高知県高知市桟橋通6-7-43
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高知市は高知県の県庁所在地で、1998年に四国で最初の中核市となりました。2005年には鏡村・土佐山村、2008年には春野町と合併し、高知県民人口の4割以上の人々が暮らす現在の高知市となりました。中核市とは地方自治法にもとづき、政令によって指定される人口20万人以上の市を指します。2021年現在、62市が指定されています。
2021年9月現在の人口は約32.3万人(住民基本台帳による)です。国勢調査をもとにした推計人口によれば、高知市の人口は2008年をピークに減少に転じています。なお、日本全体のピークは2008年、高知県全体の直近のピークは1985年です(いずれも推計人口)。国立社会保障・人口問題研究所によれば、現状のままでは2035年には約29.7万人に減少すると推計されています。2021年7月現在における65歳以上の高齢者人口は約9.7万人で、高齢化率は30.1%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、高知市の高齢化は全国よりも進んでいると言えます。多くの地方自治体同様、人口が減少しているのに対して、高齢者の人口は増加しています。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
下記は、高知市の平均寿命と健康寿命、およびその差です(カッコ内は高知県平均)。高知市の健康寿命は、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」として高知県が2015年以降毎年独自に算出しているデータに基づいています。高知県では、平均寿命と健康寿命との差を「障害期間」としています。障害期間が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
男性 | 女性 | |||||
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2015年 | 2018年 | 増減 | 2015年 | 2018年 | 増減 | |
平均寿命(歳) | 80.70(80.26) | 80.57(80.67) | -0.13(+0.41) | 87.13(87.01) | 87.24(87.41) | +0.11(+0.4) |
健康寿命(歳) | 79.06(78.64) | 78.97(79.00) | -0.09(+0.36) | 83.76(83.52) | 83.89(83.94) | +0.13(+0.42) |
障害期間(年) | 1.64(1.63) | 1.60(1.66) | -0.04(+0.03) | 3.37(3.49) | 3.35(3.47) | -0.02(-0.02) |
高知市の2018年現在の健康寿命は、男性78.97歳、女性83.89歳です。2015年との比較において、平均寿命、健康寿命とも高知県平均の伸びを下回っています。なお、「第2期高知市まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、2017年度を基準に2024年度の「65歳の平均自立期間」の目標値を設定しており、男性18.75年(2017年度比+1.28年)、女性22.60年(2017年度比+1.63年)に延伸させるとしています。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、高知市と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
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高知市※2019年 | 悪性新生物(がん)27.2% | 心疾患15.4% | 脳血管疾患8.4% | 肺炎8.3% | 老衰5.4% |
日本全体※2019年 | 悪性新生物(がん)27.3% | 心疾患15.0% | 老衰8.8% | 脳血管疾患7.7% | 肺炎6.9% |
高知市の死因順位は1~4位までが疾患で占められています。日本全体で3位の老衰は、高知市では5位で、ポイント数においても3.4ポイント下回っています。高知市の高齢化は日本全体よりも進んでいますが、老衰で亡くなる方よりもなんらかの疾患で亡くなる方のほうが日本全体よりも多いことがわかります。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
高知市が実施しているがん検診の種類と費用は下記の通りです。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 | 費用 |
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胃がん | 胃部X線検査(バリウム検査)または胃内視鏡検査(胃カメラ) | ・バリウム:40歳以上・胃カメラ:50歳以上 | ・バリウム:年1回・胃カメラ:2年に1回 | ・バリウム(集団):700円・胃カメラ(個別):3,300円 |
子宮頸がん | 視診、内診、細胞診 | 20歳以上女性 | 2年に1回 | 個別:1,200円集団:600円 |
肺がん(胸部検診) | 胸部X線検査 | 40歳以上 | 年1回 | 無料 |
乳がん | 乳房X線検査(マンモグラフィ)※40代2方向撮影、50歳以上1方向撮影 | 40歳以上 | 2年に1回 | ●40代集団:1,350円個別:900円●50歳以上個別:1,050円集団:800円 |
大腸がん | 便潜血検査2日法 | 40歳以上 | 年1回 | 無料 |
高知市のがん検診は、基本的に厚生労働省の指針に沿っています。40歳以上の方は、大腸がん検診、肺がん検診を無料で受けられるのが特徴です。
高知市のがん検診の無料クーポンは下記の通りです。
種類 | 対象者 | 無料になる検査項目 |
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子宮頸がん | 当該年度21歳になる女性 | 視診、内診、細胞診 |
乳がん | 当該年度41歳になる女性 | マンモグラフィ |
また、次の方は申請書の提出により、無料でがん検診を受診することができます。 ・生活保護等受給世帯 ・市民税非課税世帯
下記は、高知市が実施した2015年度から2019年度の各がん検診の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
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2015年度 | 3.1% | 9.3% | 3.9% | 11.3% | 6.7% |
2016年度 | 5.3% | 10.3% | 3.6% | 14.5% | 5.9% |
2017年度 | 5.0% | 11.0% | 3.8% | 16.0% | 6.4% |
2018年度 | 5.0% | 10.5% | 3.7% | 15.4% | 6.5% |
2019年度 | 4.6% | 10.4% | 3.0% | 15.1% | 6.1% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
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2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
高知市のがん検診受診率は、すべての検診で日本全体を下回っています。肺がん検診と大腸がん検診は、40歳以上であれば無料で受診できますが、受診率向上につながっているとは言い難い結果になっています。
日本全体のデータにおいて、2016年度から一部の受診率が増減している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、高知市では次のような取り組みを行っています。がん検診の受診を呼びかけるだけでなく、精密検査の受診を促したり、喫煙対策を行ったりしています。
・20歳代、30歳代の女性のための健康診査 基本検診、歯科検診、子宮頸がん検診をセットで受診できる、20歳代、30歳代の女性専用の健診。託児サービスも実施。3つセットで自己負担金は1,400円。
・禁煙サポーターによる啓発 市や県がボランティアを養成し、地域の人に対して、たばこの害や禁煙の方法などに関する情報発信を行っている。子どもの頃から正しい知識を学ぶ機会を提供するため、子どもへの教育も行う。
・肝炎ウイルスの無料検査と県の費用助成 高知市に住民票があり、これまで検査を受けたことがない市民に対して、肝炎ウイルス検査(B型・C型)を無料で実施している。肝炎ウイルスは肝臓がんの発症リスクとなるため、感染を早期発見し、治療することが予防につながる。精密検査が必要となった場合の初回の検査費用や治療が必要となった場合の治療費については、県の助成制度がある。
高知市では、国民健康保険被保険者が人間ドックと特定健診をセットで受診すると、人間ドックの検査項目のうち、特定健診部分(基本項目のみ)無料となります。特定健診にない項目は実費です。
【助成対象者】 高知市在住の国民健康保険被保険者(40歳以上75歳未満)
【助成額】 特定健診に含まれる項目にかかる費用
ただし、以下の方は特定健診の対象となりません。 ・妊産婦 ・長期入院(6ヶ月以上継続入院)者 ・介護保険施設や障害者支援施設等への入所者 ・特定健康診査に相当する他の健診(労働安全衛生法に基づく事業主健診等)を受け、市が結果データを受領できる方
なお、人間ドックは自由診療のため、医療施設によって費用が異なります。実費として発生する費用は各医療施設に問い合わせて確認してください。対象の医療施設は、高知市サイトに掲載されています。
「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。
審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。
全国で390以上の施設が認定されており、このうち高知市内の機能評価認定施設は2021年9月現在で2施設あります。
マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。
高知市は、2024年度の市民の「65歳の平均自立期間」を男性18.75年、女性22.6年とする目標を掲げています。また、地域のつながりのなかで健やかに暮らせるまちづくりを目指し、多様な関係者が協同して、健康づくりに取り組んでいます。高知市の健康増進への取り組みを紹介します。
・こうちし食育やるぞねっと 「高知市食育推進計画」に賛同する団体・個人のネットワーク。市内での食育推進のために、情報交換を行う。
・いきいき・かみかみ・しゃきしゃき百歳体操 高知市が介護予防を目的として開発したオリジナルの体操。グループでの実施を基本としており、市内に300ヶ所以上の会場がある。内容はそれぞれ、「いきいき百歳体操」は椅子に座り、重りを使いながら筋力アップを図る、「かみかみ百歳体操」は口周りや舌を動かし、食事の自立を助ける、「しゃきしゃき百歳体操」は映像に合わせて体を動かし認知機能を高めるものとなっている。
・高知市いきいき健康チャレンジ 運動習慣をつけるためのイベント。体重測定や禁煙など5種類の目標を選んで、3ヶ月間実施。専用のノートに結果を記録して提出すると、県の健康づくりアプリ「高知家健康パスポート」のポイントが貯まるほか、抽選で景品が当たる。
※本記事は2021年9月時点の情報を元に作成しています。