長崎県富の原2丁目350-1
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長崎県は九州地方の西北部に位置し、多くの半島と五島列島や壱岐、対馬など594もの島々からなる県です。県庁所在地は長崎市です。古くから海外交易の要所として栄え、独特な文化を育んできました。長崎と天草地方における潜伏キリシタン関連遺産や軍艦島をはじめとする産業遺産は、世界遺産に登録されています。
2021年12月1日現在の長崎県の人口は約129.5万人(推計人口)です。人口規模は、47都道府県のうち30位(2021年1月1日現在)です。国勢調査によると、長崎県の人口は1960年の176.0万人をピークに減少傾向に転じ、その後わずかに増加がみられたものの、現在に至るまで減少が続いています。なお、日本全体のピークは2008年です(推計人口)。国立社会保障・人口問題研究所の2018年時点の推計によれば、長崎県の人口は今後も減少が続き、2045年には98.2万人にまで減少するとされています。
2021年1月1日現在における65歳以上の高齢者人口は約43.8万人で、高齢化率は32.7%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、長崎県の高齢化率は日本全体より高い数値となっています。長崎県2040年研究会の報告書によれば、2040年ごろには長崎県の生産年齢人口(15~64歳)は53.9%まで減少し、老年人口(65歳以上=高齢者人口)の割合は35.3%に達しピークをむかえると予想されています。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
下記は、2016年における長崎県の健康寿命と「日常生活に制限のある期間の平均」です(カッコ内は全国平均)。日常生活に制限のある期間が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
健康寿命※2016年 | 日常生活に制限のある期間の平均※2016年 | 【参考】平均寿命※2015年 | |
---|---|---|---|
男性 | 71.83歳(72.14歳) | 8.87年(8.84年) | 80.4歳(80.8歳) |
女性 | 74.71歳(74.79歳) | 12.27年(12.34年) | 87.0歳(87.0歳) |
2016年現在の長崎県の健康寿命は、男性71.83歳、女性74.71歳で、男女ともに全国平均をやや下回っており、47都道府県のうち男性30位、女性28位です。また「日常生活に制限のある期間の平均」は男女ともに若干長く、健康寿命の延伸に課題があると言えます。長崎県では、2018年に「健康長寿日年本一長崎県民会議」を設置し、健康寿命日本一の実現に向けて取り組んでいます。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、長崎県と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
---|---|---|---|---|---|
長崎県※2019年 | 悪性新生物(がん)27.1% | 心疾患15.1% | 肺炎7.5% | 脳血管疾患7.3% | 老衰7.1% |
日本全体※2019年 | 悪性新生物(がん)27.3% | 心疾患15.0% | 老衰8.8% | 脳血管疾患7.7% | 肺炎6.9% |
長崎県の死因割合は1~4位までが疾患で占められています。老衰は日本全体より1.7ポイント低く、順位も5位となっています。これは長崎県の健康寿命が男女ともに全国平均を下回ること(「1-2.長崎県の健康寿命」参照)とも合致しています。また、健康長寿日年本一長崎県民会議では、生活習慣に起因するとされる疾患の患者数が全国と比べて多いことが指摘されており、生活習慣の改善などが課題となっています。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
厚生労働省が示している指針は下記の通りです。全国各市区町村に対し、科学的根拠に基づいた効果が認められるがん検診を推奨しています。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 |
---|---|---|---|
胃がん検診 | 問診、胃部X線検査(バリウム)または胃内視鏡検査(胃カメラ)のいずれか | ・バリウム検査:40歳以上・胃カメラ:50歳以上 | ・バリウム検査:年1回・胃カメラ:2年に1回 |
子宮頸がん検診 | 問診、視診、子宮頸部細胞診および内診 | 20歳以上女性 | 2年に1回 |
肺がん検診 | 問診、胸部X線検査および喀痰検査 | 40歳以上 | 年1回 |
乳がん検診 | 問診およびマンモグラフィ | 40歳以上女性 | 2年に1回 |
大腸がん検診 | 問診および便潜血検査 | 40歳以上 | 年1回 |
これを受け、全国各市区町村は、基本的に上記に沿ってがん検診を実施しています。さらに、前立腺がん検診や子宮体がん検診などの実施、年齢の引き下げ、受診費の無料化などに取り組んでいる市区町村もあります。
市区町村によっては、がん検診の無料クーポンが配布されている場合があります。長崎県の県庁所在地である長崎市の場合、がん検診無料クーポンは以下の通りです。
種類 | 対象者※年齢は当該年度4月1日時点で判定 | 無料になる検査項目 |
---|---|---|
子宮頸がん | 20歳女性 | 問診、視診および子宮頸部細胞診 |
乳がん | 40歳女性 | 問診、視触診およびマンモグラフィ |
また、次の証明証(書)をお持ちの方は、無料でがん検診を受診できます。 ・後期高齢者医療被保険者証 ・高齢受給者証 ・診療依頼証(生活保護受給証) ・中国残留邦人等本人確認証 ・世帯主の市県民税非課税証明書の写し(受診時に最新版のもの)
がん検診の詳細は各市町村ページをご参照ください。
長崎県長崎市の健康への取り組みを見る(医療施設一覧ページへ) 長崎県佐世保市の健康への取り組みを見る(医療施設一覧ページへ)
下記は、2015年度から2019年度の長崎県全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
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2015年度 | 7.9% | 33.7% | 18.0% | 22.6% | 16.2% |
2016年度 | 12.3% | 18.3% | 9.6% | 15.7% | 7.7% |
2017年度 | 13.4% | 19.2% | 9.5% | 18.3% | 7.7% |
2018年度 | 10.4% | 18.4% | 9.2% | 15.6% | 7.6% |
2019年度 | 10.3% | 18.7% | 8.8% | 15.6% | 7.5% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
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2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
長崎県のがん検診受診率は、胃がん・子宮頸がん・肺がん検診においては、日本全体を上回っています。しかしながらどの検診も受診率は年々低下傾向にあり、これは日本全体も同様の傾向です。
2016年度から一部の受診率が顕著に増減している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
長崎県では、がんに関する正しい知識と役に立つ情報を県民に届ける「長崎県がん対策」サイトを開設し、がん検診の受診を呼びかけています。
長崎県は、がんの治療や予防、がん検診による早期発見・早期治療の実現のため、2008年に全国で5番目、九州でははじめて「長崎県がん対策推進条例」を制定し、がん対策に取り組んでいます。
・受診機会の拡充促進とがん総合デジタル検診車導入 受診機会を拡充するため、市町や関係団体などと連携し、夜間がん検診などの実施を促進している。長崎市では「夕方から受けるがん検診」を実施した。また、がん検診の効率化による受診率向上を目指し、2009年に胃・肺・乳がんの検診が1台の車で可能な「がん総合デジタル検診車」を導入した。
・無料の肝炎ウイルス検査の実施 肝硬変や肝臓がんの発症リスクとなり得る肝炎の検査を実施。長崎県では、県内に住所を有する20歳以上の方を対象に、肝炎ウイルス(B型およびC型)の検査を無料で実施している(長崎市および佐世保市在住の方は検査実施医療機関が異なるため要確認)。
・がん検診の推進に関する協定企業との連携 長崎県、長崎医師会、企業との連携により、がん検診受診を推進している。協力協定企業は、雇用者への検診費用の助成や検診受診のための休暇制度の設置、がん検診受診勧奨を行う「がん予防推進員」の育成などの活動を行う。
長崎県では、市町村によって人間ドックの費用を補助または助成している場合があります。詳しくは各市町村のWebサイトをご参照ください。例として、長崎市、島原市、五島市の人間ドック費用補助を紹介します。
●人間ドックおよび脳ドック 【対象者】 下記すべてに当てはまる方 ・30歳以上75歳未満の長崎市国民健康保険にご加入の方 ・前年度までの国民健康保険税を滞納していない世帯の方 ・特定健診を受診していない方 【助成額】 30代:17,000円、40歳以上:26,270円
●人間ドック 【対象者】 島原市内に住所を有する40歳以上の方 【自己負担額】 1日コース:16,900円 半日コース:8,400円
●国保短期人間ドック 【対象者】 下記のすべてに当てはまる方。 ・満30歳以上で、五島市国民健康保険の被保険者の方 ・被保険者になって1年以上継続して加入している方 ・国民健康保険税の滞納がない世帯に属している方 ・同一年度内に人間ドックおよび特定健康診査を受診していない方 【助成額】 五島市内の医療機関で受診する場合:20,000円 医療機関が五島市外の医療機関で受診する場合:30,000円
「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。
審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。
全国で390以上の施設が認定されており、このうち長崎県内の機能評価認定施設は2021年12月現在で3施設あります。
マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。
長崎県では、健康長寿日本一を目指し、さまざまな健康増進への取り組みを実施しています。これらの取り組みは、特設サイト「健康長寿ながさきホームページ」でもわかりやすく紹介されています。
・「ながさき3MYチャレンジ」の推進 健康づくりのための「健診」「運動」「食事」の3つの取り組みを「ながさき3MYチャレンジ」とし、健康活動を呼びかけている。サイトでは、世代ごとの健(検)診の受診勧奨、毎日9000歩を歩くこと、野菜を摂取することなどを取り組みの事例として紹介している。
・「長崎健康づくり応援の店」の登録と紹介 栄養バランスや適塩、野菜摂取量などの健康に配慮したメニューの提供と、健康づくり情報の発信などの取り組みを行っているお店を「長崎県健康づくり応援の店」として登録し、紹介している。ヘルシーメニューの提供や生活習慣病の予防に関する情報を発信することで、県民の健康づくりへの関心を高め、健康的な食事を選択できる食環境を整備している。
・「ながさき健康長寿メイト」制度 仲間と楽しみながら自発的に健康づくりに取り組んでいる方を「ながさき健康長寿メイト」として登録する制度。登録者は健(検)診の受診や周囲への受診勧奨、健康への取り組みなどを行い、県に活動実績を提出する。県内在住または勤務する方なら誰でも登録でき、登録すると健康づくり応援グッズがプレゼントされる。
※本記事は2021年12月時点の情報を元に作成しています。