ヒューマンエラーの徹底的防止と高度な画像診断技術を追求し、AIと3人もの医師が画像診断するクリニックがある。
手厚い診断体制の理由は、とにかく"見逃さない"ため。
受診者の気持ちに沿った医療を手がけるとあるクリニックの事例について、AIを活用した画像診断プラットフォームの立役者が解説する。

2020.8.6

脳ドックの新時代、AI×医師3人による診断で見逃さない!

2年間で3万人が受診

東京・銀座の検診施設「メディカルチェックスタジオ」をご存知でしょうか? 脳ドックに特化したクリニックとして、2018年の開業から2年間で受診者数は30,000人を突破し、瞬く間に全国有数の検診施設に成長しました。人間ドックの受診者が増えれば、早期発見・早期治療の推進につながります。受診者ご本人の利益にかなうのはもちろんのこと、医療費抑制にも貢献できます。開業当初から、受診者獲得、とくにこれまでドックに縁のなかった層の掘り起こしに焦点を当てていました。

「中高年にとって健康維持や早期発見は大きな関心事。それなのに受診率が低いのは、受診を阻害している要因があるから」。メーンの受診者として多忙なビジネスパーソンを想定し、彼らが受診しやすい環境づくりを徹底しました。立地は地下鉄銀座1丁目駅のすぐ近くを選びました。ネット予約とカード決済を導入し、さらに予約時にネット上で問診表を記入するシステムも取り入れて、受診時の待ち時間を短縮させました。来院から帰るまで、30分もかかりません。そして最大のポイントともいえるのが価格設定。脳ドック受診料が税別17,500円。相場の半額に近い。大きなインパクトがあるはずです。

診断は医師3人+AI

この脳ドックの診断は、私ども株式会社エムネスが提供する画像診断プラットフォーム「LOOKREC(ルックレック)」上で行われています。自慢めいて恐縮ですが、この低価格を実現する上で、LOOKRECは欠かせないと自負しています。下図の通り、診断は医師3人によるリレー形式。最初に放射線科医、次いで脳神経外科医、最後にメディカルチェックスタジオの知久正明院長(循環器科医)。アンカー役の知久院長が、放射線科医と脳神経外科医の所見も集約して最終的な診断結果をまとめ、報告します。

メディカルチェックスタジオの脳ドックの診断体制

LOOKRECはクラウドベースのシステムです。インターネット回線さえあれば、いつでも・どこからでも検査画像にアクセスできます。放射線科医、脳神経外科医は全国各地に散らばっており、それぞれの勤務先や自宅から、クラウドストレージ上の画像を見て、所見をアップロードします。各自が空いている時間を有効活用して診断できることから、比較的安価な診断料で引き受けていただいています。さらに、LOOKRECはAIとも連動。クラウド上の検査画像を自動的に解析して、脳動脈瘤の疑いがあれば、その部位を医師に指し示します。医師が病変を見落とすリスク、ヒューマンエラーを防ぐ上で、非常に大きな効果があります。

AIの解析結果表示画面。黄色い丸で囲んであるのが、脳動脈瘤が疑われる部位

リレー診断のベースはLOOKREC

診断の様子は受診者のみなさんには見えません。そのため、なかなか診断の体制や品質まで意識していただけません。しかし、やはりドックの本質は診断にあります。医師3人とAI。これほど手厚い体制で診断する脳ドックがほかにあるでしょうか。すべては誤診を減らし、早期発見につなげるため。「安かろう、悪かろう」とは言わせません。LOOKRECをベースに、人間ドックの新形態を確立したと思っています。


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Colorda編集部