和歌山県和歌山市紀三井寺870-2
和歌山県和歌山市堀止南ノ丁4-31
和歌山県御坊市湯川町財部733-1
和歌山県和歌山市湊本町3丁目4-1
和歌山県和歌山市小松原通4-20日本赤十字社 和歌山医療センター
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和歌山市は和歌山県の県庁所在地で、1997年に中核市に移行しました。中核市とは地方自治法に基づき、政令によって指定される人口20万人以上の市を指します。2021年現在、62市が指定されています。
2021年9月現在の人口は約35.2万人(推計人口)です。国勢調査によれば、和歌山市の人口は1985年をピークに減少に転じています。なお、日本全体のピークは2008年、和歌山県全体のピークは1983年です(いずれも推計人口)。国立社会保障・人口問題研究所によれば、和歌山市の人口は現状のままでは2045年には約29.7万人に減少すると推計されています。
2021年8月現在における65歳以上の高齢者人口は約11.2万人で、高齢化率は30.7%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、和歌山市の高齢化率は全国と比べて高めであることがわかります。また、多くの地方自治体同様、人口が減少しているのに対して、高齢者の人口は増加しています。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
下記は、和歌山市の平均寿命と健康寿命を示した表です(カッコ内は全国平均)。和歌山市は健康寿命を「日常生活動作が自立している期間の平均」と定義し、介護保険要介護認定に基づいた要介護2〜5以外の状態として算出しています。平均寿命と健康寿命との差(不健康である期間)が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
男性 | 女性 | |||||
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2010年 | 2016年 | 増減 | 2010年 | 2016年 | 増減 | |
平均寿命 | 79.5歳(79.6歳) | 79.8歳(80.8歳) | +0.3 | 85.8歳(86.4歳) | 86.2歳(87.0歳) | +0.4 |
健康寿命 | 78.0歳 | 78.3歳 | +0.3 | 82.2歳 | 82.6歳 | +0.4 |
不健康である期間 | 1.5年 | 1.5年 | ±0 | 3.6年 | 3.6年 | ±0 |
和歌山市の2016年の健康寿命は男性78.3歳、女性82.6歳です。2010年と2016年を比較すると、平均寿命の延びと健康寿命の延びが男女ともに同じであるため、不健康である期間に変化はありません。「チャレンジ健康わかやま」では健康寿命の延伸を目標として挙げています。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、和歌山市と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
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和歌山市※2019年 | 悪性新生物(がん)27.7% | 心疾患16.9% | 老衰9.9% | 肺炎8.7% | 脳血管疾患6.0% |
日本全体※2019年 | 悪性新生物(がん)27.3% | 心疾患15.0% | 老衰8.8% | 脳血管疾患7.7% | 肺炎6.9% |
和歌山市の死因順位は3位まで日本全体と同様ですが、4位の肺炎と5位の脳血管疾患の順序が日本全体と入れ替わっています。ポイント数では、1〜4位の死因であるがん、心疾患、老衰、肺炎が日本全国を上回っており、なかでも2位の心疾患は日本全体より1.9ポイント高い数値となっています。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
和歌山市が実施しているがん検診の種類と費用は下記の通りです。太字は、和歌山市独自の取り組みです。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 | 費用 |
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胃がん | 問診、胃部X線検査(バリウム)または胃内視鏡検査(胃カメラ) | 50歳以上 | 2年に1回 | 【集団】・70歳未満:1,000円・70歳以上:500円【個別】・70歳未満:3,000円・70歳以上:1,500円 |
子宮頸がん | 問診、視診、子宮頸部細胞診、内診 | 20歳以上女性 | 2年に1回 | ・70歳未満:2,000円・70歳以上:1,000円※個別のみ |
肺がん | 問診、胸部X線検査 | 40歳以上 | 年1回 | 【集団】無料【個別】・70歳未満:1,000円・70歳以上:500円 |
乳がん | 問診、マンモグラフィ | 40歳以上女性 | 2年に1回 | 【集団】・70歳未満:1,500円・70歳以上:700円【個別】・70歳未満:2,000円・70歳以上:1,000円 |
大腸がん | 問診、便潜血検査 | 40歳以上 | 年1回 | 【集団】・70歳未満:500円・70歳以上:250円【個別】・70歳未満:1,000円・70歳以上:500円 |
和歌山市のがん検診は厚生労働省の指針に沿った内容となっています。
和歌山市のがん検診の無料クーポンは下記の通りです。
種類 | 対象者※年齢は当該年度4月1日時点で判定 | 無料になる検査項目 |
---|---|---|
子宮頸がん | 20歳の女性 | 問診、視診、子宮頸部細胞診 |
乳がん | 40歳の女性 | 問診、視触診、マンモグラフィ |
無料クーポン券配布対象者が、クーポン券が届く前に「和歌山市の検診」を受診した場合、医療機関へ支払った自己負担金が返金されます。
また、次の方は無料でがん検診を受診することができます。 ・生活保護受給世帯の方 ・市民税非課税世帯の方 ・重度心身障害児者医療費助成を受けている方 ・後期高齢者医療保険区分「1」あるいは「2」の方 ・和歌山県国民健康保険区分「オ」「低所得1」「低所得2」の方
下記は、和歌山市が実施した2015年度から2019年度の各がん検診の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
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2015年度 | 1.0% | 18.0% | 4.1% | 14.7% | 5.6% |
2016年度 | 3.6% | 17.9% | 4.1% | 15.6% | 4.0% |
2017年度 | 5.1% | 16.5% | 3.9% | 14.5% | 3.7% |
2018年度 | 4.6% | 15.6% | 3.3% | 13.8% | 3.2% |
2019年度 | 4.0% | 14.0% | 3.2% | 12.9% | 3.1% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
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2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
和歌山市のがん検診受診率は、ほとんどの検診において日本全体を下回っています。日本全体との乖離が最も小さいのは子宮頸がん検診で、年度によっては上回っています。しかしながら、全検診とも年々低下している傾向にあり、これは日本全体においても同様の傾向です。
日本全体のデータにおいて、2016年度から一部の受診率が顕著に低下している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
和歌山市では、がん検診の受信率向上やがん予防のため、いくつかの取り組みを行なっています。
・肝炎ウイルス検診の実施 肝炎ウイルスは肝臓がんの主因のひとつであり、事前に適切な検査を受けることで肝臓がんのリスクを低減することができる。和歌山市では、40歳以上で肝炎ウイルス検査の受診歴がない方を対象に、肝炎ウイルス検診を実施している。特定健診との同時受診が原則で、自己負担額は70歳未満1,000円、70歳以上500円。ただし、がん検診と同様の条件で自己負担免除対象が設定されている。また、40歳になる年度に無料受診券が配布される。
・特定健診受診者プレゼントキャンペーン 国民健康保険被保険者を対象に「特定健康診査受診券」を配布しており、この受診券を利用して特定健康診査を受診した人を対象にプレゼントキャンペーンを行っている。受診券を利用して受診をすれば自動的に応募となり、毎月抽選でプレゼントが当たる。
和歌山市では、和歌山市在住の国民健康保険被保険者および後期高齢者医療被保険者を対象に人間ドック費用の一部助成を行っています。
国民健康保険被保険者には「特定健康診査受診券」が配布されます。この受診券を利用して、特定健康診査(無料)もしくは人間ドックのいずれかを選択できます。後期高齢者医療保険被保険者の場合、特定健康診査(無料)と人間ドックを同時に受診する場合に人間ドックの費用助成を受けることができます。和歌山市の一日人間ドックの助成内容は下記の通りです。
【助成対象者】 ・和歌山市在住の40~74歳の国民健康保険被保険者 ・和歌山市在住の75歳以上で当該年度内に偶数年齢になる後期高齢者医療保険被保険者
【助成額(いずれも上限)】 国民健康保険被保険者:22,400円 後期高齢者医療保険被保険者:12,940円
助成金額は人間ドックの検査内容に関わらず一律で、助成金額を超えた費用を自己負担することになります。また、助成費用に満たない場合は、医療施設への支払い額全額が助成されます。
和歌山市は健康寿命延伸にむけ、さまざまな取り組みを行っています。和歌山市の取り組みのうち、ユニークなものを紹介します。
・オンライン健康セミナー オンライン会議ツールZoomを利用し、オンラインで受講することができる健康セミナーを実施している。喫煙に関してなど関心のあるトピックに応じて、自宅などから受講することが可能。
・和歌山市健康ウォーク 市民のウォーキング意識を高めるため、市内のウォーキングコースなどについてまとめた冊子を配布している。景色や季節の移り変わりを楽しみながら、飽きることなくウォーキングを続けるための助けとなっている。
・わかやま健康ポイント 和歌山県が実施している「わかやま健康ポイント」に和歌山市でも参加することが可能。専用のアプリなどを通して健康ポイントを貯めることができる。個人単位や自治会単位などで申し込みが可能で、獲得した健康ポイントに応じてランキングが公開される。上位者には賞品などが用意されている。
※本記事は2021年12月時点の情報を元に作成しています。