γ-GTP
γ-GTPとは?
γ(ガンマ)-GTPは肝臓や胆道に多く存在する酵素です。肝臓の解毒作用に関係している酵素であり、肝臓や胆道系になんからの障害があると、血液中に流れ出てくるため、逸脱酵素とも呼ばれています。γ-GTPは血液検査によって調べることができます。
γ-GTPの血液検査の目的
γ-GTPは肝臓や胆管の細胞が破壊されると血液中に流れ出るので、血液検査で肝臓や胆道の病気の有無を知るのに役立ちます。特に、γ-GTPはアルコールに反応するので、アルコールによって起こる肝臓の病気の診断にも利用されます。
γ-GTPの血液検査で見つけられる病気
血液検査でγ-GTPを調べることは、次のような病気の診断に役立ちます。
・急性肝炎
・慢性肝炎
・アルコール性肝障害
・肝硬変
・肝がん
・薬剤性肝障害
・脂肪肝
等
γ-GTPの血液検査の見方
γ-GTPの基準値は、50 U/l(ユニットパーリットル)以下になります(日本人間ドック学会より)。γ-GTPが基準値よりも高い場合は、肝臓や胆管などの病気が疑われます。
人間ドックが受診できる医療施設を探しましょう。予約数が多い施設から探す「予約数順から探す」、
エリアから探す「都道府県で医療施設を探す」「プランを詳細検索する」の3つの切り口から探すことが出来ます。
γ-GTPの長所/短所
γ-GTPは、採血で手軽に調べることができます。医療機関によっても異なりますが、検査結果は採血から通常1時間程度で確認できます。
人によっては採血の際に、注射針による痛みを苦痛に感じる人もいるかもしれません。採血で極度にストレスを感じると、副交感神経が緊張して、まれに冷や汗、低血圧、顔面蒼白、吐き気などの症状が現われることがあります(「迷走神経反射」といいます)。
採血では、消毒綿や手袋、注射針のなどの物品を使うため、アレルギーを起こす可能性もあります。特に、アレルギーでよくみられるのが、感染予防に使用されるアルコール綿です。アレルギーに心当たりのある人はあらかじめ、採血を担当する医療スタッフに伝えるようにしましょう。
また、採血の手技によっては神経損傷が生じることがあります。神経損傷は、注射の針先が神経に触れることで起こります。採血時にピリッとした刺激を感じたときは、採血の担当スタッフに伝えるようにしましょう。採血による神経損傷の多くは、2~3ヶ月で自然に治ります。
採血後には、アザなど皮下血種ができることがありますが、数日以内で自然に吸収されます。
γ-GTPはアルコールの影響を受けやすく、前日にお酒を飲んでいる人や飲酒の習慣のある人では、検査値が高くなる傾向があります。
γ-GTPの流れ
γ-GTPを調べるには、採血が行われます。ここでは、腕からの採血の具体的な流れについて説明します。
1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。
この記事の監修ドクター
マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)