熊本県熊本市中央区平成3丁⽬23-30サンリブシティ くまなん 3F
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熊本市は熊本県の県庁所在地で、2008~2010年にかけ、富合町、城南町、植木町との合併をはじめとする市域の拡大により人口約74万人にまで成長し、2012年4月には全国で20番目、九州で3番目の政令指定都市に移行しました。政令指定都市とは、地方自治法にもとづき政令によって指定される、人口50万人以上の市を指します。2021年現在、20市が指定されています。
2021年9月現在の人口は約73.2万人(住民基本台帳による)です。国勢調査および推計人口によれば、熊本市の人口は2015年をピークに減少に転じています。なお、日本全体のピークは2008年、熊本県全体の直近のピークは1995~2001年ごろで、以降は減少が続いています(いずれも推計人口)。国立社会保障・人口問題研究所によれば、熊本市の人口は、現状のままでは2045 年には約69万人と推計されています。2021年9月現在における65歳以上の高齢者人口は約19.5万人で、高齢化率は26.7%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、熊本市の高齢化率は全国よりも低いと言えます。多くの地方自治体同様、人口が減少しているのに対して、高齢者の人口は増加しています。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
下記は、熊本市の平均寿命と健康寿命、およびその差です(カッコ内は全国平均)。平均寿命と健康寿命との差(不健康である期間)が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
平均寿命※2015年 | 健康寿命※2013年 | 不健康である期間 | |
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男性 | 81.9歳(80.8歳) | 72.41歳(72.14歳) | 9.49年(8.66年) |
女性 | 87.8歳(87.0歳) | 74.00歳(74.79歳) | 13.80年(12.21年) |
2013年現在の熊本市の健康寿命は、男性72.41歳、女性74.00歳です。なお、他の政令指定都市は2016年のデータがありますが、2016年に発生した熊本地震の影響により、熊本市は健康寿命の基礎資料となる国民健康基礎調査を実施していないため、「健康寿命の全国推移の算定・評価に関する研究」における2016年時点のデータはありません。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、熊本市と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
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熊本市※2018年 | 悪性新生物(がん)27.8% | 心疾患15.0% | 老衰8.0% | 脳血管疾患7.0% | 肺炎5.4% |
日本全体※2019年 | 悪性新生物(がん)27.3% | 心疾患15.0% | 老衰8.8% | 脳血管疾患7.7% | 肺炎6.9% |
熊本市の死因順位は日本全体と同じです。ポイント数でも、ほぼ日本全体の数値と変わりませんが、5位の肺炎は1.5ポイントほど低くなっています。日本全体の死因や割合と似たような傾向であることがわかります。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
熊本市が実施しているがん検診の種類と費用は下記の通りです。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 | 費用 |
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胃がん | ・問診・胃部エックス線検査(バリウム)・問診・胃内視鏡検査(胃カメラ) | ・バリウム40歳以上・胃カメラ50歳以上の偶数年齢の方 | ・バリウム年1回・胃カメラ2年に1回 | ・バリウム1,000円・胃カメラ3,000円 |
子宮頸がん | 問診・視診・内診・子宮頸部細胞診 | 20歳以上の偶数年齢の女性 | 2年に1回 | 個別:1,200円集団:1,000円 |
肺がん | ・問診・胸部エックス線検査・喀痰細胞診 | 40歳以上※50歳以上で、肺がん検診の問診(喫煙歴)により必要と認められた方 | 年1回 | ・胸部エックス線検査40~64歳 300円、65歳以上 200円・喀痰細胞診500円 |
乳がん | 問診・乳房エックス線検査(マンモグラフィ) | 40歳以上女性 | 2年に1回 | 40歳代 1,500円、50歳以上 1,100円 |
大腸がん | 問診・便潜血検査 | 40歳以上 | 年1回 | 個別:500円集団:300円 |
熊本市のがん検診は、基本的には厚生労働省の指針に沿っています。
熊本市のがん検診の無料クーポンは下記の通りです。
種類 | 対象者※年齢は当該年度4月1日時点で判定 | 無料になる検査項目 |
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子宮頸がん | 20歳の女性 | 問診、視診、内診、子宮頸部細胞診 |
乳がん | 40歳の女性 | 問診、乳房エックス線検査(マンモグラフィ) |
また、次の方は無料でがん検診を受診することができます。 ・70歳以上の方 ・市民税非課税世帯の方 ・生活保護受給世帯の方
下記は、熊本市が実施した2015年度から2019年度の各がん検診の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
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2015年度 | 6.1% | 36.7% | 12.8% | 33.3% | 14.8% |
2016年度 | 3.8% | 11.3% | 3.8% | 11.0% | 3.8% |
2017年度 | 3.6% | 12.0% | 3.7% | 10.5% | 4.0% |
2018年度 | 3.4% | 15.1% | 3.5% | 12.8% | 4.3% |
2019年度 | 3.6% | 17.7% | 3.0% | 15.4% | 3.9% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
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2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
熊本市のがん検診受診率は、2015年は胃がん検診をのぞいて日本全体を上回っていましたが、2016年以降は日本全体を下回っている検診がほとんどです。2016年以降、受診率が大きく下がった理由として、2016年に発生した熊本地震による影響が考えられます。日本全体との乖離が最も小さいのは子宮頸がん検診で、2019年は上回っています。しかしながら、全検診とも年々低下傾向にあり、これは日本全体においても同様の傾向です。
2016年度から一部の受診率が顕著に低下している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、熊本市では次のような取り組みを行っています。熊本市いきいき健康大使による啓発活動や、冬期における大腸がん検診の検体郵送など熊本市ならではの施策もあります。
・特定検診と同日実施 特定検診とがん検診の同日集団健診を継続して推進し、受診率向上を図っている。
・熊本市いきいき健康大使の協力による啓発 ミス・ユニバース・ジャパン熊本、熊本大学病院の専門医師や医学部・薬学部などの教員と学生などで構成する子宮頸がん検診受診率向上を目指し結成されたユニット「S.K.K.」、女子小学生くまもと応援バンド「Book Bear (ブックベア )」などの熊本市いきいき健康大使がイベント等で、がん検診の受診啓発などを実施。
・冬期における大腸がん検診の検体郵送 検査の時間が取れない、面倒くさいという声を受け、冬期に検体を郵送することで大腸がん検診を受診できる方法を導入。
熊本市では、国民健康保険被保険者および後期高齢者医療被保険者を対象に、人間ドックの費用の一部が助成されます。人間ドックの助成を受けるには、特定健診あるいは各種検診の受診券を利用します。助成内容は下記の通りです。
【人間ドックの助成対象者】 熊本市国民健康保険被保険者(40歳から74歳まで)および後期高齢者医療被保険者(75歳以上)
【人間ドックの助成額】 約7,000円
受診は年度内に1回で、人間ドックで受診券を使用した場合、同じ年度に別途特定健診を受診することはできません。また、受診券を利用せずに人間ドックを受診した場合、受診券分の払い戻しはできません。その他、詳細は熊本市サイトで確認してください。
「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。
審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった人間ドックの健診施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。
日本人間ドック学会が審査した機能評価認定施設は、全国で410以上の施設が認定されており、このうち熊本市内の人間ドック機能評価認定施設は2023年8月現在で3施設あります。
マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。
熊本市では、健康寿命の延伸に向け、市民の健康への意識づくり、行動変容、環境づくりの3つを基本方針に、さまざまな取り組みを行っています。ユニークな取り組みを紹介します。
・熊本健康アプリ 「もっと健康!げんき!アップ くまもと」 スマートフォン専用アプリ「もっと健康!げんき!アップ くまもとは、「各種健診の受診」や「歩く」など、日々の健康づくり活動を行うことでポイントが付与され、一定ポイント達成で「げんき!アップカード」を獲得。 協力店で「げんき!アップカード」提示して特典を受けたり、豪華賞品プレゼントに応募したりすることができる。
・「熊本市国保特定健診Wキャンペーン」(令和3年度) 熊本市国民健康保険の特定健診対象者(40歳から74歳)の方で、対象期間に特定健診を受診するだけで、ギフトカードやタオルセットなどが当たるキャンペーンに自動応募となる。また、40、50代の受診が少ないことから「40代50代をもっと健診に!!お誘いキャンペーン!」も実施。検診に誘った人、誘われた人ともにクオカードが当たるキャンペーンを実施している(要応募)。
・CKD(慢性腎臓病)対策事業 平成21年度、熊本市の人工透析導入者数は人口比で全国平均の1.47倍だったことから、本事業が開始。慢性腎臓病は腎機能が低下することで脳卒中、心筋梗塞、心不全などの合併症を起こすことがあるため、全国に先駆けて、発病予防や悪化防止などの総合的な取組みを行い、新規人工透析患者数を減らすとともに、心血管疾患の予防を進めている。
※本記事は2021年9月時点の情報を元に作成しています。