岡山県岡山市中区倉田567-1
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岡山市は岡山県の県庁所在地で、2005年に旧岡山市と御津町・灘崎町が合併、2007年にはさらに建部町・瀬戸町が合併し、70万人都市としての新・岡山市が誕生しました。その後、2009年に政令指定都市に移行しました。政令指定都市とは、地方自治法に基づき政令によって指定される、人口50万人以上の市を指します。2021年現在、20市が指定されています。
2021年6月現在の人口は約70.6万人(住民基本台帳による)です。国勢調査によれば、岡山市の人口はゆるやかながら増加を続けてきましたが、ここ数年は横ばいの状態が続いています。なお、日本全体のピークは2008年、岡山県全体のピークは2004年です(いずれも国勢調査をもとにした推計人口)。国立社会保障・人口問題研究所の2018年時点の推計によれば、岡山市の人口は2020年に約72.5万人でピークを迎えるとされていましたが、実際にはそこまで到達しないまま方向感のない状態となっています。なお、同推計によれば、2045年には約68.4万人に減少するとされています。
2021年6月現在における65歳以上の高齢者人口は約21.0万人で、高齢化率は26.3%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、岡山市の高齢化は日本全体よりも比較的ゆるやかに進行していると言えます。これは、人口のピークが日本全体より少なくとも10年以上遅れているためと考えられます。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
下記は、岡山市の平均寿命と健康寿命、およびその差です(カッコ内は全国平均)。平均寿命と健康寿命との差(不健康である期間)が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
平均寿命※2015年 | 健康寿命※2016年 | 不健康である期間 | |
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男性 | 81.5歳(80.8歳) | 71.65歳(72.14歳) | 9.85年(8.66年) |
女性 | 87.9歳(87.0歳) | 74.42歳(74.79歳) | 13.48年(12.21年) |
2016年現在の健康寿命は、男性71.65歳、女性74.42歳で、これは政令指定都市20市のうち男性14位、女性9位です。全国平均と比較すると男女ともに不健康である期間が1歳以上長い結果になっています。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、岡山市と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
---|---|---|---|---|---|
岡山市※2018年 | 悪性新生物(がん)27.5% | 心疾患15.1% | 老衰8.3% | 脳血管疾患7.7% | 肺炎6.3% |
日本全体※2019年 | 悪性新生物(がん)27.3% | 心疾患15.0% | 老衰8.8% | 脳血管疾患7.7% | 肺炎6.9% |
岡山市の死因順位は日本全体と同じ並びとなっています。ポイント数についても、すべての項目でほぼ日本全体と同水準です。死亡原因については日本におけるごく一般的な動態を見せていると言えます。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
岡山市が実施しているがん検診の種類と費用は下記の通りです。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 | 費用 |
---|---|---|---|---|
胃がん | 問診、胃部X線検査(バリウム)または胃内視鏡検査(胃カメラ) | 50歳以上 | 2年に1回 | ●バリウム・個別70歳未満 3,370円70歳以上 1,130円・集団70歳未満 1,050円70歳以上 500円●胃カメラ(個別のみ)70歳未満 4,810円70歳以上 1,540円 |
子宮頸がん | 視診、子宮頸部細胞診、内診 | 20歳以上女性 | 2年に1回 | 70歳未満 2,220円70歳以上 720円 |
肺がん | 胸部X線検査、喀痰検査※喀痰検査は50歳以上かつ喫煙指数 600以上 | 40歳以上 | 年1回 | ・集団:無料・個別70歳未満 500円70歳以上 310円※喀痰検査は別途 |
乳がん | マンモグラフィ、視触診 | 40歳以上女性 | 2年に1回 | 500円 |
大腸がん | 便潜血検査 | 40歳以上 | 年1回 | 70歳未満 1,170円70歳以上 410円 |
岡山市のがん検診は、基本的には厚生労働省の指針に沿っています。
岡山市のがん検診の無料クーポンは下記の通りです。
種類 | 対象者※年齢は当該年度4月1日時点で判定 | 無料になる検査項目 |
---|---|---|
子宮頸がん | 21歳女性 | 問診、視診、子宮頸部細胞診 |
乳がん | 41歳女性 | 問診、視触診、マンモグラフィ |
また、次の方は無料でがん検診を受診することができます。 ・後期高齢者医療保険証を持っている方 ・生活保護受給世帯 ・市民税非課税世帯
下記は、岡山市が実施した2015年度から2019年度の各がん検診の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 5.0% | 14.3% | 8.6% | 13.1% | 9.0% |
2016年度 | 9.1% | 11.5% | 8.1% | 13.4% | 6.7% |
2017年度 | 7.7% | 10.8% | 7.8% | 14.6% | 6.4% |
2018年度 | 6.9% | 11.0% | 7.6% | 16.4% | 6.2% |
2019年度 | 6.5% | 11.2% | 7.2% | 17.5% | 6.0% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
岡山市のがん検診受診率は、肺がんを除くすべての検診で日本全体を下回っています。とくに、胃がん・肺がん・大腸がんの検診受診率は年々低下しています。しかしながら、乳がん検診の受診率は、日本全体の受診率とは対照的に、年々上昇しています。次の項でも紹介しますが、岡山市では2016年から「ワンコイン検診」として、それぞれ自己負担金500円で乳がん・肺がん検診を受診できる施策を開始しています。岡山市の考察によれば、ワンコイン検診導入により中高年のがん検診受診率が向上したとしており、この施策が岡山市における乳がん検診受診率を押し上げている主因のひとつと考えられます。
日本全体のデータにおいて、2016年度から一部の受診率が顕著に低下している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、岡山市では次のような取り組みを行っています。
・肝炎ウイルス検査の実施 肝硬変や肝臓がんの発症リスクとなる肝炎ウイルスの早期発見と早期治療を目的とした、肝炎ウイルスの検査を実施。41・46・51・56・61・66歳の岡山市民で過去に肝炎ウイルス検診の受診歴がない方に、無料券が送付される。
・ワンコイン検診 肺がん検診や乳がん検診について、自己負担額500円(ワンコイン)で受診可能にし、検診受診を促進した。実際、中高年の検診受信率が向上した。
・コール・リコール 各種がん検診の未受診者や無料クーポン未使用者に対し、ハガキなどで受診を促す連絡を実施している。
・啓発活動 「けんしんガイド」など独自の資料や冊子を作成し、全戸配布を行なっている。がん検診んの認知度向上や受診率の向上を目指し、企業や団体と協力しながら様々な啓発活動を行なっている。過去にはショッピングモールにおいてパネル展を行なった実績もある。
岡山市では、人間ドックの補助や助成は行っていません。
「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。
審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった人間ドックの健診施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。
日本人間ドック学会が審査した機能評価認定施設は、全国で410以上の施設が認定されており、このうち岡山市内の2023年8月現在の機能評価認定施設は6施設あります。
マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。
岡山市は、2022年度、平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加を目標に掲げています。健康寿命の延伸に向け、市民の健康への意識づくり、行動変容、環境づくりの3つを基本方針に、さまざまな取り組みを行っています。ユニークな取り組みを紹介します。
・おかやまケンコー大作戦 運動や食事など健康増進につながる行動や、検診の受診などを行うことでポイントを貯める活動。市内のスポーツジムや公民館などでの活動が対象となる。貯めたポイントを利用し、商品券や健康器具、日用品などの特典と交換することができる。
・まちなか健康スタンプラリー 市内に設置されたスタンプラリーのスタンプポイントを回ってスタンプを集めるイベント。スタンプが集まると、商品が当たる抽選に参加できる。
・かるうまレシピコンテスト 減塩をテーマにしたレシピを公募し、優秀なレシピを選ぶイベント。入賞者のレシピ集を作るなど、家庭での活用に向けた取り組みも積極的に行われている。
※本記事は2021年6月時点の情報を元に作成しています。