島根県大田市久利町久利726-4
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島根県は中国地方に位置する県で、県庁所在地は松江市です。『古事記』にも記されている歴史のある「出雲大社」、世界遺産に登録されている「石見銀山」、ユネスコ世界ジオパークに認定されている「隠岐島」など、魅力的な観光地が数多くあります。
2021年10月1日現在の人口は約66.5万人(推計人口)です。島根県の人口は、47都道府県のうち46位(2021年1月1日現在)です。「島根県人口シミュレーション2020」によると、島根県の人口は1955年をピークに減少に転じました。その後一時的に増加したものの、1985年を境に再び減少に転じ、現在まで減少傾向は続いています。なお、日本全体のピークは2008年です(推計人口)。国立社会保障・人口問題研究所の2018年時点の推計によれば、島根県の人口は今後も減少が続き、現状のままでは2045年には約52.9万人に減少するとされています。
2020年10月1日現在における65歳以上の高齢者人口は約23.0万人で、高齢化率は34.2%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、島根県の高齢化率は日本全体を大きく上回っていると言えます。多くの地方自治体と同様に高齢者の人口は増加しており、今後も高齢化が進んでいくことが予想されます。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
下記は、2016年における島根県の健康寿命と「日常生活に制限のある期間の平均」です(カッコ内は全国平均)。日常生活に制限のある期間が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
健康寿命※2016年 | 日常生活に制限のある期間の平均※2016年 | 【参考】平均寿命※2015年 | |
---|---|---|---|
男性 | 71.71歳(72.14歳) | 9.42年(8.84年) | 80.8歳(80.8歳) |
女性 | 75.74歳(74.79歳) | 11.70年(12.34年) | 87.7歳(87.0歳) |
2016年現在の島根県の健康寿命は、男性71.71歳、女性75.74歳で、これは47都道府県のうち男性32位、女性5位です。男性の平均寿命は全国平均に並んでいるものの、健康寿命は下回っています。一方で、女性は健康寿命、平均寿命ともに全国平均を上回る結果となっています。このことから、女性は全国平均よりも健康的に長生きができているものの、男性は健康寿命の延伸が課題であることがわかります。島根県では「健康長寿しまね推進計画(第2次)」を策定し、基本目標に「健康寿命を延ばす」ことを掲げています。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、島根県と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
---|---|---|---|---|---|
島根県※2020年 | 悪性新生物(がん)25.2% | 心疾患14.6% | 老衰11.7% | 脳血管疾患8.3% | 肺炎3.9% |
日本全体※2020年 | 悪性新生物(がん)27.6% | 心疾患15.0% | 老衰9.6% | 脳血管疾患7.5% | 肺炎5.7% |
島根県の死因順位は日本全体と同じです。生活習慣病の三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)の割合が日本全体50.1%に対し、島根県では48.1%と大きく下回っています。さらに、老衰の割合が日本全体より2.1ポイント高い値です。この結果の要因のひとつとして、女性の健康寿命が長いこと(全国5位)があげられます(「1-2.島根県の健康寿命」参照)。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
厚生労働省が示している指針は下記の通りです。全国各市区町村に対し、科学的根拠に基づいた効果が認められるがん検診を推奨しています。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 |
---|---|---|---|
胃がん検診 | 問診、胃部X線検査(バリウム)または胃内視鏡検査(胃カメラ)のいずれか | ・バリウム検査:40歳以上・胃カメラ:50歳以上 | ・バリウム検査:年1回・胃カメラ:2年に1回 |
子宮頸がん検診 | 問診、視診、子宮頸部細胞診および内診 | 20歳以上女性 | 2年に1回 |
肺がん検診 | 問診、胸部X線検査および喀痰検査 | 40歳以上 | 年1回 |
乳がん検診 | 問診およびマンモグラフィ | 40歳以上女性 | 2年に1回 |
大腸がん検診 | 問診および便潜血検査 | 40歳以上 | 年1回 |
これを受け、全国各市区町村は、基本的に上記に沿ってがん検診を実施しています。さらに、前立腺がん検診や子宮体がん検診などの実施、年齢の引き下げ、受診費の無料化などに取り組んでいる市区町村もあります。
市区町村によっては、がん検診の無料クーポンが配布されている場合があります。島根県の県庁所在地である松江市の場合、がん検診無料クーポンは以下の通りです。
種類 | 対象者 | 無料になる検査項目 |
---|---|---|
胃がん(胃部X線検査) | 40歳以上の5歳刻み年齢 | 胃部X線検査(バリウム)※胃カメラとの重複受診不可 |
胃がん(胃部内視鏡検査) | 50歳以上の5歳刻み年齢 | 胃内視鏡検査(胃カメラ)※バリウムとの重複受診不可 |
子宮頸がん | 20~39歳の女性 | 子宮頸部細胞診 |
子宮がん | 40歳以上の5歳刻み年齢の女性 | 子宮頸部細胞診検査、子宮体部細胞診検査(該当者のみ)、HPV検査 |
肺がん | 40歳以上の5歳刻み年齢 | 胸部X線検査 |
乳がん | 40歳以上の5歳刻み年齢の女性 | マンモグラフィ |
大腸がん | 40歳以上の5歳刻み年齢 | 便潜血検査(2日法) |
前立腺がん | 50歳以上の5歳刻み年齢の男性 | 血液検査(PSA値) |
また、以下のうちいずれか1つを持参した方は無料でがん検診を受診できます。 ・市民税非課税世帯無料券 ・生活保護受給証明書 ・福祉医療費医療証 ・被爆者健康手帳
がん検診の詳細は各市町村ページをご参照ください。
島根県松江市の健康への取り組みを見る(医療施設一覧ページへ)
下記は、2015年度から2019年度の島根県全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 2.3% | 16.2% | 5.2% | 9.7% | 10.9% |
2016年度 | 6.2% | 16.4% | 5.0% | 18.9% | 9.6% |
2017年度 | 5.8% | 15.8% | 4.7% | 18.3% | 8.9% |
2018年度 | 5.3% | 15.7% | 4.4% | 18.1% | 8.5% |
2019年度 | 5.4% | 15.7% | 4.6% | 18.6% | 7.9% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
島根県のがん検診受診率を日本全体と比較すると、乳がん・大腸がん検診は上回っており、胃がん・肺がん検診は大きく下回っています。子宮頸がん検診は、ほぼ同じポイント数で推移しています。日本全体の受診率はすべての検診で年々低下していますが、島根県の2019年度は3つの検診が前年度の受診率を超えており、5歳刻み年齢の受診無料を継続すれば今後も受診率向上が期待できます。
日本全体のデータにおいて、2016年度から一部の受診率が低下している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、島根県では次のような取り組みを行っています。
・女子大学生グループによる子宮頸がん検診啓発活動「いなたひめプロジェクト」 「いなたひめ」とは、島根県内の女子大学生を中心とした子宮頸がん検診の啓発活動を行うグループ。出雲神話の登場人物から由来している。県内のさまざまなイベントでの啓発活動や講演活動、海外の学会参加や発表など、活動内容は多岐にわたる。
・学校におけるがん教育の推進 島根県健康推進課では、学校でのがん教育を推進させるための活動を行っている。医療従事者などの外部講師を派遣する事業や、外部講師を養成する事業を展開。子どものみならず保護者や県民も対象に、がん教育を実施する環境づくりをしている。
・無料の肝炎ウイルス検査の実施 肝炎ウイルスは肝臓がんの主因のひとつであり、事前に適切な検査を受けることで肝臓がんのリスクを低減することができる。島根県では、県内の保健所で無料の肝炎ウイルス検査を実施している。対象者は過去に肝炎ウイルス検査を受けたことがなく、職場や市町村実施の肝炎ウイルス検査対象者ではない県内在住者(松江市を除く)。
島根県では、市区町村によって人間ドックの費用を補助または助成している場合があります。詳しくは各市区町村のWebサイトをご参照ください。例として、松江市、出雲市、浜田市の人間ドック費用補助を紹介します。
●国保人間ドック(外来ドック・集団ドック)、脳ドック 【対象者】 松江市国民健康保険に加入している20歳以上の方 【自己負担額】 ・人間ドック 外来ドック:8,000円 集団ドック:6,000円 ※当該年度40歳になる方は人間ドックを無料(自己負担なし)で受診可 ・脳ドック 10,000円 【助成条件】 ・申し込めるのは外来ドック、集団ドック、脳ドックのいずれか1つ
●人間ドック 【対象者】 出雲市国民健康保険に加入している30〜65歳の5歳刻み年齢の方 【自己負担額】 8,000円 ※住民税非課税世帯の方は無料
●脳ドック 【対象者】 出雲市国民健康保険に加入している40〜69歳の方 【自己負担額】 7,300円 ※住民税非課税世帯の方は無料
●人間ドック(巡回総合ドック) 【対象者】 下記のすべてに該当する方。 ・浜田市に住民票がある20〜74歳の方 ・市税の滞納がない方 ・同年度に他のドックなどを受診しない方およびPET-CTがん検診の助成を受けない方 【自己負担額】 20〜39歳:3,000円 40〜74歳:8,000円
●PET-CTがん検診(全身のがんを調べる検査) 【対象者】 下記のすべてに該当する方。 ・市内に住所を有する方 ・市税の滞納がない方 ・同年度に巡回総合ドックを受診しない方 【助成額】 30,000円(先着50人)
「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。
審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。
全国で390以上の施設が認定されており、このうち島根県内の機能評価認定施設は2021年12月現在で2施設あります。
マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。
島根県では「人口減少に打ち勝ち、笑顔で暮らせる島根」の実現を目指し、2020年度より「しまね健康寿命延伸プロジェクト」を立ち上げました。健康寿命延伸へ向け、とくに「減塩」と「運動」にかかわる取り組みを強化しています。そのなかで県独自の取り組みを紹介します。
・健康長寿しまねマスコットキャラクターを活用した広報の実施 島根県の方言で「元気ですか?」の意味をもつ「まめかね?」や「まめなかね?」の言葉をテーマに、「豆」をイメージした「まめなくん」を創作。健康長寿のマスコットキャラクターとして、各地で開催のイベントやパンフレットなどに活用している。県のWebサイトより、着ぐるみのレンタルやイラストの利用の許可を取ることができる。
・「しまね☆健康づくりチャレンジ月間」を利用した健康づくりの推進 島根県では毎年9月を「しまね☆健康づくりチャレンジ月間」として、働き盛り世代を中心に健康づくり活動に取り組んでいる。2021年度は「歩数アップにチャレンジしてみよう」をテーマに、今より10分(1,000歩)多く歩くことを目標に設定。個人や事業所で取り組みの状況を県に報告し、優良者に選ばれると賞品がプレゼントされる。
・健康づくりに取り組む事業所「しまね☆まめなカンパニー」の活動を支援 島根県では、従業員の健康づくりや健康経営に取り組む事業所を「しまね☆まめなカンパニー」として登録している。登録企業は県庁や保健所の支援が受けられ、用意された取り組みメニューの達成数に合わせて星をもらえる。希望により取り組みの内容を県のWebサイトや広報誌などで周知でき、イメージアップを図ることができる。
※本記事は2021年12月時点の情報を元に作成しています。