AST(GOT)
AST(GOT)とは?
AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)は、GOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)とも呼ばれており、肝臓や心臓、骨格筋に多く存在する酵素です。ASTは血液検査によって調べることができます。
AST(GOT)の検査の目的
健康な人では、血液中のASTの量はわずかです。しかし、肝臓や心臓、筋肉になんらかの問題でダメージを受けると、細胞が破壊されるため血液中のASTの量が増えます。ASTの血液検査は、肝臓や心臓、筋肉の病気の可能性を見つけることを目的に行われます。
AST(GOT)の検査で見つけられる病気
血液検査でAST(GOT)を調べることは、次のような病気の診断に役立ちます。
●急性肝炎
●慢性肝炎
●肝硬変
●脂肪肝
●肝がん
●アルコール性肝障害
●非アルコール性脂肪性肝炎
●心筋梗塞
等
AST(GOT)の検査の見方
AST(GOT)の基準値は、30以下U/L(ユニットパーリットル)です(日本人間ドック学会より)。基準値よりも高い場合は、肝臓や心臓の病気などが疑われます。
人間ドックが受診できる医療施設を探しましょう。予約数が多い施設から探す「予約数順から探す」、
エリアから探す「都道府県で医療施設を探す」「プランを詳細検索する」の3つの切り口から探すことが出来ます。
AST(GOT)の長所/短所
ASTは採血で手軽に調べることができます。医療機関によっても異なりますが、ASTの血液検査は、採血から通常1時間程度で結果を確認することが可能です。
人によっては、一般の注射同様、注射針による痛みを苦痛に感じるかもしれません。採血で極度にストレスを感じると、副交感神経が緊張し、まれに冷や汗、低血圧、顔面蒼白、吐き気などの症状が現われることがあります(「迷走神経反射」といいます)。また、採血の手技によっては神経損傷が生じることがあります。神経損傷は、注射の針先が神経に触れることで起こります。採血時にピリッとした刺激を感じたときは、採血の担当スタッフに伝えるようにしましょう。採血による神経損傷の多くは、2~3ヶ月で自然に治ります。なお、採血後には、アザなど皮下血種ができることがありますが、数日以内で自然に吸収されます。
ほかにも、採血では、消毒綿や手袋、注射針のなどの物品を使うため、アレルギーを起こす可能性もあります。特に、アレルギーでよくみられるのが、感染予防に使用されるアルコール綿です。アレルギーに心当たりのある人はあらかじめ、採血を担当する医療スタッフに伝えるようにしましょう。
AST(GOT)の流れ
AST(GOT)の検査では、採血を行います。ここでは、腕からの採血の具体的な流れについて説明します。
1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。
この記事の監修ドクター
マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)