宮崎県宮崎市大字恒久5567
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宮崎市は宮崎県の県庁所在地で、南北に約36km続く海岸線を持ち、太平洋に沿って流れる黒潮によって温暖な気候風土に恵まれた都市です。1998年には中核市に移行しました。中核市とは、地方自治法にもとづき政令によって指定される、人口20万人以上の市を指します。2021年現在、62市が指定されています。 2006年1月に佐土原町・田野町・高岡町と合併、さらに2010年3月に清武町と合併して現在の姿になりました。
2021年11月現在の人口は約40.1万人(住民基本台帳による)です。国勢調査をもとにした推計人口によれば、宮崎市の人口は2013年をピークに減少に転じています。なお、日本全体のピークは2008年、宮崎県全体のピークは1996年です(いずれも推計人口)。国立社会保障・人口問題研究所によれば、現状のままでは2030年には約97.7万人に減少すると推計されています。
2021年11月現在における65歳以上の高齢者人口は約11.4万人で、高齢化率は28.5%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、宮崎市の高齢化率は日本全体と同程度と言えますが、多くの地方自治体同様、人口が減少しているのに対して、高齢者の人口は増加しています。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
2021年11月現在、宮崎市の健康寿命は公表されていません。2015年に厚生労働省が発表した宮崎市の平均寿命は下記の通りです。参考として、宮崎県の平均寿命と健康寿命、およびその差である「不健康である期間」も表にまとめました(カッコ内は全国平均)。不健康である期間が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
宮崎市 | 参考:宮崎県 | |||
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平均寿命※2015年 | 平均寿命※2015年 | 健康寿命※2016年 | 不健康である期間 | |
男性 | 81.1歳(80.8歳) | 80.3歳(80.8歳) | 72.05歳(72.14歳) | 8.25年(8.66年) |
女性 | 87.6歳(87.0歳) | 87.1歳(87.0歳) | 74.93歳(74.79歳) | 12.17年(12.21年) |
宮崎市の2015年の平均寿命は、男性81.1歳、女性87.6歳で、全国平均や宮崎県と比較すると、男女ともに長くなっています。宮崎市では、団塊世代がすべて75歳以上になる2025年度までに、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で、自立した日常生活を営むことができるように「地域包括ケアシステム」の構築を目指す中長期的な政策プランを3年おきに策定しています。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、宮崎市と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
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宮崎市※2019年 | 悪性新生物(がん)29.4% | 心疾患15.3% | 脳血管疾患8.4% | 老衰8.1% | 肺炎6.3% |
日本全体※2019年 | 悪性新生物(がん)27.3% | 心疾患15.0% | 老衰8.8% | 脳血管疾患7.7% | 肺炎6.9% |
宮崎市の死因順位は生活習慣病の三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)が1~3位を占めています。また、これらの合計死亡割合は、日本全体よりも3.1ポイント上回っています。老衰が全国平均よりも0.7ポイント低いことからも、生活習慣病は宮崎市において取り組むべき健康課題と言えます。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
宮崎市が実施しているがん検診の種類と費用は下記の通りです。太字は、宮崎市独自の取り組みです。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 | 費用 |
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胃がん | 胃部線検査(バリウム)または胃内視鏡検査(胃カメラ) | ・バリウム50歳以上の奇数年齢・胃カメラ50歳以上の偶数年齢 | 2年に1回 | ●バリウム集団:1,000円個別:2,700円●胃カメラ(個別のみ)3,000円 |
子宮頸がん | 子宮頸部細胞診、HPV(ヒトパピローマウイルス)検査 | ・子宮頸部細胞診20歳以上の女性・子宮頸部細胞診+HPV検査25歳から3歳ごとの女性 | ・子宮頸部細胞診年1回・子宮頸部細胞診+HPV検査3年に1回 | ●子宮頸部細胞診集団:1,000円個別:1,500円●子宮頸部細胞診+HPV検査集団:2,000円個別:2,500円 |
肺がん | 胸部X線検査 | 40歳以上 | 年1回 | 無料 |
乳がん | 超音波検査(乳腺エコー検査)、マンモグラフィ | ・乳腺エコー30歳以上の女性・乳腺エコー+マンモグラフィ40歳以上の奇数年齢の女性 | ・乳腺エコー年1回・乳腺エコー+マンモグラフィ2年に1回 | ●乳腺エコー(個別のみ)2,000円●乳腺エコー+マンモグラフィ集団:3,000円個別:4,000円 |
大腸がん | 便潜血検査 | 40歳以上 | 年1回 | 500円 |
前立腺がん | 血液検査(PSA検査) | 40歳以上の男性 | 年1回 | 集団:500円個別:2,000円(単独実施)、1,000円(他の健診と同時実施) |
宮崎市のがん検診は、基本的には厚生労働省の指針に沿っています。子宮頸がん検診でHPV検査があり、指針にはない前立腺がん検診を実施している点が特徴です。
宮崎市のがん検診の無料クーポンは下記の通りです。
種類 | 対象者 | 無料になる検査項目 |
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子宮頸がん | 21歳の女性 | 子宮頸部細胞診 |
乳がん | 41歳の女性 | マンモグラフィ検査 |
無料クーポン券は単独では使用することができず、別途送付される「宮崎市健康診査受診券」を指定医療機関に提出する必要があります。また、乳がん検診の無料クーポンについては集団検診では使うことができないので、注意してください。
また、次の方は無料でがん検診を受診することができます。 ・後期高齢者医療制度の被保険者 ・生活保護世帯に属する人 ・市民税非課税世帯に属する人
下記は、宮崎市が実施した2015年度から2019年度の各がん検診の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
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2015年度 | 2.1% | 21.0% | 7.4% | 6.2% | 8.6% |
2016年度 | 4.0% | 20.5% | 6.4% | 6.6% | 7.6% |
2017年度 | 4.3% | 21.3% | 6.3% | 11.0% | 6.6% |
2018年度 | 4.5% | 20.9% | 6.0% | 10.1% | 6.3% |
2019年度 | 4.5% | 21.4% | 5.7% | 11.0% | 6.9% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
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2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
宮崎市のがん検診受診率は、子宮頸がん検診以外は、日本全体を下回っています。日本全体との乖離が最も小さいのは大腸がん検診ですが、日本全体と同様に、全検診で受診率が年々低下しています。
2016年度から一部の受診率が顕著に低下している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、宮崎市では次のような取り組みを行っています。
・胃がんリスク検査の実施 「胃がんリスク検診(ABC検診)」は、胃粘膜の萎縮の程度(血清ペプシノゲン値)とピロリ菌感染の有無(血清ピロリIgG抗体)を測定して、将来の胃がんリスクを予測する検診。胃カメラやバリウム検査の必要がなく、数mlの採血で行うことができる。市が実施するほかの検診(肝炎ウイルス検査を除く)と同時受診の場合は、自己負担額1,000円が500円で受けることができる。
・肝炎ウイルス検診の無料実施 肝炎ウイルスの感染による慢性肝炎や肝硬変は、肝臓がんの主要な原因となっている。ウイルスに感染していても数年は無症状のため、肝炎ウイルスの血液検査(B型・C型)の実施は、肝臓がんの予防につながる。宮崎市に住民登録があり、過去に肝炎ウイルス検査を受けたことがない人が無料で受診することができる。
・事前予約が不要の「フリー検診」を実施 集団検診は、事前予約のいらない「フリー検診」を実施。事前に送付される「宮崎市健康診査受診券」と「健康保険証」を提示すれば、結核・肺がん検診が無料、骨粗しょう症検診が500円(70歳以上は無料)、胃がんリスク検査が500円、前立腺がん検診が500円で受けることができる。
宮崎市では、市内在住の国民健康保険被保険者および後期高齢者医療被保険者を対象に、一日人間ドック・脳ドックの費用の一部が助成されます。助成内容は下記の通りです。
【対象者】 ・特定健康診査対象者(宮崎市国民健康保険加入者の35~74歳の方) ・後期高齢者健康診査対象者(75歳以上の宮崎県後期高齢者医療制度加入者および一定の障がいのある65~74歳の宮崎県後期高齢者医療制度加入者) ※いずれも、当該年度において、特定(後期高齢者)健康診査を受診していない方
【助成額】 ・健康づくり協会での受診 特定健康診査対象者:8,068 円 後期高齢者健康診査対象者:7,639 円 ・その他の医療機関での受診 一律8,210 円 ※詳細な健診項目(心電図検査、眼底検査)は助成対象外
自己負担額は人間ドックでかかる総額から助成金額を差し引いた金額となります。募集時期や詳細については宮崎市のサイトで確認してください。
「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。
審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。
全国で390以上の施設が認定されており、このうち宮崎市内の機能評価認定施設は2021年11月現在で1施設あります。
マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。
宮崎市は、健康寿命の延伸に向け、市民の健康への意識づくり、行動変容、環境づくりの3つを基本方針に、さまざまな取り組みを行っています。ユニークな取り組みを紹介します。
・健康みやざきマイレージ事業 市民一人ひとりの健康に対する意識向上や健康づくり支援のため、「健康みやざきマイレージ事業」を行っており、基本検診やがん検診などを受けるとポイントが付与される。ポイントをためて応募すると、抽選で2万円の商品券、地場産品セットやQUOカード、自治体マイナポイントがもらえる。
・「健幸運動教室」の開催 高齢者の健康の維持、増進を図り、参加者同士のふれあいの場を提供する目的で、宮崎市内の127会場(令和3年度)で開催されている。宮崎市と宮崎県立看護大学が共同で開発した、11種類のメニューで構成された介護予防運動プログラム「宮崎いきいき健幸体操」を実践し、加齢によって低下する下肢筋力や柔軟性、バランス感覚を維持・向上させることを目的としている。
・1日350gの野菜を食べる『MVP350』の取り組み 市民に1日350gの野菜を摂取してもらうため、『MVP350(エムヴイピーサンゴーマル)』(ミヤザキ・ベジタブル・プロジェクト350)に取り組んでいる。野菜に含まれるビタミンCや食物繊維などの栄養素が身体の中で十分に働くために1日に必要な量350gを食べることを奨励している。
※本記事は2021年11月時点の情報を元に作成しています。