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福島県は東北地方の南に位置する県で、県庁所在地は福島市です。福島県の面積は47都道府県で3番目に広く、磐梯山や猪苗代湖をはじめとする豊かな自然が広がっています。果物の収穫量は桃が全国2位、日本なしが4位(2019年)となっており、日本三大ラーメンに数えられる「喜多方ラーメン」がご当地グルメとして有名です。
2021年10月1日現在の人口は約181.3万人(推計人口)です。福島県の人口は47都道府県のうち21位(2021年1月1日現在)となっています。「福島県人口ビジョン(2019年更新)」によれば、福島県の人口は1998年をピークに、その後現在まで減少し続けています。なお、日本全体のピークは2008年です(推計人口)。国立社会保障・人口問題研究所の2018年時点の推計によれば、福島県の人口は現状のままでは2035年に約153.4万人に減少するとされています。
2021年6月1日現在における65歳以上の高齢者人口は約58.3万人で、高齢化率は32.6%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、福島県の高齢化は全国よりも進んでいると言えます。県の人口は年々減少しているのに対し高齢者の数は増加しており、今後さらに高齢化が進んでいくことが予想されます。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
下記は、2016年における福島県の健康寿命と「日常生活に制限のある期間の平均」です(カッコ内は全国平均)。日常生活に制限のある期間が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
健康寿命※2016年 | 日常生活に制限のある期間の平均※2016年 | 【参考】平均寿命※2015年 | |
---|---|---|---|
男性 | 71.54歳(72.14歳) | 8.70年(8.84年) | 80.1歳(80.8歳) |
女性 | 75.05歳(74.79歳) | 11.27年(12.34年) | 86.4歳(87.0歳) |
2016年現在の福島県の健康寿命は、男性71.54歳、女性75.05歳です。これは47都道府県のうち男性36位、女性24位であり、女性は平均よりやや長いものの順位は全国のほぼ中間、男性は下位に位置しています。一方で「日常生活に制限のある期間の平均」は、男女ともに全国平均よりも短い結果となっています。「第二次健康ふくしま21計画」では、県民の「健康寿命の延伸」と「健康格差の縮小」を目指した「すこやか、いきいき、新生ふくしま」の創造を目標としています。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、福島県と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
---|---|---|---|---|---|
福島県2019年 | 悪性新生物(がん)24.9% | 心疾患16.0% | 老衰9.8% | 脳血管疾患8.9% | 肺炎6.3% |
日本全体※2019年 | 悪性新生物(がん)27.3% | 心疾患15.0% | 老衰8.8% | 脳血管疾患7.7% | 肺炎6.9% |
福島県の死因順位は日本全体と同じです。ポイント数においては、2位の心疾患、3位の老衰、4位の脳血管疾患は、日本全体を上回っています。一方で、1位のがんは日本全体を大きく下回っており、その差は2.4ポイントです。要因のひとつとして、福島県のがん検診受診率が全国平均よりも高いことも考えられます(「4-1.福島県のがん検診受診率の現状」参照)。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
厚生労働省が示している指針は下記の通りです。全国各市区町村に対し、科学的根拠に基づいた効果が認められるがん検診を推奨しています。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 |
---|---|---|---|
胃がん検診 | 問診、胃部X線検査(バリウム)または胃内視鏡検査(胃カメラ)のいずれか | ・バリウム検査:40歳以上・胃カメラ:50歳以上 | ・バリウム検査:年1回・胃カメラ:2年に1回 |
子宮頸がん検診 | 問診、視診、子宮頸部細胞診および内診 | 20歳以上女性 | 2年に1回 |
肺がん検診 | 問診、胸部X線検査および喀痰検査 | 40歳以上 | 年1回 |
乳がん検診 | 問診およびマンモグラフィ | 40歳以上女性 | 2年に1回 |
大腸がん検診 | 問診および便潜血検査 | 40歳以上 | 年1回 |
これを受け、全国各市区町村は、基本的に上記に沿ってがん検診を実施しています。さらに、前立腺がん検診や子宮体がん検診などの実施、年齢の引き下げ、受診費の無料化などに取り組んでいる市区町村もあります。
市区町村によっては、がん検診の無料クーポンが配布されている場合があります。 福島県の県庁所在地である福島市の場合、がん検診の無料クーポンは下記の通りです。
種類 | 対象者※年齢は当該年度3月31日時点で判定 | 無料になる検査項目 |
---|---|---|
子宮頸がん | 24歳女性 | 問診、内診、子宮頸部細胞診 |
乳がん | 40歳女性 | 問診、マンモグラフィ |
また、次の方は無料でがん検診を受診することができます。 ・受診日当日に70歳以上の方 ・後期高齢者医療制度に加入の方 ・生活保護受給世帯の方・市民税非課税世帯の方
がん検診の詳細は各市区町村ページをご参照ください。
福島県福島市の健康への取り組みを見る(医療施設一覧ページへ)
下記は、2015年度から2019年度の福島県全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 9.8% | 24.0% | 18.9% | 25.6% | 17.2% |
2016年度 | 16.6% | 17.7% | 13.7% | 20.8% | 12.2% |
2017年度 | 16.6% | 17.0% | 12.7% | 20.2% | 11.3% |
2018年度 | 15.5% | 16.8% | 12.5% | 20.2% | 11.1% |
2019年度 | 15.0% | 16.5% | 12.1% | 20.0% | 10.7% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
福島県のがん検診受診率は、全検診において日本全体を上回っています。とくに胃がん検診でその差は大きく、2016年度以降は日本全体より約7%高い受診率で推移しています。しかしながら、全検診とも受診率は年々低下傾向にあり、これは日本全体においても同様の傾向です。
2016年度から一部の受診率が顕著に低下している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、福島県では次のような取り組みを行っています。肝炎ウイルス検査の無料実施、受動喫煙防止の普及啓発活動などがあります。
・肝炎ウイルス検査の無料実施 肝硬変や肝臓がんの発症リスクとなりえる肝炎ウイルスの検査を実施。福島県では、過去に肝炎ウイルス検査を受けたことのない方を対象に、無料で検査を実施している。県内の保健所もしくは県が契約した医療機関において受診可能。
・肝炎ウイルス陽性者への費用助成 肝炎ウイルス検査の結果が陽性であった方に、初回の精密検査の費用を助成。助成の対象は、医療保険各法(後期高齢者を含む)の規定による被保険者または被扶養者で、定期的なフォローアップを受けることに同意する方。
・学生がん予防サポーター養成セミナーの開催 大学生などの若い世代を対象に、がんに関する正しい知識の普及と、がん予防や早期発見につながる行動への理解促進を図るためのセミナーを開催。2018年度のテーマは乳がんで、早期発見のためのがん検診の重要性、乳がんの診断・メカニズムなどについての講義が行われた。
福島県では、市区町村によって人間ドックの費用を補助または助成している場合があります。詳しくは各市区町村のWebサイトをご参照ください。例として、福島市、いわき市、相馬市の人間ドック費用補助を紹介します。
●1日人間ドック 【対象者】年度内に30〜60歳の5歳刻みの年齢になる方で、福島市国民健康保険加入者 【助成額】受診費用の70% 【助成条件】 ・受診は契約医療施設のみ ・申し込み券を添えて申し込みをし、受診票の送付を受けた方 ・対象は1日人間ドックのみ(1泊ドックや脳ドック等への助成は不可) ・同年度内で市民検診や特定健診との重複受診は不可
●国保人間ドック(日帰りコース、特別コース[2日間]、脳ドックコース) 【対象者】30〜75歳未満のいわき市国民健康保険加入者 【自己負担額】日帰りコース:11,400円、特別コース:18,300円、脳ドックコース:12,600円 【助成条件】 ・受診は契約医療施設のみ ・人間ドックと特定健診の重複受診は不可
●国保人間ドック(日帰り) 【対象者】35~75歳未満の相馬市国民健康保険加入者 【自己負担額】8,400円 【助成条件】 ・受診は指定の医療施設のみ ・同年度内で人間ドックと特定健診の重複受診は不可 ・検査結果によって、医師の指示や保健師による事後指導あり
「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。
審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。
全国で390以上の施設が認定されており、このうち福島県内の機能評価認定施設は2021年10月現在で2施設あります。
マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。
福島県では、県民の健康寿命の延伸のためにさまざまな取り組みを行っています。健康維持のためのスマートフォンアプリや健康づくりに関する検定、県内の高齢者対象のスポーツイベントなど、県民参加型の取り組みが充実しています。
・健康サポートアプリ「ふくしま健民アプリ」 健康維持につながる生活習慣の定着化のためのスマートフォンアプリ。日々の歩行活動が自動でポイント化され、目標ポイントに達成すると「ふくしま健民カード」を獲得できる。県内の協力店でカードを提示すると、割引やプレゼントなどのお得なサービスが受けられる。
・「ふくしま健民検定」の実施 福島県民の健康づくりに関する知識や理解度を測るための検定。参加料は無料で、自宅から解答用紙を郵送、またはパソコンやスマートフォン、上記の「ふくしま健民アプリ」から参加できる。正答率70%以上で合格となり、県内の店舗で特典が受けられる「ふくしま健民カード」が送られる。また、合格者の中からさらに抽選で、豪華賞品が当たる。
・スポーツイベント「すこやか福島ねんりんピック」 世代を超えた交流を深める目的で実施されている「うつくしま、ふくしま。健康福祉祭」の一環として行われている、県内在住の60歳以上の方を対象としたスポーツイベント。競技種目は卓球、テニス、ゲートボール、ゴルフなどがあり、各種目上位の選手またはチームに賞状が贈られる。※2021年度は開催中止。
・ウォーキング・ランニング参加促進プロジェクト「うつくしまから太陽へ」 県内のウォーキング大会やマラソン大会、駅伝大会などで、参加者が歩いたり走ったりした距離を積み上げて目標を目指すプロジェクト。「キビタン」というキャラクターを福島から太陽へ届けることを目標としてスタートした。2014年2月にキビタンは太陽に到着したため、現在は福島に戻ることを目指している。
※本記事は2021年10月時点の情報を元に作成しています。