血液検査は、食事の前後や検査時間で数値が大きく変化するって本当?
本当です。血液検査は食事の前後や検査時間で数値が大きく変化します。
食事の前後で大きく変化する数値は?
血液検査の数値を正しく評価するには、食事が与える影響や検査時間の影響をできるだけ少なくする必要があります。食事の前後で大きく変化する数値は「血糖値」と「中性脂肪」です。
血糖値は食事の影響を受けやすく、食後に高くなります。血糖値とは血液中のブドウ糖の濃度を示しています。血糖値が高くなると糖尿病が疑われ、本来は不要だったはずの追加検査が必要となってしまいます。
血液中の中性脂肪も、食事の影響を受けやすく、食後に高くなります。中性脂肪は、エネルギー源であるブドウ糖が不足した場合、それを補うためのエネルギー源となるものです。体内に取り込んだエネルギーが余った場合、肝臓で中性脂肪が合成され、皮下脂肪として脂肪組織に蓄えられています。中性脂肪が高いと、動脈硬化が進み、脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすくなります。正確でない中性脂肪の値が出てしまうと、本来不要だったはずの追加検査や生活指導が必要となってしまいます。
決められた時間よりあとに間違って食事をとってしまった場合は、医師や医療スタッフに報告し、検査が可能であるか確認しましょう。
次に、検査時間に関してですが、体内の血液中の成分には、一定の日内リズムに従って濃度が大きく変化するものがあります。特に貧血の検査をするための血清鉄は、朝に高く夜に低くなるという特徴があります。検査の基準値が朝であることが前提として算出されていますので、検査時間を守る必要があります。
食事の内容も血液検査の結果に影響が出る
検査の前日は21時までに食事を済ませますが、脂身の多い肉を大量に食べてしまうと、血液検査の中性脂肪の数値に影響を与えますので控える必要があります。できれば、検査前日の夕食はやわらかめに炊いたご飯、野菜スープやうどんといった消化によいものを食べるように心がけましょう。
また、アメやガムは食事ではないと思って、検査当日に食べてしまう受診者がいます。ですが、アメやガムは血糖値に影響を与えるので、当日の検査が終わるまでは控える必要があります。
検査前日の食事は21時までに済ませ、検査当日の朝食は控える
一般的に空腹時採血とは、夕食後 12 時間以上絶食した状態で採血することを意味し、血液検査の基準とされています。より精度の高い検査をするために、検査前日の食事は21時までに済ませ、検査当日の朝食は控えましょう。
また、決められた時間に検査が受けられるように、当日は余裕を持って行動しましょう。
この記事の監修ドクター
マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)