A/G比
A/G比(アルブミン/グロブリン比)とは?
A/G比(アルブミン/グロブリン比)は、血液中の総たんぱく(TP)におけるアルブミン(Alb)とグロブリン(Glb)の比率です。血液検査により、総たんぱく(TP)とアルブミン(Alb)の値を調べることで算出されます。
A/G比(アルブミン/グロブリン比)を調べる目的
血液中のタンパク質は、アルブミン(Alb)とグロブリン(Glb)の2種類に大別されます。
アルブミン(Alb)はおもに肝臓で作られており「栄養状態」の指標として、グロブリン(Glb)は肝臓のほか骨髄などでも作られており「免疫(抗体)」の指標として、それぞれ用いられています。A/G比(アルブミン/グロブリン比)によって、さまざまな病気の可能性を知ることができます。
A/G比(アルブミン/グロブリン比)が基準値から外れる原因の多くは「アルブミンの低下」か「グロブリンの増加」によって起こります。その両方が合併している場合もあります。
なお、非常にまれですが、無ガンマグロブリン血症(または低ガンマグロブリン血症)という遺伝性疾患により「グロブリンの低下」が起こる場合もあります。
A/G比(アルブミン/グロブリン比)の血液検査で見つけられる病気
血液検査でA/G比を調べることで、次のような病気や症状の診断に役立ちます。
・栄養不足
・肝疾患(肝硬変などによる蛋白合成障害)
・腎臓疾患(ネフローゼ症候群など低蛋白血症)
・蛋白漏出性胃腸症
・消化器がん
・多発性骨髄腫
・慢性消耗性疾患
・甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)
・慢性肝炎・慢性感染症・膠原病などの慢性炎症
など
A/G比(アルブミン/グロブリン比)の血液検査の見方
A/G比(アルブミン/グロブリン比)の判定区分は下記の通りです。
A/G比は測定法により算出方法が異なるため、医療施設ごとに測定値や基準値に若干の差があります。
アルブミンの低下によりA/G比が低値のときは、栄養不足・肝硬変・ネフローゼ症候群などが、グロブリンの増加によりA/G比が低値のときは、多発性骨髄腫や膠原病などが疑われます。一方、グロブリンの低下によりA/G比が高値となっている場合には無ガンマグロブリン血症などが疑われます。これらの病気はA/G比だけで特定されることはなく、ほかの検査結果とともに医師が総合的に判断します。
検査結果が「要再検査」「要精密検査」などとなった場合は、なるべく早く受診しましょう。
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)