検査前日にお酒を飲んでもいい?
検査の前日の飲酒は控えてください。
一般的には、21時以降の飲食禁止
検査前日・検査当日は飲食の制限があります。一般的には、21時以降は飲食禁止ですので、厳守しましょう。
多くの検査施設では、前日は禁酒としています。なぜなら、飲んだアルコールの分解作用には、年齢・性別で個人差があるため、正確に何時間後に体内からアルコールが完全に抜けるかといったことが分からないからです。
厚生労働省の情報サイト「e-ヘルスネット」によると、ビール500ml(アルコール20g)を分解するのに男性ではおよそ2.2時間、女性でおよそ3時間程度かかるとしています。あくまで目安ですが、これをもとにアルコール20gに相当する酒量を挙げてみます。
<アルコール20g(分解時間:男性2.2時間、女性3時間)に相当する酒量>
※厚生労働省「e-ヘルスネット」の情報をもとに編集部で作成
中ジョッキ1杯は350~500mlとされており、たとえば居酒屋でビール中ジョッキ2杯を飲むだけでも、アルコール分解にかかる時間は男性で約4.4時間、女性で約6時間、分解速度が遅い人ではさらにかかる可能性があります。さらにハイボールやチューハイなどを追加すると、分解時間も加算されていきます。
アルコールが検査に与える影響
なぜアルコールが検査に影響するのでしょうか。アルコールは体内に入ると血液に乗って肝臓に運ばれます。肝臓でアルコールの分解処理が行われるのですが、肝臓に負担がかると酵素が多く分泌されます。代表的な酵素はγ-GTP/GOT/GPTです。
肝機能に何かしら異常が起きている場合、血液検査でこれらの数値が高くなります。高い場合は、脂肪肝炎・ウイルス性肝炎・肝がんの可能性が示唆されますが、飲酒が数値の異常に影響してしまいます。
どうしても前日に飲酒しなければならない状況であった、忘れていて思わず飲んでしまったと言う場合には、血液検査の数値は参考程度だと捉えるようにしましょう。飲んでしまったあとは、カフェインの入っていない水分を多めに取り排出を促してください。
アルコールを前日に飲んでしまった場合は、担当の医師や看護師にその旨を伝えておくことをお勧めします。
アルコールの影響が持続する時間には個人差があります
アルコール分解の時間には個人差が大きいです。
例えば、
●性別
●年齢
●食後か空腹時か
●睡眠中か起床時か
●体重
●体質
●体調
など多くの要因が関係してきます。正確に自分がどのくらいの速度で処理できるかは、そのための詳しい検査をしない限りわかりません。
正しい検査を行うためには、検査前日に飲酒を控えるのが最善と言えるでしょう。医療施設によっては、1週間前からの禁酒等を勧めているところもありますので、各施設の決まりに従ってください。
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)