検査結果の数値データが基準範囲内であれば健康?
数値上は異常がないことを示していますが、健康かどうかは問診や画像データを含めて総合的に診断されます。
血液検査や尿検査の数値だけでは判断できない疾患も
血液検査や尿検査の検査結果のデータはあくまで、数値に異常がないことを示しています。確かに検査のデータが基準範囲内であれば、異常がない可能性が高いですが、基準範囲内でも、画像診断などほかの検査をすることで、がんなどの疾患が見つかる場合もあります。
検査結果のデータはあくまで、身体の状態を補助的に示すものであって絶対的な指標ではないことを知っておきましょう。医師は、検査データのほかに問診、画像診断などを含め、総合的に病気の診断を行います。検査データの数値だけで、健康かどうかを自身で判断するのは避けましょう。
基準範囲内ぎりぎりの数値は、異常の一歩手前
例えば、ある時の人間ドックで「LDLコレステロール」の検査数値が179だったとします。厚生労働省の定める「LDLコレステロール」の基準範囲内は120~179で、異常は180以上と設定されています。
このように、いくら基準範囲内だったとしても、ぎりぎりの数値の場合は異常の一歩手前と診断されることが多いです。この場合、経過観察と同じ扱いになることが多く、生活習慣の改善が求められます。
また、基準範囲内であっても過去の検査結果と比べて急激に上昇した項目や、どんどん数値が悪化している項目も注意が必要です。過去の検査結果はしばらくの間、保管しておくことをおすすめします。
検査結果のデータが基準範囲内でも、体調が悪い場合は早めに受診を
検査結果のデータは、受診当日の皆さんの健康指標です。検査結果がよかったとしても、体調がすぐれない日はやってきます。もし、少しでも体調がすぐれないと感じたときは、検査結果のデータのことは1度忘れ、早めに医療機関を受診することを心がけましょう。
また重大な疾患になる前に、身体のリスクを知り、対策し、健康状態をキープするために、定期的に人間ドックを受診することをおすすめします。
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)