腎動脈エコー検査
上腹部における腎動脈エコー検査とは
腎動脈エコー検査とは、超音波を使い腎動脈に病変がないかリアルタイム画像で調べることのできる検査です。検査は、ベッドに仰向けになり上腹部にエコーゼリーを塗り、超音波を発するプローブ(深触子)を軽く押し当てるだけの簡単な検査です。
腎動脈エコーの検査の目的
腎動脈エコー検査の目的は、腎動脈狭窄や腎動脈瘤、腎動脈乖離の有無を確認することです。
腎臓の役割は、心臓から送り出される血液を濾過し、尿に変えて老廃物を体外に排出することです。腎動脈に狭窄や閉塞が起こると、腎臓の機能が低下して体内の老廃物を排出できなくなり、全身のむくみ、血圧上昇、呼吸困難といった症状が現れます。機能低下が著しい場合、人工透析で老廃物を排出する必要が出てきます。
このような腎臓にならないようにするために、腎動脈エコー検査で動脈硬化や狭窄の程度を調べることは重要なことです。
また腎動脈の狭窄が原因で発症する腎血管性高血圧が近年増えており、さらに腎動脈でできた血栓が心臓や脳へ流れ、心筋梗塞や脳梗塞が発症することがあります。
腎動脈エコー検査で見つけられる病気
腎動脈エコー検査で腎動脈を調べることで、次のような病気や症状の発見につながります。
●腎動脈狭窄症
●腎動脈瘤
●腎動脈解離
●腎梗塞
●腎血管性高血圧
●慢性腎臓病(CKD)
●腎不全
●心筋梗塞
●脳梗塞 など
腎動脈エコーの結果の見方
医師が腎動脈エコー検査で得られた情報をもとに診断します。腎動脈エコー検査は、カラードップラー法やパルスドップラー法などのシステムを使い診断しやすい画像を作り出します。
カラードップラー法では、モニター上で、プローブに近づく血流が赤色、遠ざかる血流が青色で表示され、血管壁の肥厚や石灰化、血管の狭窄などを発見できます。
パルスドップラー法では、心臓の動きに合わせPSV(収縮期最高血流速度)とEVD(拡張末期血流速度)、AT(収縮期加速時間)を測定することができます。これらは腎動脈内にできた狭窄部位で異常値を示します。
腎動脈エコー検査の長所/短所
リアルタイムで腎動脈の観察できるため、腎臓が正常に機能しているか、血管内に狭窄や閉塞が発生していないか、腎動脈瘤がないか、血管の形に問題がないかなど、病変を早期に発見することができます。
腎動脈エコー検査は超音波を使用するため、被爆しません。子どもや妊婦でも受けることができる検査です。
食事や便の溜まりがあると、腹内にガスが発生し腎動脈画像の精度が低下します。また腎動脈エコー検査は医師の経験と技術が検査結果に影響します。
腎動脈エコー検査の流れ
腎動脈エコー検査の流れは、下記のとおりです。
1.検査着に着替える
2.ベッドに仰向けになり腹部にエコーゼリーを塗布する
3.部屋を暗くし、ブローブ(深触子)で腹部を調べる
4.検査終了後は、着替えて終了
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)