PSA検査で前立腺がんは見つかる?
PSA検査は、あくまで前立腺がんの“可能性”を調べるスクリーニング検査です。
PSA検査は前立腺がんの早期発見に役立つ
PSA検査は前立腺がんのスクリーニング検査(がんの可能性があるかどうかを調べるための検査)の1つです。このPSA検査を受けることで、前立腺がんの早期発見につなげることができ、前立腺がんで亡くなるリスクや、がんが転移する可能性の低下、治療の選択肢の増加が期待できます。
PSA検査で前立腺がんと確定できるわけではない
PSA検査では前立腺がんの確定診断を下すことはできません。あくまでPSA検査は前立腺がんの可能性を調べる検査ですから、正確な診断をするのであれば、前立腺の組織を取って調べるか、直腸内検診が有用になります。
PSA値が高くなる原因はさまざま
PSAの値は年齢によって基準が設けられていますが、値が高くなるにつれ前立腺がんである確率は高いと言えます。ただし、PSAの値は前立腺がんだけではなく、前立腺肥大症や前立腺炎でも高くなることがわかっています。そのため、炎症や肥大によるものなのかを調べるためにもPSAの値は使われています。PSA値が基準値以上だった場合でも50~80%はがんが見つからないこともあると言われています。また、過剰診断によって必要がない治療を受けることになる過剰治療のリスクも引き起こす可能性があります。
家族に前立腺がん患者がいる場合は早めの検査を
前立腺がんのかかりやすさには家族歴も関係しています。そのため、家族に前立腺がんと診断された人がいる男性は、40歳になったらPSA検査を受けることが推奨されています。また、PSA検査は定期的に受けることも薦められています。
理由として、前立腺がんは自覚症状がほとんどないことが挙げられます。自覚症状がほとんどないにもかかわらず、症状が出てでてからがんが発見されると、そのうちの40%がすでにほかの臓器に転移してしまっていると言われています。PSA検査はそのような事態を防ぐために定期的に受けるべき検査だと言えるでしょう。
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この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)