2015.8.3
CRP

炎症や感染症を調べる指標「CRP」とは?

炎症や感染症以外にも重大な疾患が見つかる、血液検査

炎症 感染症人間ドックなどで行われる血液検査には炎症や感染症を調べるものがある。例えば鼻水が出る、虫に刺されて赤くなる、細菌やウイルスで熱が出る、のどが腫れるなどはすべて「炎症」反応だ。感染症はインフルエンザや風邪などがなじみ深いが、人から人に感染するものだけでなく食べ物や動物から感染するものもある。

感染症や炎症はたいてい身体になんらかの症状が見られるため、“隠れた病気を見つける”には役立たないように思われるかもしれない。しかし実際はがんや心筋梗塞を見つけるための足がかりともなる、重要な検査といえる。

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炎症や感染症の指標となるCRP数値

炎症や感染症を調べる際に注目すべき数値は「CRP(C-リアクティブ・プロテイン)」だ。CRPは正常な血液の中にはほんの微量しか含まれない成分で、体内で炎症や組織細胞の破壊などが起こると肝臓で生産されて血液中に流れ出し、増加する。症状の程度に比例して数値が上昇するため、炎症や感染症の指標として用いられるほか、病状を把握するためにも有用だ。

CRPの基準値は0.3mg/dl以下である。炎症などが起きてから数時間で増え始め、数値の上昇までに半日程度かかる。また、一度上昇すると薬が効いたとしても数値が下がるまで24時間程度を要するため、発症すぐの場合や治癒直後には指標とならない。

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CRPが基準値より高い場合、考えられる病気とは?

CRPは病原体の推測、炎症の程度を推測するための指標となるが、炎症や細胞組の織破壊している場所を特定することはできない。そのため、他の血液検査の項目の値や、他の検査の検査結果を照らし合わせて、総合的に判断する。

数値が高い場合に疑われる病気は、細菌性感染症、膠原病などの「炎症性疾患」を考える。これ以外に心筋梗塞やがんなどで上昇することがある。

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数値が高い!と焦る前に… 知っておきたいこと

CRPの値は風邪や胃炎、虫歯、やけどや骨折などの外傷で上昇し、これらが完治すれば数値は元に戻る。もしも検査で高い数値が出たら、まずは自身の身体の状態をよく観察することが大切だ。炎症や感染症などの場合、多くは発熱や不快感などの症状が伴っている。もしまったく自覚症状がないのに数値が基準値を上回ってしまったら、より詳細な検査を受けるとよいだろう。また、過度のストレスによって数値が上がるケースもある。とくに健康診断などの場合、空腹感や緊張などでストレスを抱えることも多い。なるべくゆったりとした気持ちで検査に臨みたい。

このように、数値を見ても判断が難しいCRP。他の数値と照らし合わせ、身体の症状と併せての診断になるので自己診断は危険だ。基準値から外れた場合は医師の診断を仰ぐことをおすすめする。

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上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部