肝臓がん
肝臓がんとは?
肝臓がんとは、肝臓の細胞や胆管に発生するがんのことをいいます。肝臓がんは、肝臓からがんが発生する「原発性肝がん」よりも、ほかの臓器のがんが転移する「転移性肝がん」が多くなります。
肝臓がんの種類
肝臓がんには次の2つの種類があり、それぞれ治療法が異なります。
●肝細胞がん
肝臓の細胞にできたがんで、肝臓がんの95%を占めます。
●肝内胆管がん
肝内胆管がんは、肝臓の内部にある胆管と呼ばれる部位にできるがんです。胆管細胞がんと呼ぶこともあります。
肝臓がんの症状
初期の肝臓がんでは、症状はあまりみられませんが、がんが進行すると次のような症状が現れます。
●倦怠感
●むくみ
●肌や白目の部分が黄色くなる
●茶色の尿が出る
等
肝臓がんの原因と予防法
肝臓がんの多くは、肝炎から肝硬変、肝臓がんと移行します。肝炎にはウイルス性、アルコール性、薬剤性などさまざまなものがあります。肝炎を予防することは、肝臓がんの予防につながります。
肝臓がんになりやすい人
次の項目に当てはまる人は、肝臓がんになりやすいといえます。
●肝炎の既往がある人
●がんの既往がある人
肝臓がんの病期(ステージ)別生存率
肝臓がんの5年相対生存率は、下記のとおりです。
※出典:全国がんセンター協議会の生存率共同調査(2019年3月集計)
肝臓がんの罹患数と死亡数
厚生労働省の「平成26年(2014)患者調査」によると、がん(悪性新生物)による入院と外来を含む年間の患者数は約30万800人で、そのうち肝臓がんの患者数は約1万2400人
でした。
また、厚生労働省が2018年9月に公表した「平成29年(2017)人口動態統計(確定数)」によると、がん(悪性新生物)による年間の死亡数は37万3334人でした。そのうち、肝臓がんの死亡数は、2万7114人でした。
肝臓がんを調べる検査
肝臓がんを調べる検査には以下のものがあります。
血液検査 :AST(GOT)、ALT(GPT)、AFP、PIVKA-Ⅱ
採血によって、肝臓の細胞が破壊されたときに増える酵素の量や腫瘍マーカーを調べる検査です。
「血液検査 AST(GOT)」についてもっと詳しく見る→
「血液検査 ALT(GPT)」についてもっと詳しく見る→
腹部エコー検査(腹部超音波検査)
超音波の反響を画像化する検査です。肝臓など身体の内部の様子を確認することができます。
「腹部エコー検査(腹部超音波検査)」についてもっと詳しく見る→
腹部CT検査
エックス線を回転させながら照射して、身体の断面図をコンピューターで画像化する検査です。
腹部MRI検査
ドーム型の強力な磁石でできた装置に入り、身体の内部を鮮明に画像化する検査です。
血管造影検査
太ももの血管から細い管を挿入し、造影剤によって特定の臓器の血管を映しだす検査です。
生検
超音波検査機器(エコー)や腹腔鏡を用いながら針を刺し、特定の臓器の細胞を採取して調べる検査です。肝生検では、お腹から針を刺します。
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)