人間ドック受診前は、食事や運動などに気をつけたほうがいい?
食事や飲酒は制限があります。激しい運動をした場合、結果が変わることがあります。
食事について気をつけたほうがいいこと
検査前の食事は、検査が午前中であれば前日の21時までに済ませましょう。検査が午後であれば、当日の午前中の食事が可能か確認しておく必要があります。
食事の種類に関しては、胃や腸に残留物が残っていると検査に支障が出るため、消化によいものが望ましいです。例えば、やわらかめに炊いたご飯、野菜スープ、うどんなどが消化によいものです。牛乳、卵、チーズなどの乳製品は、胃の粘膜を覆ってしまうため、レントゲン撮影に影響が出てしまいます。
水分摂取に関しては、検査前日は、基本的に制限はありません。検査当日は、検査の2時間前まではコップ1〜2杯程度なら飲水可能です。ただし、カフェインを含む飲み物、清涼飲料水などの甘い飲み物、薬などは、食事と同じ扱いになりますので注意してください。また、ガムやアメも血糖値に影響を与えますので、習慣的にこれらを口にする人は、検査前は控える必要があります。
普段内服している薬があれば、検査当日の朝に内服が可能かを確認しておきましょう。
飲酒について気をつけたほうがいいこと
飲酒は制限がありますので、注意が必要です。飲酒をするとアルコールが血液中に溶け込み、その血液が肝臓へ運ばれて代謝され、腎臓でろ過されて、尿として排出されます。このように、アルコールは飲んでからしばらく影響が持続し、肝機能や中性脂肪、血糖、尿酸の検査にも影響を与えるため、前日は必ず飲酒を控えましょう。
また、アルコールの代謝には個人差があり、人によっては影響が持続する期間が異なるため、可能であれば1週間程度の飲酒が望ましいともされています。基本的に高齢であればあるほど、肝臓での代謝に時間がかかるようになりますので、より意識して検査前は飲酒を控えましょう。
運動について気をつけたほうがいいこと
検査の1週間前から運動を始めても、検査結果が改善されることはありません。
むしろ、激しい運動は血液検査の肝機能の項目に影響を与え、検査の精度を下げる原因となってしまいます。また、激しい運動をすることによって、筋肉に血液が集中し、腎臓へ流れる血液量が減少します。
また、運動で汗をかくと脱水傾向になり、腎臓への血液供給量はさらに減るため、腎臓が無理に血液をろ過しようとして尿に蛋白が出てしまいます。激しい運動によって尿に蛋白が出てしまうと、尿検査の尿蛋白に影響を与えて腎機能が正しく評価できないため、数日前から激しい運動は控えましょう。特に、普段から運動をしない人は軽い運動でも、検査に与える影響が大きくなりがちです。検査前にはりきって急に運動を始めるのは、逆効果ですので、いつもどおりの生活を心がけましょう。
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)