沖縄県久茂地2-11-18 3F
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那覇市は沖縄県の県庁所在地で、2013年に中核市に移行しました。中核市とは政令指定都市と並ぶ日本の大都市制度の一つであり、地方自治法にもとづき定める政令によって指定される人口20万人以上の市を示します。2021年4月1日現在、62市が指定されています。
2021年7月現在の人口は約31.9万人(住民基本台帳による)です。国勢調査によれば、那覇市の人口は現状、わずかな増減を繰り返し、横ばいの状態となっています。なお、日本全体のピークは2008年、沖縄県全体では一貫して増加傾向にあるものの、1980年以降は増加が鈍化してきています(いずれも国勢調査をもとにした推計人口)。
国立社会保障・人口問題研究所によれば、那覇市の人口は現状のままでは2045年には約30.0万人に減少すると推計されています。2020年12月現在における65歳以上の高齢者人口は約7.5万人で、高齢化率は23.6%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、那覇市の高齢化率は全国より低いと言えます。多くの地方自治体同様、高齢者の人口は増加しています。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
2021年8月現在、那覇市の健康寿命は公表されていません。2015年に厚生労働省が発表した那覇市の平均寿命と、参考に沖縄県の平均寿命と健康寿命、およびその差から求めた不健康である期間を表にまとめています(カッコ内は全国平均)。平均寿命と健康寿命との差(不健康である期間)が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
那覇市 | 参考:沖縄県 | |||
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平均寿命※2015年 | 平均寿命※2015年 | 健康寿命※2016年 | 不健康である期間 | |
男性 | 80.2歳(80.8歳) | 80.3歳(80.8歳) | 71.98歳(72.14歳) | 8.32年(8.66年) |
女性 | 86.9歳(87.0歳) | 87.5歳(87.0歳) | 75.46歳(74.79歳) | 12.04年(12.21年) |
2015年現在の那覇市の平均寿命は、男性80.2歳、女性86.9歳で、沖縄県全体と比較すると男性は同程度、女性は0.6歳低くなっており、那覇市女性は県比較での乖離がやや目立ちます。那覇市健康増進計画「健康なは21(第2次)」では、「2022年度の健康寿命の増加分が平均寿命の増加分を上回ること」が目標であることを明記しています。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、那覇市と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
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那覇市※2019年 | 悪性新生物(がん)27.0% | 心疾患13.0% | 脳血管疾患7.2% | 老衰5.7% | 肺炎5.2% |
日本全体※2019年 | 悪性新生物(がん)27.3% | 心疾患15.0% | 老衰8.8% | 脳血管疾患7.7% | 肺炎6.9% |
那覇市の死因順位は上位3つが生活習慣病です。4位の老衰と5位の肺炎が日本全体を大きく下回っており、那覇市は高齢化率が日本全体より低いこと(「1-1.人口統計と高齢化率」参照)などが考えられます。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
那覇市が実施しているがん検診の種類と費用は下記の通りです。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 | 費用 |
---|---|---|---|---|
胃がん | バリウム検査または胃カメラ | 40歳以上 | 年1回 | ●バリウム集団:1,000円個別:1,500円●胃カメラ集団:なし個別:別途追加料金 |
子宮がん | 子宮頸部細胞診、子宮体部細胞診 | 20歳以上偶数年齢女性 | 2年に1回 | ●子宮頸部集団:800円個別:1,000円●子宮頸部+子宮体部集団:なし個別:2,000円 |
肺がん | 胸部レントゲン、喀痰検査 | 40歳以上 | 年1回 | ●胸部レントゲン集団・個別:400円●胸部レントゲン+喀痰検査集団・個別:1,100円 |
乳がん | マンモグラフィまたはエコー | 40歳以上偶数年齢女性 | 2年に1回 | ●マンモグラフィ集団:700円個別:900円●エコー集団:なし個別:600円 |
大腸がん | 便潜血検査 | 40歳以上 | 年1回 | 無料 |
那覇市のがん検診は、基本的には厚生労働省の指針に沿っています。乳がん検診では、乳腺が発達した比較的若い女性に有効と言われるエコー検査も取り入れています。
那覇市のがん検診の無料クーポンは下記の通りです。
種類 | 対象者※年齢は当該年度4月1日時点で判定 |
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子宮頸がん | 20歳の女性 |
乳がん | 30・36・40歳の女性 |
また、次の方は健康保険証(または保護受給証明書・中国残留邦人支援給付受給証明書・配偶者支援金受給証明書)の提示で、無料でがん検診を受診することができます。 ・後期高齢者(長寿)医療加入者 ・生活保護受給者 ・中国残留邦人支援給付受給者 ・配偶者支援金受給者
下記は、那覇市が実施した2015年度から2019年度の各がん検診の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
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2015年度 | 8.3% | 35.8% | 23.9% | 32.2% | 24.1% |
2016年度 | 10.5% | 14.6% | 9.1% | 14.8% | 9.1% |
2017年度 | 13.2% | 14.0% | 8.3% | 12.7% | 8.6% |
2018年度 | 10.6% | 13.1% | 8.0% | 11.1% | 8.5% |
2019年度 | 9.9% | 12.5% | 7.1% | 10.5% | 7.7% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
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2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
那覇市のがん検診受診率は、胃がん・肺がん検診については、日本全体を上回っていますが、子宮頸がん・乳がん検診は日本全体を下回っています。また、全検診とも年々低下している傾向にあり、これは日本全体においても同様の傾向です。
2016年度から一部の受診率が顕著に低下している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、那覇市では次のような取り組みを行っています。
・土日および夜間の集団検診 平日や日中にがん検診の受診が難しい市民に向けて、土日や夜間にがん検診の集団検診を実施している。インターネット予約が可能。
・肝炎ウイルス検診の実施 肝炎ウイルスの感染による慢性肝炎や肝硬変は、肝臓がんの主要な原因となっている。ウイルスに感染していても数年は無症状のため、肝炎ウイルスの血液検査(B型・C型)の実施は、肝臓がんの予防につながる。対象者は40歳以上。受診費は、特定健診と同時の場合1,350円、肝炎ウイルス検診のみ受診の場合1,930円(いずれもB型+C型の料金)。B型のみ、C型のみの受診も可。
那覇市では、人間ドックの補助や助成は行っていません。ただし、人間ドックを受診する際に、がん検診と特定健診(那覇市国民健康保険被保険者が対象)の受診券を利用できる医療施設があります。詳しくは那覇市のサイトで確認してください。
「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。
審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。
全国で390以上の施設が認定されており、このうち那覇市内の機能評価認定施設は2021年9月時点で1施設あります。
マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。
那覇市は、那覇市健康増進計画「健康なは21(第2次)」で「2022年度の健康寿命の増加分が平均寿命の増加分を上回ること」を目標に掲げ、さまざまな取り組みを行なっています。那覇市が行っているユニークな取り組みについてご紹介します。
・市民の健康改善に向けた「生活習慣病予防プログラム」の実証事業 沖縄セルラー電話株式会社がスマートフォンアプリ「JOTOホームドクター」を活用し健康づくりの支援を行う、「那覇市民の健康改善に向けた『生活習慣病予防プログラム』の実証事業」を共催で実施している。対象は那覇市国民健康保険加入者で、日頃の生活が忙しく健康管理が難しい40代と50代。マイナス4%の体重減量にチャレンジし、プログラムを終了した参加者のうち抽選で30名にスマートウォッチを贈る。
・那覇市健康づくり出前講座 市内の企業や団体に、講師として保健師、栄養士、歯科医師、歯科衛生士を派遣し、健康づくりをテーマにした講座を無料開講している。
・健康相談 市民が保健師、栄養士、歯科医師、歯科衛生士などの専門家に、健康や食事、栄養に関して無料で相談できる体制を整えている電話相談または市役所での来所相談で受け付ける。また精神保健福祉相談員、精神科医師、酒害相談員、臨床心理士による相談受付も予約や事前相談のうえ行っている。
※本記事は2021年9月時点の情報を元に作成しています。