2017.6.8
肝臓がんの腫瘍マーカー「AST」「ALT」

肝機能検査で「AST(GOT)」と「ALT(GPT)」の数値が高かった場合はどうすれば?

肝臓に疾患がある場合に、血液中で上昇する物質「AST(GOT)」と「ALT(GPT)」


「CRP」「γ-GDP」「AST」「ALT」は、人間ドックで肝臓を検査する際に判断材料となる血液中の物質である。これらは炎症や肝臓の病気がある場合に、肝臓で生成され、血液中で上昇するため、肝臓系検査に利用されている。

肝臓は病気があっても痛みを伴わない臓器として有名で、自覚症状が出にくい。そのため、人間ドッグなどで定期的に血液検査による肝臓系検査を行うことは重要だ。今回は、「AST(GOT)」と「ALT(GPT)」に着目。数値の読み解き方や、異常があった場合の対処法について解説する。

「AST(GOT)」と「ALT(GPT)」が上昇する仕組みと疑われる疾患

「AST」と「ALT」は、どちらもタンパク質を分解してアミノ酸をつくる酵素である。ALTはほとんどが肝臓に存在するが、ASTは肝臓だけでなく心臓や赤血球、腎臓、筋肉などにも存在する。つまり、ASTとALTの両方が血液中で上昇している場合には肝臓の病気が疑われるが、ASTのみ上昇している場合には心筋梗塞や筋肉の破壊を疑う。

肝機能検査で「AST(GOT)」と「ALT(GPT)」の数値が高かった場合のチェックポイント

人間ドッグでASTと ALTの上昇を指摘された場合には、以下のことを振り返ってほしい。

  • アルコールを過剰摂取していないか
  • 肥満ではないか
  • 最近内服を始めた薬やサプリメントなどがないか
  • 過度な運動を行っていないか
  • アルコールの過剰摂取や肥満、薬剤の副作用による肝機能障害が原因で、ASTとALTの上昇を認めることがある。ASTのみの上昇の場合には、筋肉トレーニングによる筋肉の破壊などの影響の可能性もある。

    肝機能検査で「AST(GOT)」「ALT(GPT)」の数値が高かった場合に実施する精密検査

    AST、ALTに影響がありそうな生活習慣が思い当たらない場合には、肝臓の機能障害を引き起こす疾患がないかどうか精密検査を行う。人間ドッグで数値の異常を指摘された場合には、なるべく早く医療機関を受診した方がよい。

    より詳細な肝機能検査を行うための追加採血に加えて、超音波検査やCT検査などの画像検査を行うことが多い。超音波検査は、肝臓や胆のう、腎臓などを調べるのに適した検査で超音波がはねかえることによって得られる画像で炎症や出血、腫瘍などがないか判断する。CTは、放射線を使用しながら全身の臓器を輪切りにしたような画像を得ることができ、超音波ではわからなかった病気も確認できることがある。

    肝機能検査「AST」「ALT」の数値を上げないために

    生活習慣を見直すことで、ASTと ALTは改善する可能性がある。アルコール摂取や肥満、薬剤による肝機能障害が疑われる場合には、禁酒、減量、疑わしい薬やサプリメントの中止を行うべきである。

    また、B型肝炎ウィルスやC型肝炎ウィルスに感染している場合にも、肝機能障害が発症し、ASTとALTが上昇することがあるので、感染の有無を調べる必要がある。最近では肝炎ウィルスに対して効果の高い薬もあるため、早めに医療機関を受診して治療を開始するとよい。

    ASTとALTは、アルコールや肥満、薬剤、肝炎ウィルスによる肝機能障害のときに血液中で上昇することがある。また、肝臓や胆道系のがんの場合にも上昇する。もしASTのみの上昇であれば、筋肉の破壊によるものの可能性があるが、思い当たる生活習慣がない場合、または経過観察しても数値が改善しない場合には、医療機関での早急な精密検査が必要だ。


,

Colorda編集部