前立腺がん
前立腺がんとは?
前立腺がんとは、前立腺にできる悪性腫瘍です。前立腺は、男性の膀胱の下部に尿道を取り巻くように位置する器官です。前立腺には、前立腺液を分泌する役割がありますが、働きについては未解明の部分も多いです。
前立腺がんの種類
前立腺がんは段階別に次のように分類されています。
早期がん
前立腺の早期がんでは、自覚症状はほとんどありません。前立腺がんのほかに前立腺肥大症にかかっている場合は、進行がんと同じような症状が現れます。
進行がん
前立腺の早期がんでは、排尿障害や射精障害が現れます。
進行転移がん
前立腺がんはリンパ節や骨に転移しやすいがんです。
前立腺がんの症状
前立腺がんは初期の段階では自覚症状はほとんどありません。がんが大きくなるにつれて尿道が圧迫されるため、以下のような症状が現れます。
●尿の勢いが弱く、力む必要がある
●尿を出し切ることができない
●尿の回数が増える
●血尿が出る
等
前立腺がんの原因と予防法
前立腺がんは、加齢や遺伝が原因と考えられています。自覚症状の乏しい疾患のため、定期的な検査による早期発見が重要です。
前立腺がんになりやすい人
次の項目に当てはまる人は、前立腺肥大になりやすいと言えます。
●60歳以上の男性
●肥満傾向の人
●脂質の多い食事を好む人
前立腺がんの病期(ステージ)別生存率
前立腺がんは、がんの中でも予後が良好ながんです。前立腺がんの病期ごとの5年相対生存率は次のようになります。
※出典:全国がんセンター協議会の生存率共同調査(2019年2月集計)
前立腺がんの死亡数
食生活の欧米化にともない、日本の前立腺がんの患者数は急激に増えています。厚生労働省の「平成29年(2017)人口動態統計(確定数)」によると、2017年のがんで死亡した男性の数は22万398人で、うち前立腺がんの死亡数は1万2013人でした。
また、国立がん研究センターがん情報サービスによると、2012年の男性疾患数(全国合計値)では、胃がん、肺がん、大腸がんに次いで4位と、多くなっています。
前立腺がんを調べる検査
前立腺がんを調べる検査には次のような検査があります。
PSA(PA)
採血で、前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSAを調べます。
「PSA(PA)」についてもっと詳しくみる→
前立腺触診
医師が肛門から指を挿入し、前立腺の大きさや固さを確認します。
腹部エコー検査
腹部にジェルを塗り、超音波の出る医療機器を当てて、残尿がないか確認します。
「腹部エコー検査」についてもっと詳しくみる→
前立腺エコー検査
超音波の出る医療機器を肛門より入れて、前立腺の状態を確認します、腹部エコーよりも詳しくみることができます。
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)