ペプシノゲン検査
ペプシノゲン検査の血液検査とは?
ペプシノゲン検査は、血液中に含まれるペプシノゲンという成分の量や割合を調べる検査です。ペプシノゲンは、胃の消化酵素であるペプシンの前の段階の物質です。
ペプシノゲン検査の血液検査の目的
ペプシノゲンは、血液中にわずかに含まれますが、萎縮性胃炎になると減少するという特徴があります。萎縮性胃炎になる人は胃がんになりやすいため、早期の胃がんを見つけるのに役立ちます。
ペプシノゲン検査の血液検査で見つけられる病気
血液検査でペプシノゲンを調べることは、萎縮性胃炎を見つけるきっかけになります。
ペプシノゲン検査の血液検査の見方
ペプシノゲン検査では、ペプシノゲンⅠの量とペプシノゲンⅠとⅡの比率を調べます。基準値は以下のようになります。
●ペプシノゲンⅠの量 70㎎/ml以下
●ペプシノゲンIとⅡの比率 3.0以下
※胃がん検診ガイドラインより
ペプシノゲン検査が基準値以下でも、胃がんであるというわけではありません。ただし、胃がんになるリスクは高いので、定期的に胃がん検診を受ける必要があります。胃がんのリスクをみつける血液検査として、ピロリ抗体検査を併用することがあります。
「ピロリ抗体検査」についてもっと詳しく見る→
ペプシノゲン検査の長所/短所
ペプシノゲンを調べるには、採血で手軽に行うことができます。ペプシノゲン検査は萎縮性胃炎を発見する検査です。陰性であるということは、現在は胃粘膜の萎縮がないということであり、胃がんではないということではありません。胃がんの可能性が低いということが言えるのです。
この検査は血液検査なので、人によっては注射針による痛みを苦痛に感じる人もいるかもしれません。採血で極度にストレスを感じると、副交感神経が緊張して、冷や汗、低血圧、顔面蒼白、吐き気などの症状が現われることがあります(「迷走神経反射」といいます)。
採血では、消毒綿や手袋、注射針のなどの物品を使うため、アレルギーを起こす可能性もあります。特に、アレルギーでよくみられるのが、感染予防に使用されるアルコール綿です。アレルギーに心当たりのある人はあらかじめ、採血を担当する医療スタッフに伝えるようにしましょう。
また、採血の手技によっては神経損傷が生じることがあります。神経損傷は、注射の針先が神経に触れることで起こります。採血時にピリッとした刺激を感じたときは、採血の担当スタッフに伝えるようにしましょう。採血による神経損傷の多くは、2~3ヵ月で自然に治ります。
なお、採血後には、アザなど皮下血種ができることがありますが、数日以内で自然に吸収されます。
ペプシノゲン検査の流れ
ペプシノゲンを調べるには、採血が行われます。ここでは、腕からの採血の具体的な流れについて説明します。
1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)