2015.11.9

11月22日は「いい夫婦の日」、ペア受診のすすめ

医療施設によっては、専用の料金プランを設定しているところもあり、
ペア受診を利用しやすい環境は整いつつある。
事実、ペア受診を選択する人は増えてきているが、それでもまだまだ。
医療関係者からみるペア受診の現状、受診者の変化や傾向について、
「健診会 東京メディカルクリニック」の橋本和大氏にお話をうかがった。

健診会 東京メディカルクリニック
橋本和大(かずひろ)氏

診療放射線技師副技師長、健診センター部長

当院にて人間ドックのコースを立ち上げ、年間約4万人の健診・人間ドックを行う医療施設として実績を伸ばすきっかけをつくった。とくに大腸3DCTは国内屈指の検査数を誇り、メディアに多数取り上げられる。話のわかりやすさに定評があり、メディア登場時の解説も担う。

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健診に行きたがらない男性の背中を押すペア受診

東京メディカルクリニックも、ペア受診を用意している医療施設のひとつだ。実際にどのような年代の人が、何をきっかけにペア受診を選んでいるのだろうか?

「会社の健康診断の結果や、生活習慣病が身近な問題となってくる50代、60代の方からのお申し込みが多いですね。退職に伴い、毎年受けていた会社の健診がなくなり、心配した妻に勧められて、初めて人間ドックを受けるという方が多いのも、ペア受診の特徴のひとつです。このほか、20~30代のカップルは、結婚前にブライダルチェックを兼ねてパートナーとともに受診されています」(橋本氏)

東京メディカルクリニックでは、ペア受診の約7割は女性からの予約だという。「男性はなかなかひとりでは検査を受けたがらず、パートナーの後押しで、ようやく決心される方が多いように思います」(橋本氏)。ひとりで受けるのは気が進まなくても、夫婦一緒なら気持ちも前向きになるようだ。

検査メニューは各医療施設によって異なるが、脳・肺・心臓・胃・肝臓・腎臓といった各部位の異常をひととおり検査するスタンダードな人間ドックプランに、男性は前立腺がん、女性なら乳がんや子宮がんなど、男女特有の疾患を調べる検査がついたプランが多いという。「ペア受診は決めたけれど、お互いどんな検査を受ければいいのかわからない方は多いものです。そんなときに、これさえ受けておけば大丈夫というプランがあれば安心して受診できますよね」(橋本氏)。

ペア受診を機に、パートナーの健康について考える

個別ではなく、パートナーと一緒に受診するペア受診プランのメリットについて橋本氏は、「ペア受診プランがあることで、ふたり一緒なら受けてもいいと思えることですね。また、その気のないパートナーに受診を勧めるきっかけになることが、ペア受診の意義だと思います」と話す。どちらか一方が人間ドックを受けようと決めたときに、ついでにパートナーを誘ってみると、すんなり受け入れることも。検査後は健康意識が高まり、「毎年夫婦で人間ドック」が習慣になったカップルも徐々に増えているという。また、検査後の結果説明は、夫婦一緒に聞きたいと希望する人が多いのもペア受診の特徴だ。

「異常がない場合も、このままいけば生活習慣病になりやすいなど、専門家のアドバイスを一緒に聞くことで、運動や食生活の改善などにも夫婦で取り組むようになります。ふたりだと継続もしやすく、結果として健康で長生きできる生活を手に入れることができます。がんなどの重大疾患が見つかっても、本人だけでなくご家族にもきっちりお話をして、一緒に治療の方向性を決めていくのが最近の医療の基本。最初は不安でも、説明を受けると前向きに捉える方がほとんどです」(橋本氏)

健康で楽しい未来のために、夫婦で人間ドックの習慣を

健康への強い意識は、身近な人の病気や死の経験がないと、実感が持てないこともある。自覚症状もないのに高い検査料を払うことは腰が重くなりがちであり、面倒でもある。ついつい先延ばしにしてしまいがちだが、「いつか行こう」「いつかやろう」では、なかなか実行に移せないもの。気づかないうちに病気が進行して倒れてしまえば、家族の人生も大きく変えることになりかねない。病気になってから後悔することのないよう、人間ドックは健康なうちに受けておくことが大切だ。また、近年では30代にも生活習慣病が広がっている。まだ体力があり病気は無縁と思いがちな世代だが、年に1度は検査を受けて、若いうちから生活習慣病の予防に努めることが大事だという。

「年齢に関わらず、年に一度は夫婦で人間ドックを習慣にしていただきたいですね。パートナーとの記念日や、ご両親へのプレゼントに人間ドックを贈るのもひとつの選択なのではないでしょうか」(橋本氏)

結婚〇周年などの記念に、海外旅行ももちろんすてきだが、それは夫婦が元気だからこそできること。今後も夫婦や家族でそういったイベントを楽しめるよう、毎年1回はふたりで人間ドックを受けるというのも、夫婦の新しいコミュニケーションの方法のひとつだ。最近は、リゾートホテルに宿泊して受診するプランなどもあり、億劫になりがちな検査も、旅行感覚でリラックスできる工夫や配慮が施されている。検査が終われば、おいしい食事を楽しみながら検査の感想を共有するのも、夫婦の大切な時間になるだろう。

ペア受診は、自分の健康状態を客観的に判断できるだけではなく、大切なパートナーの健康について深く考えるきっかけにもなる。「いい夫婦の日」をきっかけに、未来への投資としてのペア受診をぜひ考えてみてほしい。

ペアで人間ドックを受けられる医療施設特集

11月22日はいい夫婦の日

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Colorda編集部