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この検査は何のための検査?

抗CCP抗体

抗CCP抗体とは?

抗CCP抗体の血液検査とは、関節リウマチに特異的な自己免疫抗体である抗CCP抗体の数値を調べる検査です。抗CCP抗体は、「抗環状シトルリン化ペプチド(cyclic citrullinated peptide)抗体」といい、炎症が起きた滑膜(関節の内側の薄い膜)にある「シトルリン化たんぱく」とよばれるタンパク質に対する自己抗体です。

自己抗体とは、自分の体内の細胞や組織に対する抗体のことで、通常であれば自分の身体への抗体はつくられませんが、関節リウマチなどの自己免疫疾患などでは自己抗体がつくられ、それが細胞を攻撃して病気が起こることが知られています。

そのため抗CCP抗体の検査値が高いと、関節に炎症が起きて滑膜にシトルリン化ペプチドが多く発現していることが推測されます。

抗CCP抗体を調べる目的

抗CCP抗体の血液検査は、関節リウマチの可能性があるかを調べるためにおこなわれる検査のひとつです。

米国リウマチ学会・欧州リウマチ学会より出された「リウマチ新分類基準」にも分類の基準として抗CCP抗体が含まれており、関節の痛みなどリウマチが疑われる人に対して診断をより確定的なものにするための検査としておこなわれます。関節リウマチに罹患した早い段階や発症する前から抗CCP抗体検査で陽性になるため、早期発見・診断にも有用といわれています。

抗CCP抗体の血液検査で見つけられる病気

抗CCP抗体の血液検査は、次のような病気の診断に役立ちます。
●関節リウマチ

すでに関節リウマチにかかっている人の約70〜80%に抗体があるため、抗CCP抗体検査は関節リウマチがある人では高い確率で陽性となり、そうでない人は90%以上の確率で陰性の結果が出るといわれています。

全身エリテマトーデスやシェーグレン症候群などの膠原病などでは抗CCP抗体はみられず、関節リウマチにだけ見つかる抗体でもあるのも特徴です。

抗CCP抗体の結果数値の見方

抗CCP抗体の基準値は4.5U/ml未満です(京都大学医学部附属病院より)。4.5U/ml以上で陽性と判定されます。

抗CCP抗体検査の血液検査の長所/短所

抗CCP抗体検査の長所は、実際に関節リウマチの疾患があると高い確率で正しく陽性が出ること、逆に関節リウマチでない人には正しく陰性が出る確率が高くなる特徴があることです。これは、関節リウマチの滑膜に抗原として存在しているCCPが、抗CCP抗体だけが認識できるためです。

さらに、関節リウマチにかかった人の早い段階から抗CCP抗体が陽性となるため、早期の診断に有用となることも長所となります。

一方、抗CCP抗体検査の短所として、超早期の関節リウマチでは抗CCP検査で検出されないことが挙げられます。関節リウマチの超早期患者といわれる発症3ヶ月未満の人の検査の場合は、抗CCP抗体検査の陽性率は50%未満といわれています。

このことから、抗CCP抗体が陰性であっても関節リウマチではないと言い切れないところが短所といえます。抗CCP抗体が陰性であっても、身体の状態や炎症、関節のエコーなどのチェックが必要になります。シェーグレン症候群や結核の患者にも陽性が出ることがあります。

また、採血による血液検査なので、人によっては採血の際に注射針による痛みや、ストレスを感じる人もいるかもしれません。採血のときに冷や汗や吐き気を感じたり、血圧低下、顔面蒼白がみられたりした場合は、副交感神経の緊張で起こる「迷走神経反射」が原因です。

また、採血で使用する物品に対するアレルギー反応を起こすことがあります。とくに、感染予防で使用するアルコール綿には、アルコールが含まれています。アレルギーが心配な人はあらかじめ、採血を担当する医療スタッフに伝えておきましょう。

また、注射針の先が神経に触れると、神経障害が生じる可能性もあります。針を刺したときにピリッとした刺激を感じたときは、我慢をせずに採血を担当する医療スタッフに伝えましょう。

採血後、場合によっては皮下血腫やアザができることがありますが、数日以内で自然に吸収されます。

抗CCP抗体の血液検査の流れ

抗CCP抗体の血液検査では採血が行われます。ここでは、腕からの採血の具体的な流れについて説明します。

1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。

抗CCP抗体検査は、関節リウマチの診断や治療を始める前に、血液検査として抗CCP抗体があるかを調べられ、人間ドックの二次的な検査としても用いられます。関節痛がある場合、抗CCP抗体で陽性が出ると高い確率で関節リウマチと診断されます。

ただし、抗CCP抗体検査だけでは関節リウマチであると確定する診断にはなりません。
抗CCP抗体で陰性・陽性どちらの結果が出ても、そのほかにみられる炎症反応や関節の超音波検査(エコー)などで経過観察をしていくことが重要になります。

<参考>
京都大学医学部附属病院検査部 検査項目情報(一時サンプル採取マニュアル)

この記事の監修ドクター

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)
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