LD(LDH)
LD(LDH)とは?
LD(LDH)とは乳酸脱水素酵素(Lactate Dehydrogenase:乳酸デヒドロゲナーゼ)のことで、全身の細胞に存在する糖代謝酵素です。とくに肝臓・心臓・骨格筋・血液などに多くあります。体内の臓器や組織の細胞が壊されると、血液中にLD(LDH)が流出し、血液中のLD(LDH)値が上昇します。また、さまざまな疾患や悪性腫瘍によって、LD(LDH)の値が高くなることもあります。
LD(LDH)を調べる目的
LD(LDH)は、体内の損傷の有無を把握するためのスクリーニング検査として用いられます。ただし、LD(LDH)の値だけでは損傷部位を推定することができません。LD(LDH)が高値だった場合、さらにLD1型~5型までの5種類のアイソザイム※の増加パターンを調べ、ほかの検査結果とともに総合的に判断することで、ある程度の原因を推定することができます。
※アイソザイム:同一の個体内に存在し、同一の化学反応を触媒する酵素でありながら、複数の異なった分子型で存在する酵素のこと。
LD(LDH)の血液検査で見つけられる病気
血液検査でLD(LDH)を調べることは、次のような病気の診断に役立ちます。
・悪性貧血
・溶血性貧血
・心筋梗塞、心不全
・肺梗塞
・腎梗塞
・脂肪肝、肝硬変
・急性肝炎、慢性肝炎、アルコール性肝炎
・うっ血性肝障害
・筋ジストロフィー
・多発性筋炎、皮膚筋炎などの膠原病
・ウイルス感染症
・白血病
・悪性リンパ腫
・さまざまながん・悪性腫瘍
など
また、LD(LDH)は激しい運動後に測定することで高値となるなど、病気がない場合でも値が上昇することがあります。
LD(LDH)の血液検査の見方
2020年4月1日以降、LD(LDH)の測定方法は国際臨床化学連合の「IFCC法」に変更されました。新たなLD(LDH)の基準値は、成人男女で124~222 U/L(ユニットパーリットル)です(日本臨床化学会より)。
検査結果が「要再検査」「要精密検査」などとなった場合は、なるべく早く受診しましょう。
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この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)