壁の硬さや詰まり具合などを調べる検査です。

血圧脈波(PWV/ABI/CAVI)検査の目的

血圧脈波(PWV/ABI/CAVI)検査の目的は、動脈血管壁の硬さや詰まり具合から、動脈硬化の程度を調べることです。

心臓から血液を押し出すとき動脈には強い力がかかります。健康な血管では、弾力性や柔軟性などで強い力をうまく吸収できるようにできていますが、加齢や生活習慣などによって弾力性や柔軟性がなくなっていったり、硬くなっていったりします。心臓が収縮するときに血液が押し出されるときの衝撃は、波となって身体のすみずみまで伝わり、その波動のことを脈波と言います。脈波の速度は、正常であればゆっくりですが、血管が硬い、厚い、内腔が狭いなどの血管の状態があるほど、速くなります。

●PWV(pulse wave velocity):脈波が動脈壁に伝わる速度のことで、上腕動脈と足関節動脈の二点の脈波を測定値と距離の差から計算されます。とくに測定点からbaPWV( brachial-ankle PWV)とも呼ばれています。
●ABI(ankle-brachial pressure index):足関節の収縮期血圧を上腕の収縮期血圧(左右どちらか高い方)で割った数値のことです。とくに下肢の動脈の詰まりの程度を調べることができます。
●CAVI(cardio-ankle vascular index):心臓から大動脈からで経て足関節までの脈波の速度から、動脈全体の硬さを調べる指標となります。

血圧脈波(PWV/ABI/CAVI)検査で見つけられる病気

血圧脈波(PWV/ABI/CAVI)検査は、次のような動脈硬化が原因となってひきおこされる病気の診断に、役立つとされています。

●狭心症
●心筋梗塞
●閉塞性動脈硬化症
●脳梗塞
など

血圧脈波(PWV/ABI/CAVI)検査の見方

血圧脈波検査では、血管の状態を表す指標となる検査です。PWV、ABI、CAVIそれぞれに基準があります。

●PWV(脈波伝播速度)検査

PWVは動脈硬化がすすむほど高値になるため、血管の硬さを表す指標となります。PWVは年齢別に基準値(基準範囲)がありますが、生活習慣の改善を勧められる中等度の動脈硬化の指標はbaPWVが1,800cm/sです (日本循環器学会より)。

●ABI(足関節上腕血圧比)検査

上肢と下肢の血圧を比べると、下肢より上肢のほうが高く、下肢の動脈のほうが血管狭窄も起きにくいことから、下肢収縮期血圧(足関節で測定)を上肢収縮期血圧(上腕で測定)で割ったものを、下肢動脈の閉塞の指標とした検査です。上腕の血圧は左右どちらか高い数値を使います。ABI検査の正常範囲は1.00~1.40、境界範囲は0.91~0.99です(日本循環器学会より)。下肢の血管に狭窄があると下肢血圧が低くなるため、ABIが0.91以下で閉塞性動脈硬化症などの末梢動脈の病気が疑われます反対にABIが1.40以上となる場合は、足関節の血圧の方が高く血管の石灰化が疑われます。

●CAVI(心臓足関節血管指数)検査

CAVI検査は、心臓から足関節までの血管の硬さを調べる検査です。脈波速度を測定し、計算式を用いて血圧の影響を取り除いた血管固有の硬さを出すことができます。CAVI検査の基準値は、0.8未満が正常値、0.8以上0.9未満が境界値、0.9以上が動脈硬化の疑いとなります(熊本医療センターより)。

血圧脈波(PWV/ABI/CAVI)検査の長所/短所

血圧脈波(PWV/ABI/CAVI)検査のメリットは、動脈硬化を初期の段階で発見できることです。また、動脈硬化の進行度や、足の動脈が詰まってしまう病気も発見することができます。いずれの検査も、いくつかの方法で「血圧を測定する」ため、痛みなどの負担が少ない検査です。ただし、いずれの検査も測定する血圧の影響を大きく受けるため、血圧の変動の原因となる要素は取り除いたうえで検査をすることになります。検査前には十分な安静をとり、リラックスした状態で測定します。

ABI検査では血管の石灰化が進んでいる場合は、ABI検査では正しい値が測定できないことがあります。その場合、足趾動脈血圧を測定するTBI(toe-branchial pressure index=足趾上腕血圧比)検査が代替検査となることがあります。

血圧脈波(PWV/ABI/CAVI)検査の流れ

血圧脈波(PWV/ABI/CAVI)検査の流れは以下のとおりです。透析をされている場合や手足に大きな怪我などがある場合は、あらかじめ検査実施施設に伝えておきましょう。

1.5分程度、仰向けで安静にします。
2.厚手の上着は脱ぎ、かかとを出しておきます。
3.左右の上腕及び足関節にカフを、左右の手関節に心電図用の電極を、胸の中央に心音用マイクを装着します。
4.心音の記録がありますので、検査中は動いたり、会話をしたりはできません。
5.測定は4ヶ所同時に行い、繰り返すこともあります。
6.検査時間は検査開始から5分程度です。

<参考>
一般社団法人日本循環器学会「循環器病の診断と治療に関するガイドライン2013」血管機能の非侵襲的評価法に関するガイドライン

独立行政法人国立病院機構 熊本医療センター「閉塞性動脈硬化症について、血圧脈波硬化症について」

この記事の監修ドクター

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)
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