腫瘍マーカー SLX
腫瘍マーカーSLXの血液検査とは?
腫瘍マーカーSLXの血液検査は、血液中に含まれる「SLX(シアリルLex-i抗原)」という物質の量を調べる検査です。
腫瘍マーカーは、がんにかかっているときに増えるタンパク質や酵素の量を調べる検査です。がんになると、がん細胞が特異的な物質を産生するようになり、血液や尿、体液に存在するようになります。腫瘍マーカーにはいくつかの種類があり、健康時でもみられる物質もあります。
腫瘍マーカーSLXを調べる目的
血液検査でSLXの量を調べることで、腺がんの有無の可能性を知ることができます。腺がんは、上皮組織のうち体液を分泌する腺組織から発生するものです。
また、がんの治療中であれば、進行の度合い、治療効果、再発や転移の有無を確認するのにも役立ちます。
腫瘍マーカーSLXの血液検査で見つけられる病気
腫瘍マーカーSLXの血液検査は、下記の病気の診断に役立ちます。
●肺腺がん
●卵巣がん
●膵がん
●子宮がん
●胆道がん
●大腸がん など
腫瘍マーカーSLXの結果数値の見方
血液検査における腫瘍マーカーSLXの基準値は、38.0 以下(U/ml)です(京都大学医学部附属病院より)。SLXが基準値よりも高い場合は、腺がんの可能性があります。
腫瘍マーカーSLXの血液検査の長所/短所
腫瘍マーカーSLXでは、腺がんの有無や治療効果について確認できます。血液検査によって調べるため、受診者の身体的負担が小さいことがメリットです。
一方で、腺がんは複数あるので、腫瘍マーカーSLXの血液検査だけではどのがんなのか特定できません。がんの部位を調べるために、その他の検査を行う必要があります。
また、SLXの数値は加齢で減少し、妊娠している女性で上昇することがあります。
腫瘍マーカーSLXの血液検査の流れ
腫瘍マーカーSLXの血液検査は、採血を行います。具体的な流れは以下のようになります。
1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。
<参考>
京都大学医学部附属病院検査部 検査項目情報(一時サンプル採取マニュアル)
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)