長崎県富の原2丁目350-1
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佐世保市は戦後に平和産業港湾都市として発展し、造船・炭鉱を経て、現在は製造業とともに長崎県北部の商業サービス業の中心となっています。人気の観光スポットも多く、世界で最も美しい湾の認定を受けた「九十九島(くじゅうくしま)」やヨーロッパの街並みを再現した広大なテーマパーク「ハウステンボス」など、毎年たくさんの観光客が訪れています。2005年4月1日付で吉井町・世知原町と、2006年3月31日付で宇久町・小佐々町と、2010年3月31日付で江迎町・鹿町町と合併しています。
2021年9月現在の人口は約24.1万人(推計人口)です。国勢調査によれば、佐世保市の人口は合併前の1960年頃にピークを迎え、合併後も減少傾向が続いています。なお、日本全体のピークは2008年、長崎県全体のピークは1959年です(いずれも推計人口)。国立社会保障・人口問題研究所によれば、現状のままでは2030年には約23.1万人に減少すると推計されています。2020年10月現在における65歳以上の高齢者人口は約7.6万人で、高齢化率は31.8%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、佐世保市の高齢化は全国よりも進んでいると言えます。日本の多くの自治体と同様、総人口減少に対して高齢者人口は増加しています。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
下記は、佐世保市の平均寿命と健康寿命を示した表です(カッコ内は全国平均)。佐世保市の健康寿命は、介護保険情報等により独自に算出されています。平均寿命と健康寿命との差(不健康である期間)が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
男性 | 女性 | |||||
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2010年 | 2015年 | 増減 | 2010年 | 2015年 | 増減 | |
平均寿命 | 78.9歳(79.6歳) | 80.4歳(80.8歳) | +1.0 | 86.2歳(86.4歳) | 87.0歳(87.0歳) | +0.4 |
健康寿命 | 77.53歳 | 79.33歳 | +1.11 | 83.15歳 | 84.24歳 | +1.09 |
不健康である期間 | 1.37歳 | 1.07歳 | -0.3 | 3.05歳 | 2.76歳 | -0.11 |
佐世保市の平均寿命は2010年時点では全国平均を下回っていたものの、2015年時点では全国に近づきつつあります。佐世保市の2015年の健康寿命は男性79.33歳、女性84.24歳で、2010年と比較し、男女ともに1歳以上の延伸が見られます。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、佐世保市と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
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佐世保市※2018年 | 悪性新生物(がん)28.5% | 心疾患14.8% | 老衰7.4% | 脳血管疾患7.2% | 肺炎6.6% |
日本全体※2019年 | 悪性新生物(がん)27.3% | 心疾患15.0% | 老衰8.8% | 脳血管疾患7.7% | 肺炎6.9% |
佐世保市の死因順位は日本全体と同じです。ポイント数では、1位のがんが日本全体を上回っており、1.2ポイント高い数値になっています。「第2次けんこうシップさせぼ21」の2019年中間報告で、長崎県内においてはとくに大腸がんの罹患率は男女ともに高く、佐世保市も大腸がんによる死亡者が減少していない状況と報告されています。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
佐世保市が実施しているがん検診の種類と費用は下記の通りです。太字は、佐世保市独自の取り組みです。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 | 費用 |
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胃がん | 胃内視鏡(胃カメラ)または胃透視検査(バリウム) | 30歳以上 | 年1回 | ・30~39歳:3,000円・40歳以上:1,000円 |
子宮頸がん | 子宮頸部細胞診 | 20歳以上の女性 | 年1回 | 1,000円 |
肺がん | 胸部X線検査、喀痰検査※喀痰検査は原則50歳以上の方で喫煙指数600以上の方が対象 | 40歳以上 | 年1回 | 400円*喀痰検査は+500円 |
乳がん | ・30~39歳:乳腺エコー検査、視触診・40~49歳の女性:マンモグラフィ(2方向)、視触診※・50歳以上の女性:マンモグラフィ(1方向)、視触診※※40歳以上の視触診は希望者のみ | 30歳以上の女性 | 年1回 | ・30~39歳:1,500円・40~49歳:1,500円・50歳以上:1,100円 |
大腸がん | 便潜血検査(2日法) | 40歳以上 | 年1回 | 600円 |
前立腺がん | 血液検査(PSA測定) | 50歳以上の男性 | 年1回 | 400円 |
佐世保市のがん検診は、基本的には厚生労働省の指針に沿っており、より手厚く実施されています。胃がん検診や乳がん検診は早い年齢から受診できます。受診間隔も胃がん検診、子宮頸がん検診、乳がん検診は年1回と指針より多くなっています。さらに指針にはない前立腺がん検診を実施しているのも特長です。
佐世保市では、各がん検診の対象年齢に該当する国民健康保険(市国保)加入者に対し、がん検診自己負担額の全額助成を行っています。対象となるがん検診は下記の通りです。無料クーポンなどの受診券の配布がないため、受診の際には保険証が必須です。
・胃がん検診(胃内視鏡、胃透視) ・子宮頸がん検診 ・肺がん検診(胸部レントゲン) ・乳がん検診 ・大腸がん検診(便潜血検査) ・前立腺がん検診
また、次の方は各種証明を提示することでがん検診を無料で受診することができます。 ・70歳以上の方(年齢確認できるもの) ・生活保護受給世帯(生活保護受給証明書) ・市民税非課税世帯(世帯分全部を証明する住民票と世帯全員分の所得課税証明書等)
佐世保市のがん検診は同一年度内(4月1日から翌年3月31日まで)に1回のみ受診できます。職場等で同様の検診が受診できる方、1年以内に同様の検診を受けた方、検診部位を病気等で治療中の方、経過観察中の方、自覚症状のある方などは対象外です。
下記は、佐世保市が実施した2015年度から2019年度の各がん検診の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
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2015年度 | 24.0% | 52.8% | 27.6% | 38.5% | 23.9% |
2016年度 | 15.7% | 20.7% | 10.1% | 16.9% | 8.1% |
2017年度 | 15.5% | 21.3% | 9.6% | 16.7% | 7.8% |
2018年度 | 15.1% | 21.2% | 9.5% | 16.0% | 8.1% |
2019年度 | 14.3% | 21.2% | 8.2% | 15.8% | 7.4% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
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2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
佐世保市の乳がんと大腸がん以外のがん検診受診率は日本全体を上回っており、とくに胃がん検診については日本全体の2倍近い受診率となっています。2017年度以降に胃がん検診以外が大きく低下しており、なかでも日本全体より受診率の低下が見られるのは乳がん・大腸がん検診です。しかしながら、全検診とも年々低下している傾向にあり、これは日本全体においても同様の傾向です。
2016年度から一部の受診率が顕著に低下している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、佐世保市では『広報させぼ』やWeb上での周知・広報や啓発キャンペーンなどを通じて、受診率向上のために次のような取り組みを行っています。
・胃がんリスク検診(血液検査)の実施 ピロリ菌に感染しているかどうか(ピロリ菌抗体)と胃粘膜の萎縮の程度(ペプシノゲン値)を測定し、胃がんリスクを判定。対象条件を満たす40~69歳の佐世保市民は、自己負担金1,000円で受診できる(2021年度は一部中止)。
・肝炎ウイルス検診(血液検査)の無料実施 検査内容はB型肝炎ウイルス検査(HBs抗原検査)、C型肝炎ウイルス検査(HCV抗体検査)。佐世保市に住所を有する満20歳以上の方で、過去に肝炎ウイルス検査を受けたことがない方であれば無料で受診できる。
・女性がん検診における託児サービスや週末検診の実施 予約制の集団がん検診。検診部位は子宮頸がん、肺がん、乳がん、大腸がん。各種がん検診の対象者であれば申込可能。託児付きや土曜・日曜の日程もある。予約は健康づくり課への電話が必要となる(2021年度は一部中止)。
佐世保市では、国民健康保険加入者に対して市内の指定医療施設での脳ドックを実施しており、受診費を助成しています。佐世保市の脳ドックの助成内容は下記の通りです。
【助成対象者】 40~74歳までの佐世保市国民健康保険加入者で、市役所医療保険課特定保健係または各支所・宇久行政センターの窓口で申込みが受理された方 ※年度ごとに助成定員あり。予定定員数を超過した場合は抽選
【自己負担額】 9,000~14,000円
脳ドックと特定健康診査はあわせて実施されます。受診日に市国保を脱退していたり、特定健康診査を受診してしまっていたりする場合は、市が負担した費用の返納を求められることがあります。申込要件や受付期間など詳細は佐世保市サイトで確認してください。
また、佐世保市が設立した福利厚生サービス団体「ウェルズサセボ」にて、人間ドック等の助成を行っています。ウェルズサセボへの加入対象者は佐世保市および近郊の事業所に勤務する従業員と事業主です。詳細はウェルズサセボ公式サイトで確認してください。
「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。
審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。
全国390以上の施設が認定されており、このうち佐世保市内の機能評価認定施設は2021年9月現在で1施設あります。
マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。
佐世保市では、生活習慣病の発症予防や重症化予防のために、さまざまな取り組みを行っています。なかでも大きな取り組みを4つ紹介します。
・骨粗しょう症検診 検査内容は、DXA法(二重エックス線吸収法)で利き手と反対の手で測定。無料対象者は佐世保市に住民票があり、年度末時点の年齢が40歳・45歳・50歳・55歳・60歳・65歳・70歳になる女性。骨密度の測定のほか骨粗しょう症予防に関するリーフレットも配布。
・成人歯科検診(歯周病健診) 18歳以上の市民を対象に近隣の歯科医院で受診できる歯科健診を実施。高校生を除く18歳・19歳の方と、妊娠中・産後1年未満の方は無料。20歳以上の方は自己負担金が500円。80歳以上で20本以上(重度なむし歯を除く)の歯があり希望する方には、後日「8020認定証」が送られる。
・30歳からの若年者健診 佐世保市国民健康保険に加入の30歳~39歳の方に「若年者健診受診券」を配布。コミュニティセンターなどで実施する集団健診会場にて、市の特定健診が自己負担1,000円で受診できる。利用の際には会場と日程を決めて電話予約が必要。
・佐世保けんこうマンス 元気に健康で楽しく毎日を送るために「食」「運動」「測定(健診)」が重要という考えから、毎年11月の1ヶ月間を「佐世保けんこうマンス」として「食」「運動」「測定」などの分野で地元の企業・団体に協力してもらい、健康メニューを提供。健康づくりのきっかけにしてもらう取り組み。
※本記事は2021年9月時点の情報を元に作成しています。