腫瘍マーカー NCC-ST-439
腫瘍マーカーNCC-ST-439とは?
腫瘍マーカーNCC-ST-439の血液検査は、「NCC-ST-439」という抗体に対する抗原の量を調べる検査です。がんなど体内にある異物を抗原、それに対抗して産生されるタンパク質のことを抗体といいます。
腫瘍マーカーは、がんにかかっているときに増えるタンパク質や酵素の量を調べる検査です。がんになると、がん細胞が特異的な物質を産生するようになり、血液や尿、体液に存在するようになります。
腫瘍マーカーにはいくつかの種類があり、健康時でもみられる物質もあります。NCC-ST-439の抗原は、唾液腺や肝細胞などにも存在します。
腫瘍マーカーNCC-ST-439を調べる目的
腫瘍マーカーNCC-ST-439の血液検査は、血液検査でNCC-ST-439の抗原の量を調べることで、おもに消化器系のがんの有無の可能性を知るために行われます。もともとNCC-ST-439は、胃がんの抗体として人工的に作成されたものです。実際には、消化器のがんをはじめとする複数のがんが抗原となっています。
腫瘍マーカーNCC-ST-439で見つけられる病気
腫瘍マーカーNCC-ST-439の血液検査は、下記の病気の診断に役立ちます。
●膵がん
●胆道がん
●結腸直腸がん
●乳がん
●肝細胞がん
●肺がん
●子宮頸がん など
腫瘍マーカーNCC-ST-439の結果数値の見方
腫瘍マーカーNCC-ST-439の基準値は、男性4.5未満(U/ml)、女性 49歳以下7.0未満(U/ml)、女性50歳以上4.5未満(U/ml)です(国立がん研究センターより)。
腫瘍マーカーNCC-ST-439の血液検査の長所/短所
腫瘍マーカーNCC-ST-439は、肝臓・胆のう・膵臓の病気に影響が少なく、がんに特異性のある腫瘍マーカーです。血液検査によって調べるため、受診者の身体的負担が小さいこともメリットです。
ただし、NCC-ST-439で数値が高くなるがんは複数あります。そのため、陽性となってもどのがんなのか特定できません。がんの部位を調べるために、その他の検査を行う必要があります。
また、膵炎や慢性肝炎などで数値が高くなることもあります。
腫瘍マーカーNCC-ST-439の血液検査の流れ
腫瘍マーカーNCC-ST-439の血液検査は採血によって行われます。具体的な流れは以下のようになります。
1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。
<参考>
国立研究開発法人国立がん研究センター「臨床検査基準値一覧」2020年9月版
この記事の監修ドクター
マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)