山形県山形市西崎49番地の6全日本労働福祉協会 山形健診センター
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山形市は山形県の県庁所在地です。1889年、日本で最初に市制が施行された31市のうちの1市として誕生しました。1968年には人口が20万人を超え、2019年には中核市となっています。中核市とは、地方自治法に基づき政令によって指定される人口20万人以上の市を指し、2021年4月1日現在、62市が指定されています。
2021年11月現在の人口は約24.6万人(推計人口)です。国勢調査によれば、山形市の人口は2005年をピークに減少に転じています。なお、日本全体のピークは2008年、山形県全体のピークは1950 年です(いずれも国勢調査をもとにした推計人口)。国立社会保障・人口問題研究所によれば、山形市の人口は現状のままでは2045年には約21.2万人までに減少すると推計されています。
2020年10月現在における65歳以上の高齢者人口は約7.3万人で、高齢化率は29.8%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、山形市の高齢化は全国よりもやや進んでいると言えます。多くの地方自治体同様、人口が減少しているのに対して、高齢者の人口は増加しています。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
下記は、山形市の平均寿命と健康寿命です(カッコ内は全国平均)。山形市では、厚生労働省による健康寿命の算定方法の指針の介護保険データを利用した算定方法(要介護2~5を不健康(要介護)な状態とし、それ以外を健康(自立)な状態として想定)により健康寿命を算出しています。平均寿命と健康寿命との差(不健康である期間)が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | ||
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男性 | 平均寿命 | 80.84歳 | 81.17歳 | 81.18歳 | 81.15歳(80.7歳) | 81.72歳(80.9歳) |
健康寿命 | 79.52歳 | 79.84歳 | 79.83歳 | 79.83歳 | 80.33歳 | |
女性 | 平均寿命 | 86.36歳 | 87.44歳 | 86.90歳 | 88.24歳(86.9歳) | 87.93歳(87.1歳) |
健康寿命 | 83.50歳 | 84.46歳 | 84.07歳 | 85.05歳 | 84.75歳 |
山形市の平均寿命はおおむね上昇傾向にあり、2015年、2016年は男女とも全国平均を上回っています。健康寿命もなだらかな上昇傾向にあり、2016年の健康寿命は男性80.33歳、女性84.75歳となっています。山形市では「山形市発展計画2025」において、2024年度の健康寿命を男性80.94年、女性 84.93年とする目標を掲げています。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、山形市と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
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山形市※2019年 | 悪性新生物(がん)26.5% | 心疾患15.3% | 老衰15.1% | 脳血管疾患7.4% | 肺炎6.4% |
日本全体※2019年 | 悪性新生物(がん)27.3% | 心疾患15.0% | 老衰8.8% | 脳血管疾患7.7% | 肺炎6.9% |
山形市の死因順位は日本全体と同じです。ポイント数では、1位のがんや4位の脳血管疾患、5位の肺炎が日本全体をやや下回り、2位の心疾患は日本全体とほぼ同じです。注目したいのは3位の老衰が日本全体を大きく上回っていることで、健康寿命が延びてきていることのあらわれと考えられます。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
山形市が実施しているがん検診の種類と費用は下記の通りです。太字は、山形市独自の取り組みです。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 | 費用 |
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胃がん | バリウム造影検査または胃内視鏡検査(胃カメラ) | ・バリウム:40歳以上・胃カメラ:50歳以上の偶数年齢の方 | ・バリウム:年1回・胃カメラ:2年に1回 | ●バリウム・集団:1,400円・個別:3,400円●胃カメラ・3,700円(個別のみ) |
子宮がん | 子宮頸部細胞診、子宮体部細胞診※子宮体がん検診は6ヶ月以内に不正性器出血、月経異常、褐色のおりものがあった方 | 20歳以上女性 | 2年に1回 | ●子宮頸がん検診・集団:1,600円・個別:2,000円●子宮頸がん検診+子宮体がん検診・2,900円(個別のみ) |
肺がん | 胸部X線検査(レントゲン)、痰検査※痰検査は50歳以上でタバコを多く吸う方 | 40歳以上 | 年1回 | ●レントゲン・集団:300円・個別:1,000円●胸部X線+痰検査・集団:1,200円・個別:2,000円 |
乳がん | 乳房X線検査(マンモグラフィ)※40歳代2方向撮影、50歳代以降1方向撮影 | 40歳以上女性 | 2年に1回 | ●40歳代(2方向)・集団:1,500円・個別:1,600円●50歳代以降(1方向)・集団:900円・個別:1,000円 |
大腸がん | 便潜血検査 | 40歳以上 | 年1回 | ・集団:600円・個別:1,300円 |
前立腺がん | 血液検査(PSA値) | 50歳以上男性 | 年1回 | 800円 |
山形市のがん検診は、基本的には厚生労働省の指針に沿っています。さらに、指針にはない前立腺がん検診を実施しているのが特徴です。また、65歳以上の方は前立腺がん検診を除きすべて無料で受診できます。
山形市のがん検診の無料クーポンは下記の通りです。
種類 | 対象者※年齢は当該年度4月1日時点で判定 | 無料になる検査項目 |
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子宮頸がん | 21歳女性 | 子宮頸部細胞診 |
乳がん | 41歳女性 | マンモグラフィ |
前立腺がん | 61歳女性 | 血液検査(PSA値) |
また、次の方は無料でがん検診を受診することができます。 ・後期高齢者医療保険証を持っている方(75歳以上) ・生活保護受給世帯の方 ・市民税非課税世帯の方 ・中国残留邦人等支援給付金を受けている方が属する世帯の方
下記は、山形市が実施した2015年度から2019年度の各がん検診の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
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2015年度 | 10.0% | 13.5% | 13.4% | 20.4% | 13.9% |
2016年度 | - | - | 13.0% | - | 13.3% |
2017年度 | - | - | 12.3% | - | 12.0% |
2018年度 | 13.8% | 12.6% | 11.8% | 16.5% | 11.4% |
2019年度 | 12.8% | 12.1% | 10.9% | 16.0% | 10.7% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
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2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
山形市のがん検診受診率は、胃がん・肺がん・大腸がん検診で日本全体を大きく上回っていますが、子宮頸がん・乳がんで検診は日本全体を下回っています。また、受診率は胃がんを除く検診で年々低下傾向にあり、これは日本全体においても同様の傾向です。
日本全体のデータにおいて、2016年度から一部の受診率が顕著に低下している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、山形市では次のような取り組みを行っています。
・胃がんリスク層別化検査(ABC分類)の実施 がんそのものを見つけるのではなく、胃がん発生のリスクを判定する検査。血液検査(ヘリコバクター・ピロリ抗体、血清ペプシノゲン)により胃がん発生の大きなリスクとされるピロリ菌の持続感染の有無と胃粘膜萎縮状態を組み合わせて発生のリスクを判定する。対象者は40歳以上で検査当日に胃がん検診も受診した方。受診費は500円(集団健診、山形市国保ミニドック検診)もしくは1,000円(個別健診)。
・肝炎ウイルス検査の無料実施 B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスはともに、急性肝炎、慢性肝炎の原因となり、さらには肝硬変や肝臓がんの発症リスクともなりうる。早期に感染を見つけて治療につなげることが大切。対象者は希望者全員(事前予約制)で、受診費は無料。なお、B型ウイルス検査・C型肝炎ウイルス検査のほか希望があればHIV、性器クラミジア、梅毒の検査を受けることができる。
・センター内早朝がん検診 特定の検診センターで通常の集団健診よりも早い時間にがん検診を実施。最も早い検診センターでは、午前6時45分から受診受付を開始している。
・無料保育付きレディース健診 20~39歳の子宮頸がん検診対象者に向け、すこやか健診と子宮頸がん検診のセット健診を設定。料金は3,100円。
山形市では、山形市国民健康保険加入者に対し、「山形市国保ミニドック検診」を実施しており、実質の助成と言えます。実施概要は下記の通りです。
【対象者】 山形市国民健康保険に加入する40~74歳の方
【自己負担額】 40~64歳:4,144円 65歳以上または非課税世帯:1,544円
年度ごとに定員があります。詳細は、山形市サイトまたは山形市役所で確認してください。
「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。
審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。
全国で390以上の施設が認定されており、このうち山形市内の機能評価認定施設は2021年9月時点で1施設あります。
マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。
山形市では、「健康づくり山形21」を策定し、急速な人口の高齢化や生活習慣の変化に伴う疾病構造の変化に対応し、総合的な健康づくりを目指しています。また、「山形市国民健康保険保健事業実施計画(データヘルス計画)」をもとに、国保加入者の生活習慣病対策をはじめとしてさまざまな健康増進や重症化予防策を実施しています。
・すこやか検診 20~39歳の方で、会社等で健診を受ける機会のない方に向けて実施している。料金は1,500円。
・山形市健康ポイント事業SUKSK(スクスク) スマホアプリや専用歩数計を活用し、歩いた歩数や健(検)診受信、健康教室への参加などでポイントがたまるポイント事業。ためたポイントで抽選に参加でき、さまざまな記念品が当たる。18歳以上の山形市民が対象。
・虚血性心疾患及び脳血管疾患の新規患者抑制対策 データヘルス計画において、特定健診受診の結果が要治療者、かつ山形市が定めるモニターすべきリスク因子(「高血圧」「脂質異常」「高血圧+脂質異常」「高血圧+脂質異常+高血糖」)保有者のうち未治療者に対して通知文書を送付し、その中でより指導が必要と判断された方については、訪問等により医療機関への受療を勧奨している。
※本記事は2021年9月時点の情報を元に作成しています。