腫瘍マーカー – CEA
腫瘍マーカーCEA検査とは?
身体にがんができると、体内に特殊なたんぱく質を作り出します。このうち、体液中に存在し測定可能なものを腫瘍マーカーといいます。CEAとは、腫瘍マーカーのひとつで、血液検査によって調べます。
腫瘍マーカーCEA検査の目的
もともとCEAは胎児の腸にみられるたんぱく質で、大腸がんに特化した腫瘍マーカーといわれていました。その後、胃がんなど消化器系のがんや、肺がん、乳がんなどそのほかのがんでも、CEAが増加することが確認されています。CEAを調べることは、特定のがんを診断するためではなく、病気の進行や治療効果を確認するのに役立ちます。
CEAで確認する病気
CEAを確認する病気には以下のものがあります。
●大腸がん
●胃がん
●膵がん
●肺がん
●乳がん
●前立腺がん
●膀胱がん
●潰瘍性大腸炎
●肝炎
●肝硬変
●膵炎
等
腫瘍マーカーCEA検査の見方
CEAの基準値は、5.0 ng/ml以下となります(日本消化器外科学会、日本肺癌学会より)。CEAが基準値よりも高い場合は、がんやそのほかの病気の可能性が考えられます。
腫瘍マーカー – CEAの長所/短所
CEAを調べるには、採血で手軽に行うことができます。医療機関によっても異なりますが、検査結果は採血から通常1時間半程度で結果を確認できます。
CEAの検査はがんだけでなく、肝炎や膵炎、甲状腺機能低下症、喫煙者でも数値が上がります。
また、人によっては注射針による痛みを苦痛に感じることがあるかもしれません。採血で極度にストレスを感じると、副交感神経が緊張して、まれに冷や汗、低血圧、顔面蒼白、吐き気などの症状が現われることがあります(「迷走神経反射」といいます)。
採血では、消毒綿や手袋、注射針のなどの物品を使うため、アレルギーを起こす可能性もあります。特に、アレルギーでよくみられるのが、感染予防に使用されるアルコール綿です。アレルギーに心当たりのある人はあらかじめ、採血を担当する医療スタッフに伝えるようにしましょう。
また、採血の手技によっては神経損傷が生じることがあります。神経損傷は、注射の針先が神経に触れることで起こります。採血時にピリッとした刺激を感じたときは、採血の担当スタッフに伝えるようにしましょう。採血による神経損傷の多くは、2~3ヵ月で自然に治ります。
なお、採血後には、アザなど皮下血種ができることがありますが、数日以内で自然に吸収されます。
腫瘍マーカー – CEAの流れ
CEAを調べるには、採血が行われます。ここでは、腕からの採血の具体的な流れについて説明します。
1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。
この記事の監修ドクター
マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)