山梨県笛吹市石和町八田330-5
山梨県笛吹市石和町四日市場47-1
山梨県甲斐市中下条1844-3
山梨県甲斐市西八幡1191
目次[非表示]
山梨県は中部地方に属する東京都に隣接した県で、県庁所在地は甲府市です。富士山をはじめとする自然豊かな環境にあり、ブドウとモモの収穫量は日本一です。また、ワイナリー数や日本ワイン生産量も全国1位で、醸造されるワインは国内外で多くの賞を獲得しています。
2021年10月1日現在の人口は約80.6万人(推計人口)であり、47都道府県のうち41位(2021年1月1日現在、住民基本台帳による)です。国勢調査によれば、山梨県の人口は2000年に約88.8万人でピークに達しましたが、その後は少子化などの影響により現在まで減少し続けています。なお、日本全体のピークは2008年です(推計人口)。国立社会保障・人口問題研究所の2018年時点の推計によれば、山梨県の人口は2040年には66.6万人まで減少するとされています。
2021年4月1日現在における65歳以上の高齢者人口は約25.2万人で、高齢化率は30.8%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、山梨県の高齢化は日本全体と比べて進んでいると言えます。多くの自治体と同様に、高齢化率は今後も増加していくことが予想されます。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
下記は、2016年における山梨県の健康寿命と「日常生活に制限のある期間の平均」です(カッコ内は全国平均)。日常生活に制限のある期間が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
健康寿命※2016年 | 日常生活に制限のある期間の平均※2016年 | 【参考】平均寿命※2015年 | |
---|---|---|---|
男性 | 73.21歳(72.14歳) | 8.08年(8.84年) | 80.9歳(80.8歳) |
女性 | 76.22歳(74.79歳) | 11.11年(12.34年) | 87.2歳(87.0歳) |
2016年現在の山梨県の健康寿命は、男性73.21歳、女性76.22歳です。これは47都道府県のうち男性1位、女性3位で、過去3回(2010年、2013年、2016年)の平均では男女ともに全国1位です。「日常生活に制限のある期間の平均」においても、男女ともに全国平均よりも短い数値です。山梨県は、その要因について明確にはわからないとしつつも、がん検診の受診率が高いこと(「4-1.山梨県のがん検診受診率の現状」参照)や、65歳以上の有業割合が全国2位と高く、元気に働き続けている高齢者が多いことなどが想定できるとしています。山梨県では、さらなる健康寿命の延伸のために「健やか山梨21(第2次)」を策定し、県民の健康増進に関する取り組みを推進しています。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、山梨県と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
---|---|---|---|---|---|
山梨県※2019年 | 悪性新生物(がん)25.3% | 心疾患14.3% | 老衰9.9% | 脳血管疾患8.0% | 肺炎6.4% |
日本全体※2020年 | 悪性新生物(がん)27.3% | 心疾患15.0% | 老衰8.8% | 脳血管疾患7.7% | 肺炎6.9% |
山梨県の死因順位は日本全体と同じです。ポイント数をみると、1位のがんは全国を2ポイント下回っており、3位の老衰が1.1ポイント上回っています。がんの死因割合が低い要因のひとつとして、山梨県のがん検診受診率が高いことが考えられます(「4-1.山梨県のがん検診受診率の現状」参照)。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
厚生労働省が示している指針は下記の通りです。全国各市区町村に対し、科学的根拠に基づいた効果が認められるがん検診を推奨しています。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 |
---|---|---|---|
胃がん検診 | 問診、胃部X線検査(バリウム)または胃内視鏡検査(胃カメラ)のいずれか | ・バリウム検査:40歳以上・胃カメラ:50歳以上 | ・バリウム検査:年1回・胃カメラ:2年に1回 |
子宮頸がん検診 | 問診、視診、子宮頸部細胞診および内診 | 20歳以上女性 | 2年に1回 |
肺がん検診 | 問診、胸部X線検査および喀痰検査 | 40歳以上 | 年1回 |
乳がん検診 | 問診およびマンモグラフィ | 40歳以上女性 | 2年に1回 |
大腸がん検診 | 問診および便潜血検査 | 40歳以上 | 年1回 |
これを受け、全国各市区町村は、基本的に上記に沿ってがん検診を実施しています。さらに、前立腺がん検診や子宮体がん検診などの実施、年齢の引き下げ、受診費の無料化などに取り組んでいる市区町村もあります。
市区町村によっては、がん検診の無料クーポンが配布されている場合があります。山梨県の県庁所在地である甲府市の場合、対象者に乳がん検診と子宮頸がん検診の無料クーポンが郵送されます。無料になる検査項目は以下の通りです。
種類 | 対象者 | 無料になる検査項目 |
---|---|---|
子宮頸がん | 21歳女性 | 問診、視診、子宮頸部細胞診、内診 |
乳がん | 41歳女性 | 問診、マンモグラフィまたはエコー検査(医師または検査機関が判断) |
また甲府市では、5大がん検診のうち、40歳以上が対象となる肺がん検診を無料で実施しています。
がん検診の詳細は各市区町村ページをご参照ください。
山梨県甲府市の健康への取り組みを見る(医療施設一覧ページへ)
下記は、2015年度から2019年度の山梨県全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 8.6% | 22.4% | 18.8% | 19.1% | 17.6% |
2016年度 | 13.0% | 20.3% | 17.7% | 25.8% | 16.0% |
2017年度 | 13.6% | 19.9% | 16.8% | 25.5% | 15.3% |
2018年度 | 13.0% | 19.7% | 16.2% | 25.2% | 14.6% |
2019年度 | 11.4% | 19.3% | 15.8% | 24.8% | 14.3% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
山梨県のがん検診受診率は、2015年の乳がんを除くすべての検診で日本全体を上回っています。とくに乳がん検診の受診率は高く、2016年度から2019年度では約25%を推移しています。しかしながら、ほとんどの検診で年々受診率は低下傾向にあり、これは日本全体においても同様の傾向です。
2016年度から一部の受診率が顕著に増減している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。
山梨県は大きな影響が見られませんが、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、山梨県では次のような取り組みを行っています。肝臓がん予防のための肝炎ウイルス対策や学生向けのがん教育の推進などがあります。
・肝炎ウイルス対策 肝硬変や肝臓がんにつながるリスクがある肝炎ウイルスの検査を無料で実施。また、肝炎ウイルス検査で陽性と判定された方を対象に、肝炎ウイルス初回精密検査や定期検査の費用助成も行っている。
・学校におけるがん教育推進 県内の小学校、中学校、高等学校を対象に、がんに関する授業や講演会の開催を推進している。がんの専門家を講師に、がんそのものの理解や、がん患者に対する正しい理解を深められるような講義を実施。また、がんに関してより理解を深めるために、小学生から高校生それぞれを対象としたリーフレットを県独自で作成している。
・たばこに関する出前講座 職場や学校などを対象に、無料でたばこに関する出前講座を実施。「子どもの喫煙防止」、「禁煙するための方法と支援」、「たばこの害」のテーマから選ぶことができる。原則、講座開催希望日の1ヶ月前までに事前の申し込みが必要。
山梨県では、市町村によって人間ドックの費用を補助または助成している場合があります。詳しくは各市町村のWebサイトをご参照ください。例として、甲府市、甲斐市、南アルプス市の人間ドック費用補助を紹介します。
●人間ドック、簡易脳ドック 【対象者】 30歳以上の甲府市国民健康保険加入者または後期高齢者医療制度加入者で、保険料の滞納がない方 【自己負担額】 人間ドック:男性15,000円、女性16,000円 簡易脳ドック:16,130円 【留意事項】 ・受診は指定医療施設のみ ・症状や既往歴のある方、施設入所者、病院に長期入院している方、妊娠およびその可能性がある方は受診不可 ・はがきまたはインターネットにより、市への事前申し込みが必要
●人間ドック 【対象者】 40歳以上の山梨県国民健康保険加入者、後期高齢者医療保険加入者、社会保険被扶養者(加入医療保険者から「特定健診受診券(契約B)」の発行がある方) 【助成額】 山梨県国民健康保険・社会保険被扶養者:22,000円 後期高齢者医療保険加入者:30,000円 ※上記は基本健診の助成の場合 ※検査を追加で行う場合、前立腺がん検査1,000円、子宮がん頸検査2,000円、乳がん検査2,000円、子宮頸がん・乳がん検査3,000円を上乗せして助成 【留意事項】 ・受診は指定医療施設のみ ・同一年度内に市の総合検診を受診する方は助成対象外 ・医療施設に予約する前に、市への事前申し込みが必要(郵送または窓口申請)
●人間ドック 【対象者】 35歳、40~74歳の南アルプス市国民健康保険加入者、または40~74歳の社会保険被扶養者、任意継続本人、職域国保被保険者等で特定健康診査受診券が発行された方 【助成額】 19,000円+特定健診相当分(南アルプス市国民健康保険加入者5,000円、社会保険被扶養者等は加入医療機関により異なる) 【留意事項】 ・受診は指定医療施設のみ ・40〜70歳の5歳刻みの年齢の女性に対する骨粗しょう症検診(オプション)、および50歳以上男性に対する前立腺がん検診(オプション)も一部助成あり
「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。
審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。
全国で390以上の施設が認定されており、このうち山梨県内の機能評価認定施設は2021年11月現在で1施設あります。
マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。
山梨県では、さらなる健康寿命の延伸を目指して、さまざまな取り組みを行っています。健康に配慮したヘルシーメニューの販売、アプリを活用した健康支援、従業員の健康づくりに取り組む企業の認定制度などがあります。
・「やまなししぼルトメニュー」の販売 塩分量や野菜の量など、一定の基準を満たしたヘルシーメニューを「やまなししぼルトメニュー」とし、コンビニやスーパー、飲食店などと連携して適正な食塩や野菜の摂取量を普及啓発する。「しぼルト」とは、「しぼる」と「食塩(ソルト)」をかけ合わせた言葉。
・スマートフォンアプリを活用した健康づくりの推進 19~74歳の県内市町村の国民健康保険加入者を対象に、スマートフォンアプリ「kencom」を活用した健康支援を実施。健康ニュースが配信されるほか、過去の特定健診結果の確認や、歩数の記録などがある。また、アプリの利用でたまるポイントで、ギフト券交換やプレゼント抽選が可能。2021年には個人の平均歩数、もしくはチームの平均歩数を競い合うウォーキングイベント「みんなで歩活」も開催された。
・やまなし健康経営優良企業認定制度 働く世代の健康づくり対策を推進するため、従業員の健康づくりに戦略的に取り組む企業を「やまなし健康経営優良企業」と認定している。認定申請時期には、健康経営セミナーも開催されている(2021年度はオンライン開催)。
・大学と連携した県民健康公開講座の実施やレシピ開発 山梨県は、山梨学院大学・山梨学院短期大学と連携して、健康増進を目指した公開講座や、減塩レシピの開発などを行っている。2019年の公開講座では、食物繊維を多く含むメニューの調理実習が行われた。
※本記事は2021年11月時点の情報を元に作成しています。