石川県金沢市みずき1丁目3-5
石川県金沢市古府1-150
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金沢市は石川県の県庁所在地です。加賀百万石で知られる加賀藩の城下町として栄えてきた都市で、現在でも歴史を感じる街並みが多く残っています。1889年の市政施行によって金沢市となり、1996年に中核市へ移行しました。中核市とは、地方自治法に基づき政令によって指定される、人口20万人以上の市を指します。2021年現在、62市が指定されています。
2021年9月現在の人口は約45.0万人(住民基本台帳による)です。国勢調査によれば、金沢市の人口は増加基調にありましたが、近年の増加率は減少してきています。なお、日本全体のピークは2008年、石川県全体のピークは2001年です(いずれも国勢調査をもとにした推計人口)。国立社会保障・人口問題研究所の2018年時点の推計によれば、金沢市の人口は2020年をピークに減少に転じるとされており、2020年国勢調査(速報値)と照らし合わせると、増加率の鈍化から過渡期の可能性が考えられます。また、2045年の人口は約43.0万人に減少すると推計されています。
金沢市の2021年9月1日現在における金沢市の65歳以上の高齢者人口は約12.2万人で、高齢化率は27.1%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、金沢市の高齢化率は全国よりもやや低いと言えます。多くの地方自治体同様、人口が減少傾向であるのに対して、高齢者の人口はやや増加しています。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
下記は、金沢市の平均寿命と健康寿命、およびその差です(カッコ内は全国平均)。平均寿命と健康寿命との差(不健康である期間)が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
平均寿命※2015年 | 健康寿命※2016年 | 不健康である期間 | |
---|---|---|---|
男性 | 81.2歳(80.8歳) | 79.65歳(72.14歳) | 1.55年(8.66年) |
女性 | 87.4歳(87.0歳) | 83.51歳(74.79歳) | 3.89年(12.21年) |
2016年現在の健康寿命は、男性79.65歳、女性83.51歳で、男女とも全国平均を上回っています。着目したいのが不健康である期間です。全国平均は男女ともに10歳前後であるのに対して、金沢市では男性1.55歳、女性3.89歳と全国平均より短く、言い換えれば健康で過ごせる期間が全国平均より長いことがうかがえます。金沢では「健康寿命を延伸する健康都市・金沢」を基本理念に掲げ「金沢健康プラン2018」を策定しています。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、金沢市と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
---|---|---|---|---|---|
金沢市※2019年 | 悪性新生物(がん)27.4% | 心疾患15.3% | 老衰8.0% | 脳血管疾患7.9% | 肺炎6.5% |
日本全体※2019年 | 悪性新生物(がん)27.3% | 心疾患15.0% | 老衰8.8% | 脳血管疾患7.7% | 肺炎6.9% |
金沢市の死因順位は日本全体と同じです。3位の老衰は日本全体を0.8ポイント下回っており、日本全体との差がややみられますが、そのほかの死因の割合は日本全体とほぼ変わりません。また、三大疾病(がん、心疾患、脳血管疾患)で亡くなる割合は50.6%であり、こちらも日本全体の死因における三大疾病が占める割合(50.0%)と大きな開きはありません。金沢市、日本全体いずれもがんによる死亡が3割程度と最も高く、日頃からがん予防を意識することが重要と言えます。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
金沢市が実施しているがん検診の種類と費用は下記の通りです。太字は、金沢市独自の取り組みです。
種類 | 検査項目 | 対象者:すこやか検診(個別) | 対象者:集団検診 | 費用:すこやか検診(個別) | 費用:集団検診 |
---|---|---|---|---|---|
胃がん | 胃部X線検査(バリウム)または胃内視鏡検査(胃カメラ) | 50・55~70・72・74歳 | 40歳以上 | 1,500円 | バリウム:500円 |
子宮頸がん | 子宮頸部細胞診、内診、ヒトパピローマイルス(HPV)検査※HPV検査は必要な方のみ | 20~60歳で前年度未受診の女性 | 20歳以上で前年度未受診の女性 | 1,100円 | 700円 |
肺がん | 胸部X線検査、喀痰検査、ヘルカリCT検査※ヘルカリCT検査は個別のみ。胸部X線検査のどちらかを選択可能 | 40・45・50・55~74歳※ヘルカリCT検査は55・60・65歳 | 40歳以上 | ・X線:800円・喀痰:500円・ヘルカリCT:1,500円 | ・X線:100円・喀痰:300円 |
乳がん | マンモグラフィ | 40~67歳で前年度未受診の女性 | 40歳以上で前年度未受診の女性 | 700円 | 500円 |
大腸がん | 便潜血検査 | 40・45・50・55・57・59・61~70・72・74歳 | 40歳以上 | 500円 | 300円 |
前立腺がん | 血液検査(PSA値) | 55~75歳の奇数年齢の男性 | 55歳以上男性 | 400円 | 400円 |
金沢市のがん検診は、基本的には厚生労働省の指針に沿っています。すこやか検診(個別検診)と集団検診で費用や対象年齢が細かく設定されているのが特徴的です。すこやか検診は勤めていない金沢市民などが対象、集団検診は金沢市民が対象者です。市独自の取り組みとして、肺がん検診では55歳、60歳、65歳を対象にヘリカルCT検査(肺がんをより高精度に調べられる検査)を実施しています。また、国の指針には含まれていない前立腺がん検診を実施しており、55歳以上の男性は400円でPSA検査を受けることができます。
金沢市では、がん検診の無料クーポンは発行していません。集団検診は、個別検診よりも費用を抑えて検診を受けることができます。
また、次の方は無料でがん検診を受診することができます。
・70歳以上の方 ・65~69歳で一定の障害のある方 (身体障害者手帳1~3級など) ・後期高齢者医療保険証を持っている方 ・障害者医療費受給者証をお持ちの方 ・生活保護受給世帯に属する方 ・市民税非課税世帯に属する方(受診日時点)
詳細は金沢市のサイトを参照してください。
下記は、金沢市が実施した2015年度から2019年度の各がん検診の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 2.1% | 14.9% | 11.4% | 15.8% | 11.1% |
2016年度 | 13.7% | - | 10.7% | 17.1% | 9.8% |
2017年度 | 18.0% | - | 10.1% | 17.7% | 9.2% |
2018年度 | 16.7% | 13.3% | 9.4% | 17.2% | 7.7% |
2019年度 | 15.6% | 12.9% | 8.9% | 17.1% | 7.4% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
金沢市のがん検診受診率は、子宮頸がん検診と大腸がん検診を除いて日本全体を上回っています。とくに2019年度の金沢市の胃がん検診受診率(15.6%)は日本全体(7.8%)の2倍です。しかしながら、乳がんを除くほとんどの検診で年々低下傾向にあり、これは日本全体においても同様の傾向です。
受診率の低下は、2016年度に地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことや、がん検診に関する行政サービスに変更があったことも関係していると考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、金沢市では次のような取り組みを行っています。
・女性に配慮したがん検診受診体制を提供 レディース検診日(女性のみを対象とした受診日)を設定したり、集団検診の会場で利用できる保育サービスを提供したりしている。いずれも検診期間中の一部日程で実施。保育サービスは費用無料、検診の5日前までに電話予約が必要。
・肺がん検診でのヘリカルCT検査の実施 肺がん検診にヘリカルCT検査が追加され、対象は55・60・65歳の方で従来通りの胸部レントゲンかCT検診のどちらかを選択できる。ヘリカルCTのメリットとして、より短時間で高精細な画像を低線量で撮影することが可能。
・胃がんリスク検診の実施 胃がん検診ではどこにも勤務していない金沢市の75歳を対象に、胃がんになる前に見つかることがある萎縮性胃炎を調べるペプシノゲン検査(血液検査)を無料で実施。萎縮性胃炎になると、ペプシノゲンと呼ばれる物質が血液中から減少するため、血液検査によってこの物質の濃度を計ることで萎縮性胃炎を見つけて胃がんのリスクの評価に役立てる。
・子宮頸がんにおけるHPV(ヒトパピローマウイルス)検査の実施 子宮頸がん検診では子宮の液状細胞検査においてHPV(ヒトパピローマウイルス)感染が疑われる方を対象に、すこやか検診(個別検診)においてHPV検査を実施。HPVは人の皮膚や粘膜に感染するウイルスで、おもに性交渉で感染する。子宮頸がんの前がん病変ではほぼ100%にみられ、子宮頸がんの危険因子のひとつとされている。
金沢市では、基本的な人間ドックの補助や助成は行っていませんが、金沢市にお住まいの国民健康保険被保険者を対象に、脳ドックの費用が一部助成されます。助成内容は下記の通りです。
【助成対象者】 金沢市在住の国民健康保険の被保険者で、保険料を完納している世帯に属する40歳以上74歳以下の方(当該年度の3月31日までに満40歳になる方を含む)
【助成額】 7割相当の23,530円(自己負担額10,080円)
【助成定員】 400名(申し込みが多数の場合は抽選)
脳ドックまでに必ず金沢市特定健康診査(すこやか検診または集団検診)を受診し、受診結果を持参してください。なお、下記の項目に該当する方は脳ドックを申し込むことができません。 ・過去5年間に、金沢市の脳ドック助成制度を受けた方 ・脳疾患で医療機関を受診している方 ・心臓にペースメーカーをつけている方や手術などで体内に金属性のものが入っている方
「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。
審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。
全国で390以上の施設が認定されており、このうち金沢市内の機能評価認定施設は2021年9月現在で3施設あります。
マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。
金沢市では、「健康寿命を延伸する健康都市・金沢」、「地域まるごと健康都市・金沢」をスローガンに掲げて地域ぐるみで健康づくりに取り組んでいます。
・運動の習慣化を促す「わたしの健康ポイント事業」の実施 おもに健康増進を目的とした、運動習慣化を促すためのポイント制度。1万歩以上歩いた日に2ポイント、対象の健康教室などに参加するごとに1ポイントがもらえるといったシステム。健康診査の受診などでボーナスポイントが付与される。貯めたポイントに応じて市内の協賛店舗で使用できるクーポン券などが配布される。
・フレイル予防事業 フレイルとは、年をとって心身の活力(筋力、認知機能、社会とのつながりなど)が低下した虚弱な状態を指す。東京大学高齢社会総合研究機構と「高齢者の健康づくりの推進に関する連携協定」を締結し、同大学が提供するフレイル予防プログラムにもとづいた高齢者のフレイルチェックやフレイル予防講座を行っている。
・「いいね金沢健康体操」の普及 足腰の筋力とバランス能力を高めることを狙いとして作られた体操。「ふれあい音頭いいね金沢」にあわせ体操できるように振り付けられている。市民を対象にDVDやリーフレットを区役所、健康センターなどで配布。
※本記事は2021年9月時点の情報を元に作成しています。