柏市で人間ドック・健診(頸部CT)が予約できる医療施設一覧

千葉県 柏市がこんな健康への取組みをしているって知っていますか

1.柏市の特徴

1-1.柏市の人口統計と高齢化率

柏市は千葉県北西部に位置する市で、1954年、当時の東葛市と富勢村の一部が合併、市名を柏市と変更して生まれました。その後2005年に沼南町と合併して現在の姿となっています。現在は、東京・茨城・埼玉・千葉県内主要地への幹線道路が交わる交通の要衝となっています。

2021年12月現在の人口は約43.0万人（推計人口）です。国勢調査によれば、柏市の人口は一貫して増加を続けています。なお、千葉県全体の人口も増加傾向にあり、日本全体では2008年をピークに減少に転じています（推計人口）。国立社会保障・人口問題研究所の2018年時点の推計によれば、柏市の人口は現状のままでは2025年ごろをピークに減少に転じ、2045年には約40.7万人に減少するとされています。

2021年10月現在における65歳以上の高齢者人口は約11.2万人で、高齢化率は26.0％です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8％であることから、柏市の高齢化率は全国よりも低いと言えます。柏市は東京都心にも近く通勤圏であることや、東京都内に比べて地価・物価が安価であることからベッドタウンとして人気の市でもあります。日本全体として人口減少傾向の中にあっても比較的若い世代の転入が多く、この傾向が人口の増加や高齢化の抑止につながっていると考えられます。

柏市の人口と高齢化率の推移

*柏市「柏市統計書」をもとに編集部で作成

1-2.柏市の健康寿命

健康寿命とは、2000年に世界保健機関（WHO）が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。

下記は、柏市の65歳時における平均余命と健康寿命（平均自立期間）を示した表です。柏市の健康寿命は、介護保険要介護認定に基づいた要介護2〜5以外の状態として、千葉県が独自に算出しています。平均余命と健康寿命との差（不健康である期間）が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。

2017年現在の松戸市の65歳時における健康寿命（平均自立期間）は男性17.30年、女性20.04年で、千葉県の平均を上回っています。また、2008年と2017年を比較すると、男女ともに65歳時の平均余命・健康寿命は延伸しています。一方で、不健康である期間が男女ともやや長くなっており、この期間の短縮が課題と言えます。

2.柏市の死因順位と割合

1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣（食、運動、喫煙、飲酒等）が影響する一部のがんや心臓病（心疾患）、脳卒中（脳血管疾患）、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、柏市と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。

柏市の生活習慣病の三大疾患（がん・心疾患・脳血管疾患）の合計割合を見ると、日本全体が50.0％であるのに対し、柏市は49.8％とほぼ同じです。しかしながら、1位のがんは日本全体を約3ポイント上回っており、心疾患は2.5ポイント、脳血管疾患は0.5ポイント下回っています。老衰の割合は日本全体を1.4ポイント下回っています。要因として、日本全体よりも高齢化が進んでおらず、比較的若い人口が多いことががんの死因割合を引き上げ、老衰など高齢者特有の死因割合を引き下げていると考えられます。

3.柏市のがん検診の種類・費用

3-1.自治体主導の「5大がん検診」

日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん（子宮頸がん）、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。

5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。

3-2.柏市のがん検診

柏市が実施しているがん検診の種類と費用は下記の通りです。太字は、柏市独自の取り組みです。

柏市のがん検診は、基本的には厚生労働省の指針に沿っています。独自の取り組みとして、厚生労働省の指針では実施が40歳以上とされている乳がん検診を30歳から受診可能である点、隔年実施の乳がん検診について、40歳以上で実施年でない年にも希望すれば「乳がんあいだの年検診」を受診できる点があります。

3-3.柏市のがん検診の無料クーポン

柏市のがん検診の無料クーポンは下記の通りです。

また、次の方は無料でがん検診を受診できます。

●胃がん検診（集団の胃エックス線検査）、大腸がん検診、結核・肺がん検診、乳がん検診、子宮頸がん検診
・生活保護世帯に属する方
・市民税非課税世帯に属する方
・当該年度3月31日時点で70歳以上の方（結核・肺がん検診は、胸部エックス線検査65歳以上、喀痰細胞診70歳以上）
・65～69歳のうち後期高齢者医療被保険者証をお持ちの方

●胃がん検診（胃内視鏡検査及び個別の胃エックス線検査）
・生活保護世帯に属する方
・市民税非課税世帯に属する方

詳細は柏市サイトでご確認ください。

4.柏市のがん検診受診率と受診率向上のための取り組み

4-1.柏市のがん検診受診率の現状

下記は、柏市が実施した2015年度から2019年度の各がん検診の受診率の推移です。

下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。

柏市のがん検診受診率は、日本全体を下回っている検診がほとんどです。乳がん検診のみ、2016年度以降日本全体を上回る受診率となっています。日本全体ではすべてのがん検診で受診率が年々低下傾向にあるのと同様、柏市でも乳がん検診以外の検診の受診率は下がり続けています。

日本全体のデータにおいて、2016年度から一部の受診率が顕著に低下している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40～60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20～40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢（子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳）のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。

4-2.柏市のがん検診受診率向上やがん予防のための取り組み

がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、柏市では次のような取り組みを行っています。

・受診対象外年齢でも受けられる「乳がんあいだの年検診」
厚生労働省の指針では乳がん検診は隔年受診とされており、柏市もその指針に則り、乳がん検診については2年に1度の受診としている。その上で、受診対象とならない年にも受診を希望する場合、「乳がんあいだの年検診」として希望制の乳がん検診を実施している。対象者は柏市に在住する40歳以上の女性で、前年度に乳がん検診を受診している方。受診費は1,200円。

・無料の肝炎ウイルス検査の実施
肝炎ウイルスは肝臓がんの主因のひとつであり、事前に適切な検査を受けることで肝臓がんのリスクを低減することができる。柏市では、市民を対象に血液検査による肝炎ウイルス検査（B型・C型）を実施している。対象者は40歳以上で過去に肝炎ウイルス検査を受けたことのない方で、検査費は無料。

5.柏市の人間ドック・脳ドックの費用補助・助成

柏市では、希望者に対して人間ドックおよび脳ドックの費用助成を行っています。希望者は医療機関を選び自身で予約の上、受診します。助成内容は下記のとおりです。

【対象者】
柏市在住の国民健康保険被保険者（30～74歳）および後期高齢者医療被保険者（75歳以上）

【助成額】
10,000円

助成を受けるにはいくつかの条件があります。
・助成を受けた場合、特定検診は受診不可
・人間ドック・脳ドックのいずれかひとつを選択
・人間ドック・脳ドックいずれも特定検診の検査項目を含むこと（脳ドックの場合、MRI/MRA検査のみの脳ドックは助成対象外）

その他、詳細は柏市サイトでご確認ください。

6.柏市の人間ドック機能評価認定施設

6-1.機能評価認定施設とは？

「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。

審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。

6-2.柏市の機能評価認定施設

全国390以上の医療施設が認定されており、このうち柏市内の評価機能認定施設は2021年12月現在で1施設あります。

マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。

7.柏市の健康増進への取り組み

柏市は健康寿命の延伸を目標に掲げています。健康寿命の延伸に向けさまざまな取り組みを行っています。

・骨粗しょう症検査の実施
柏市では、骨粗しょう症の早期発見・予防を目的として骨粗しょう症検査を実施している。対象者は柏市在住の40〜70歳までの5歳刻みの年齢の女性。自己負担額は検査方法や部位により異なり、300〜1,500円。集団検査と個別検査から選ぶことができる。

・到達時に景品がもらえる「柏ウォーキングパスポート」
楽しくウォーキングを実施できるよう、「柏ウォーキングパスポート」を配布している。パスポートに歩いた歩数を記録していくと、30万歩・150万歩・ゴール（300万歩）到達時にそれぞれ到達賞や景品が贈られる。歩数は自己申告制。

・野菜不足を手軽に補える飲食店の登録
市民の野菜不足解消を目指した活動として、「野菜を食べよう柏」を実施している。市内の飲食店で、一定条件をクリアした店舗を「野菜を食べよう柏協力店」として登録し、柏市サイトに一覧を掲載している。

・健康教育教材の貸し出し
柏市役所健康増進課では健康教育教材の貸し出しを実施している。貸し出し対象者は柏市内に所在地もしくは住所のある行政関係者、学校関係者、事業所、各種団体、個人など。貸し出し可能な教材は掲示用のポスター、食品や身体などの模型、塩分計、血圧計、体脂肪計など。

※本記事は2021年12月時点の情報を元に作成しています。