LDH(血清乳酸脱水素酵素)
LDHとは?
LDHは細胞の中で糖をエネルギーに変換する際に働く酵素の一種であり、特に肝臓や心臓、肺、骨、血液に多く存在する酵素です。血清乳酸脱水素酵素とも呼ばれています。LDHは血液検査によって調べます。
LDH検査の目的
LDHは、身体のなかに病気や炎症が起きると増える酵素です。血液検査でLDHを調べることは、全身の病気の有無を確認するのに役立ちます。
LDHの検査で見つけられる病気
血液検査でLDHを調べることは、次のような病気の診断に役立ちます。
●急性肝炎
●慢性肝炎
●心筋梗塞
●多発性筋炎
●皮膚筋炎
●悪性リンパ腫
●溶血性貧血
●骨髄性白血病
等
LDH検査の見方
血液検査のLDHの基準値は、120~220 U/L(ユニットパーリットル)です(日本臨床検査専門医会より)。基準値よりも高い場合は、肝臓や心臓、血液の病気などが疑われます。
LDH(血清乳酸脱水素酵素)の長所/短所
LDHは、採血で手軽に調べることができます。医療機関によっても異なりますが、の血液検査は採血から通常1時間程度で結果を確認することができます。
採血では、消毒綿や手袋、注射針のなどの物品を使うため、アレルギーを起こす可能性もあります。特に、アレルギーでよくみられるのが、感染予防に使用されるアルコール綿です。アレルギーに心当たりのある人はあらかじめ、採血を担当する医療スタッフに伝えるようにしましょう。
また、注射針による痛みを苦痛に感じる人もいるかもしれません。採血で極度にストレスを感じると、副交感神経が緊張して、まれに冷や汗、低血圧、顔面蒼白、吐き気などの症状が現われることがあります(「迷走神経反射」といいます)。
さらに、採血の手技によっては神経損傷が生じることがあります。神経損傷は、注射の針先が神経に触れることで起こります。採血時にピリッとした刺激を感じたときは、採血の担当スタッフに伝えるようにしましょう。採血による神経損傷の多くは、2~3ヶ月で自然に治ります。
採血後には、アザなど皮下血種ができることがありますが、数日以内で自然に吸収されます。
なお、LDHは病気以外にも、激しい運動や採血の時間が長引くなどの影響で、数値が高く出ることがあります。LDHの検査値が高い場合は、医師の指示に従って再検査を受けるようにしてください。
LDH(血清乳酸脱水素酵素)の流れ
LDHの検査では、採血を行います。ここでは、腕からの採血の具体的な流れについて説明します。
1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。
この記事の監修ドクター
マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)