岩手県盛岡市西仙北1-17-18
岩手県紫波郡矢巾町医大通り二丁目1番6号
岩手県盛岡市下ノ橋町6-14
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岩手県は東北地方に属する県で、県庁所在地は盛岡市です。石川啄木や宮沢賢治などの出身地として知られているほか、中尊寺などの遺産群が世界遺産に登録されている平泉といった歴史的な名所も有しています。2011年の東日本大震災や、2016年の台風10号によって一部甚大な被害を受けましたが、力強く復興に取り組んでいます。
2021年10月1日現在の岩手県の人口は約119.6万人(推計人口)であり、47都道府県のうち32位(2021年1月1日現在)です。「岩手県人口ビジョン(2020年3月改訂)」によると、岩手県の人口は1997年以降、減少し続けています。なお、日本全体のピークは2008年です(推計人口)。国立社会保障・人口問題研究所の2018年時点の推計によれば、岩手県の人口は現状のままでは2045年には約88.5万人まで減少するとされています。
2021年10月1日現在における65歳以上の高齢者人口は約40.6万人で、高齢化率は34.3%です。2020年10月現在の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、岩手県の高齢化率は日本全体を上回っていると言えます。多くの地方自治体と同様に高齢者の人口は増加しており、今後も高齢化が進んでいくことが予想されます。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
下記は、2016年における岩手県の健康寿命と「日常生活に制限のある期間の平均」です(カッコ内は全国平均)。日常生活に制限のある期間が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
健康寿命※2016年 | 日常生活に制限のある期間の平均※2016年 | 【参考】平均寿命※2015年 | |
---|---|---|---|
男性 | 71.85歳(72.14歳) | 8.10年(8.84年) | 79.9歳(80.8歳) |
女性 | 74.46歳(74.79歳) | 11.90年(12.34年) | 86.5歳(87.0歳) |
2016年現在の岩手県の健康寿命は、男性71.85歳、女性74.46歳で、これは47都道府県のうち男性28位、女性34位です。「日常生活に制限のある期間の平均」は男女ともに全国平均より短い一方で、健康寿命と平均寿命が全国平均を下回っています。このことから、岩手県民は全国平均よりやや早世の傾向にあるため、健康寿命と日常生活に制限のある期間も短いと推察できます。
「健康いわて21プラン(第2次)」では、健康寿命の延伸と脳卒中死亡率全国ワースト1位からの脱却を全体目標に掲げて、県民が健康でいきいきと暮らす社会の実現を目指しています。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、岩手県と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
---|---|---|---|---|---|
岩手県※2019年 | 悪性新生物(がん)25.1% | 心疾患16.3% | 脳血管疾患10.9% | 老衰9.6% | 肺炎6.2% |
日本全体※2019年 | 悪性新生物(がん)27.3% | 心疾患15.0% | 老衰8.8% | 脳血管疾患7.7% | 肺炎6.9% |
岩手県の死因割合をみると、脳血管疾患で亡くなる割合が日本全体より3.2ポイント高くなっています。岩手県では、2015年の脳卒中死亡率が男性は全国ワースト1位、女性が全国ワースト3位となっていることからも、脳卒中による死亡率の高さが課題であると言えます。一方、がんの割合は日本全体を2.2ポイント下回っています。しかしながら、生活習慣病による三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)の割合は日本全体が50.0%であるのに対し、岩手県では52.3%を占めており、健康寿命延伸のためには生活習慣病の予防が重要と言えます。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
厚生労働省が示している指針は下記の通りです。全国各市区町村に対し、科学的根拠に基づいた効果が認められるがん検診を推奨しています。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 |
---|---|---|---|
胃がん検診 | 問診、胃部X線検査(バリウム)または胃内視鏡検査(胃カメラ)のいずれか | ・バリウム検査:40歳以上・胃カメラ:50歳以上 | ・バリウム検査:年1回・胃カメラ:2年に1回 |
子宮頸がん検診 | 問診、視診、子宮頸部細胞診および内診 | 20歳以上女性 | 2年に1回 |
肺がん検診 | 問診、胸部X線検査および喀痰検査 | 40歳以上 | 年1回 |
乳がん検診 | 問診およびマンモグラフィ | 40歳以上女性 | 2年に1回 |
大腸がん検診 | 問診および便潜血検査 | 40歳以上 | 年1回 |
これを受け、全国各市区町村は、基本的に上記に沿ってがん検診を実施しています。さらに、前立腺がん検診や子宮体がん検診などの実施、年齢の引き下げ、受診費の無料化などに取り組んでいる市区町村もあります。
市町村によっては、がん検診の無料クーポンが配布されている場合があります。岩手県の県庁所在地である盛岡市の場合、がん検診無料クーポンは以下の通りです。
種類 | 対象者※年齢は当該年度末時点で判定 | 無料になる検査項目 |
---|---|---|
子宮頸がん | 21歳女性 | 問診、視診、内診、細胞診 |
乳がん | 41歳女性 | 問診、視触診、マンモグラフィ |
また、次の方は無料でがん検診を受診することができます。 ・生活保護受給者の方 ・中国残留邦人支援給付受給者の方 ・市民税非課税世帯の方(世帯全員が非課税) ・年度末での年齢が70歳以上の方 ・65歳以上69歳以下で後期高齢者医療制度に加入している方(受診時に後期高齢者医療被保険者証の提示が必要)
がん検診の詳細は各市町村ページをご参照ください。
岩手県盛岡市の健康への取り組みを見る(医療施設一覧ページへ)
下記は、2015年度から2019年度の岩手県全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 15.9% | 29.9% | 22.6% | 16.3% | 24.2% |
2016年度 | 15.8% | 19.9% | 13.4% | 30.0% | 13.7% |
2017年度 | 15.2% | 19.5% | 12.8% | 26.4% | 13.1% |
2018年度 | 14.3% | 19.0% | 12.6% | 25.7% | 12.7% |
2019年度 | 13.8% | 18.8% | 12.3% | 25.3% | 12.5% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
岩手県のがん検診受診率は、2015年度の乳がん検診を除き、全検診において日本全体を上回っています。受診率がもっとも高いのは乳がん検診です。しかし、全検診とも年々受診率は低下傾向にあり、これは日本全体においても同様の傾向です。
2016年度から一部の受診率が顕著に低下している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
岩手県ではがん検診の受診率向上やがん予防に向けて、「第3次岩手県がん対策推進計画(2018年3月)」に基づき次のような取り組みを行っています。
・がんに関する教育の推進 がんに関する正しい知識と予防啓発を効果的に行うために、小学生向けのがん教育リーフレット「がんについて知ろう」を作成。また、高校生を対象としたがん教育講演会への講師の派遣、教員を対象とした研修会の開催などを実施。子どもを通し、親世代へも正しい理解と知識の醸成を図る狙いもある。
・「がん検診受診率向上プロジェクト」の実施 企業や事業所、団体と連携して「岩手県がん検診受診率向上プロジェクト」を実施。岩手県もしくは提携企業が作成したがん検診の普及啓発パンフレットを配布するなど、がん検診の受診を推奨している。
・肝炎ウイルス検査の無料実施 県内の各保健所と県内の委託医療施設でB型およびC型肝炎ウイルス検査を無料で実施。肝硬変や肝臓がんの発症リスクとなり得る肝炎ウイルスの早期発見と早期治療を目的としている。年齢制限はなく、肝炎ウイルス検査を一度も受けたことがない方または医師が必要と認めた方が対象。
・乳がん自己触診法リーフレットの作成 乳がんの早期発見のために、自己触診の方法をわかりやすく図解したリーフレットを作成。月に1度、日にちを決めて自己触診を行うことを推奨している。
岩手県では、市町村によって人間ドックの費用を補助または助成している場合があります。くわしくは各市町村のWebサイトをご参照ください。例として、盛岡市、花巻市、北上市の人間ドック費用助成を紹介します。
●人間ドック 【対象者】 盛岡市在住の国民健康保険被保険者、後期高齢者医療被保険者 【助成金額】 20,000円(乳がん検診や子宮がん検診を受診する場合は24,000円) 【留意事項】 ・受診は市内の指定医療施設のみ ・同じ年度内ですでにがん検診を受診した方、特定健康診査や後期高齢者健康診査をすでに受診した方は原則対象外 ・40歳以上の国民健康保険被保険者は「特定健康診査」と「人間ドック」を、後期高齢者医療被保険者は「健康診査」と「人間ドック」を、同じ日に同じ医療機関で受診 ・助成は年度内に1回のみ
●人間ドック 【対象者】 花巻市在住の35歳以上の国民健康保険被保険者、後期高齢者医療被保険者 【助成額】 次の額の合計額(上限20,000円) 1.(人間ドック利用料の)特定健康検査分の額 2.人間ドック利用料から1を除いた額の2分の1相当額 【留意事項】 ・特定健康診査の項目がすべて含まれていること ・人間ドック利用年度に特定健康診査(集団健診)を受診しないこと ・助成は年度内に1回のみ(人間ドック、脳ドックをそれぞれ1回ずつ申請することは可能)
●脳ドック 【対象者】 花巻市国民健康保険に加入している40〜74歳の方(年齢は受診年度末時点で判定) 【助成額】 2分の1相当額(上限20,000円) 【留意事項】 ・人間ドックのオプションとして受ける場合も助成対象 ・申請できるのは1人につき年度内1回のみ
●人間ドック 【対象者】 下記のすべてに当てはまる方。 ・受診時点で国民健康保険の資格を有する満19歳以上の方(年齢は受診年度末時点で判定) ・同じ年度内に人間ドック受診料助成を受けていない方 ・助成対象の人間ドックを受診した年度に、北上市の特定健康診査を受診しない方 ・市の健診及び特定保健指導等に活用するため、人間ドックの受診結果を利用することに同意する方 【助成額】 2分の1相当額(上限20,000円)
「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。
審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。
全国で390以上の施設が認定されており、このうち岩手県内の機能評価認定施設は2021年12月現在で4施設あります。
マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。
岩手県では「健康いわて21プラン(第2次)」に基づき、脳卒中死亡率全国ワースト1位からの脱却を図り、健康寿命の延伸および、県民が健康でいきいきと暮らす社会を実現するため、さまざまな取組みを行っています。
・脳卒中予防への取り組み 脳卒中の発症リスクのひとつである高血圧を予防するために、毎月28日を「いわて減塩・適塩の日」と定めて健康に関する普及啓発を実施。また、「岩手県脳卒中予防県民会議」を設立し、脳卒中の改善を普及啓発する活動などを行っている。
・健康経営に取り組む事業所の認定 健康経営に積極的に取り組む事業所を「いわて健康経営認定事業所」として認定。定期健診受診率実質100%、受動喫煙対策など5つの認定基準がある。さらに一定の要件を満たす事業所には電力量料金の割引といったメリットを付加することで、認定取得を促進している。
・健康イベント「企業対抗チャレンジマッチ」の開催 働き盛り世代の健康度アップを目指し、企業対抗の健康イベントを開催。専用の歩数量計で約半年間、消費エネルギーや歩行速度などを計測し、参加企業間で順位を競う。岩手県によれば、2020年度のチャレンジマッチの結果、多くの参加者に歩行数のアップや内臓脂肪面積の変化などがみられた。
※本記事は2021年12月時点の情報を元に作成しています。