沖縄県南風原町字宮平212
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沖縄県は九州・沖縄地方に属する160の島しょから成り立つ南北に長い県で、県庁所在地は那覇市です。サンゴ礁が発達する美しい海に囲まれた亜熱帯性の気候で、他の都道府県には見られない珍しい動植物や生物が存在しています。琉球王朝時代の文化を今にのこす、日本を代表する観光立県です。
2021年11月1日現在の沖縄県の人口は約146.9万人(推計人口)です。人口規模は、47都道府県のうち25位(2021年1月1日現在)です。国勢調査によると、沖縄県の人口は現在に至るまで増加傾向にあるものの、その増加率は鈍化しています。なお、日本全体のピークは2008年です(推計人口)。国立社会保障・人口問題研究所の2018年時点の推計によれば、沖縄県の人口は2030年までは増加が続きますがその後減少に転じ、2045年には142.8万人まで減少するとされています。
2021年1月1日現在における65歳以上の高齢者人口は約33.2万人で、高齢化率は22.3%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、沖縄県の高齢化率は日本全体より低い状況にあります。しかし、「沖縄県地域医療構想」によれば、今後の沖縄県は、高齢者人口の増加と生産年齢人口・年少人口の減少により、急速に高齢化が進むとされています。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
下記は、2016年における沖縄県の健康寿命と「日常生活に制限のある期間の平均」です(カッコ内は全国平均)。日常生活に制限のある期間が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
健康寿命※2016年 | 日常生活に制限のある期間の平均※2016年 | 【参考】平均寿命※2015年 | |
---|---|---|---|
男性 | 71.98歳(72.14歳) | 8.21年(8.84年) | 80.3歳(80.8歳) |
女性 | 75.46歳(74.79歳) | 12.16年(12.34年) | 87.5歳(87.0歳) |
2015年現在の沖縄県の健康寿命は、男性71.98歳、女性75.46歳で、これは47都道府県のうち男性25位、女性10位です。日常生活に制限のある期間の平均は、男女ともに全国平均よりやや短い程度にとどまっています。2000年代前半、沖縄県は健康長寿の地域として世界的に有名でしたが、現在はトップランカーとは言い難い状況であると言えます。沖縄県は、2014年に「健康おきなわ21(第2次)~健康・長寿おきなわ復活プラン~」を策定し、平均寿命・健康寿命の延伸に取り組んでいます。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、沖縄県と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
---|---|---|---|---|---|
沖縄県※2019年 | 悪性新生物(がん)26.1% | 心疾患13.7% | 脳血管疾患8.1% | 老衰7.6% | 肺炎5.1% |
日本全体※2019年 | 悪性新生物(がん)27.3% | 心疾患15.0% | 老衰8.8% | 脳血管疾患7.7% | 肺炎6.9% |
沖縄県の死因順位と割合を日本全体と比較すると、脳血管疾患が第3位でやや多く、老衰が第4位でやや少なくなっています。また、死因第1位は日本全体と同じくがんですが、日本全体よりはわずかに少なくなっています。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
厚生労働省が示している指針は下記の通りです。全国各市区町村に対し、科学的根拠に基づいた効果が認められるがん検診を推奨しています。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 |
---|---|---|---|
胃がん検診 | 問診、胃部X線検査(バリウム)または胃内視鏡検査(胃カメラ)のいずれか | ・バリウム検査:40歳以上・胃カメラ:50歳以上 | ・バリウム検査:年1回・胃カメラ:2年に1回 |
子宮頸がん検診 | 問診、視診、子宮頸部細胞診および内診 | 20歳以上女性 | 2年に1回 |
肺がん検診 | 問診、胸部X線検査および喀痰検査 | 40歳以上 | 年1回 |
乳がん検診 | 問診およびマンモグラフィ | 40歳以上女性 | 2年に1回 |
大腸がん検診 | 問診および便潜血検査 | 40歳以上 | 年1回 |
これを受け、全国各市区町村は、基本的に上記に沿ってがん検診を実施しています。さらに、前立腺がん検診や子宮体がん検診などの実施、年齢の引き下げ、受診費の無料化などに取り組んでいる市区町村もあります。
市区町村によっては、がん検診の無料クーポンが配布されている場合があります。沖縄県の県庁所在地である那覇市の場合、がん検診無料クーポンは以下の通りです。
種類 | 対象者※年齢は当該年度4月1日時点で判定 | 無料になる検査項目 |
---|---|---|
子宮頸がん | 20歳女性 | 子宮頸部細胞診 |
乳がん(エコー) | 30、36歳女性 | 乳腺エコー検査(乳腺超音波検査) |
乳がん(マンモグラフィ) | 40歳女性 | 乳房X線検査(マンモグラフィ) |
がん検診の詳細は各市町村ページをご参照ください。
沖縄県那覇市の健康への取り組みを見る(医療施設一覧ページへ)
下記は、2015年度から2019年度の沖縄県全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 5.5% | 22.8% | 12.9% | 18.8% | 10.8% |
2016年度 | 10.7% | 17.9% | 10.0% | 16.6% | 8.2% |
2017年度 | 11.0% | 17.5% | 9.9% | 15.6% | 8.3% |
2018年度 | 10.7% | 16.8% | 9.4% | 15.4% | 8.1% |
2019年度 | 9.6% | 16.3% | 9.1% | 15.3% | 7.9% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
沖縄県のがん検診受診率は、乳がん検診以外はおおむね日本全体のがん検診受診率を上回っているか同程度です。沖縄県では、2018年に「第3次がん対策推進計画」を策定し、がん検診の受診勧奨など、がん対策を推進しています。
2016年度から一部の受診率が顕著に増減している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
沖縄県のがん検診の受診向上やがん予防のための取り組みをご紹介します。
・保健所における無料の肝炎ウイルス検査および相談実施 肝臓がんや肝硬変などに進行するリスクをともなうウイルス性肝炎(B型・C型)について、保健所にて無料で肝炎ウイルスの検査および相談を実施している。また、肝炎ウイルス陽性者に対してはフォローアップや検査費用の助成を行い、重症化予防を図っている。
・たばこおよび受動喫煙対策の推進 肺がんのリスクを高める喫煙について、リーフレットやCMでの煙草の健康影響に関する知識の普及啓発や、禁煙治療に保険が使える医療機関を紹介するなどの禁煙支援、喫煙室の設置にかかる一部経費の助成制度の案内などを行っている。
沖縄県では、市町村によって人間ドックの費用を補助または助成している場合があります。詳しくは各市町村のWebサイトをご参照ください。例として、沖縄市、うるま市、宜野湾市の人間ドック費用助成を紹介します。
●人間ドックおよび脳ドック 【対象者】 18歳以上の沖縄市民 【助成額】 人間ドック:7,210~21,510円 脳ドック:7,210円 ※加入している社会保険、年齢による区分、医療機関の検査項目により変動あり ※脳ドック助成額は、市の基本健診と同等の検査項目を含むコースの場合
●人間ドック 【対象者】 40歳以上の国民健康保険加入者、後期高齢者医療保険加入者 【助成額】 最大18,771円 ※加入している社会保険、年齢による区分、医療機関の検査項目により変動あり
●脳ドック 【対象者】 40歳以上のうるま市に住民票のある方 【助成額】 ・国民健康保険加入者および後期高齢者医療保険加入者 40歳~74歳:17,000円 75歳以上の後期高齢者医療加入者:13,000円 ・上記以外 40歳~74歳:9,729円
●人間ドック 【対象者】 40歳以上の国民健康保険加入者、後期高齢者医療保険加入者 【自己負担額】 市のがん検診が有料対象の方:11,370円 市のがん検診が無料対象の方:8,320円
「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。
審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。
全国で390以上の施設が認定されており、このうち沖縄県内の機能評価認定施設は2021年12月現在で5施設あります。
マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。
沖縄県では、沖縄県健康増進計画である「健康おきなわ21(第2次)~健康・長寿おきなわ復活プラン~」に基づいて健康増進への取り組みを行っています。
・スポーツ周遊マップの紹介 より手軽にスポーツを楽しめるよう、各スポーツ大会や市町村、観光施設などで設定しているサイクリング、ランニング、ウォーキングコースを多数紹介している。絶景ポイントや歴史スポットなど、コースの見どころも紹介している。
・「わたしの免疫力アップ宣言」企画 自分の生活習慣改善行動を宣言し、健康的な生活習慣を実践・継続することを県民にうながしている。特設サイトでは、県知事自らが出演する配信動画で「グーパーストレッチ体操」や、県産野菜でつくられた知事のお弁当、カチャーシーを踊る様子を紹介している。
・「うちなー予防めし」のレシピ紹介 日本栄養士会が取り組む「予防めし」の基準に基づき、沖縄県栄養士会の会員が考案する沖縄県の身近な食材や沖縄料理を活用したバランスレシピを紹介している。
※本記事は2021年12月時点の情報を元に作成しています。