大腸がん
大腸がんとは?
欧米食文化が進んだことで、日本人の大腸がん罹患率は急増しています。厚生労働省の「人口動態統計」によると、2017年には約5万人が大腸がんで死亡しました。がんの部位別で死亡順位を見ると、男性で第3位、女性で第1位とどちらも上位を占めるがんです。
大腸がんの種類
大腸は全長約2mあり、その中でどこにがんが発生するかで名称が異なります。また、発生率も異なります。
(出典:国立がん研究センター「大腸がん検診ガイドライン」)
圧倒的に直腸とS状結腸にがんが発生しやすいことがわかります。これは、直腸やS状結腸は便が溜まりやすい部位と考えられるからです。
大腸がんの症状
大腸がんは初期段階で自覚症状がないと言われています。進行すると血便が出る、下痢と便秘の繰り返しになるなどの症状がみられます。また、体重の減少や貧血などの症状も特徴です。その中でも血便は、大腸がん検診でも早期に大腸がんを見つける方法として応用されています。ただし、血便は痔や大腸内の良性腫瘍でも検出されることがあります。
大腸がんの原因と予防法
大腸がんは欧米食文化の進行とともに罹患率が急増してきた病気です。肉中心の食生活で高脂肪の食品の摂取が増え、野菜や果物などの摂取が減ったことが関係していると考えられています。
また、大腸内にポリープができている場合、ポリープが成長して1cm以上になるとがん化する可能性が高くなるといわれています。ポリープを検査する大腸内視鏡検査と同時に切除して、生検に出すのが一般的です。
さらに、家族に大腸がんになった人がいる場合はリスクが高まるとされているため、年1回の定期的な大腸がん検診がカギと言えるでしょう。
大腸がんになりやすい人
次の生活習慣がある人は注意しましょう。
●家族に大腸がんになったことがある人
●運動不足
●食生活の欧米化
●過度な飲酒
●喫煙者
大腸がんの病期(ステージ)別生存率
各ステージの5年相対生存率は以下のようになっています。ステージが低いほど、つまり早期発見であるほど大腸がんの5年生存率は高くなっています。
ステージ 5年相対生存率
※出典:全国がんセンター協議会の生存率共同調査(2019年3月集計)
大腸がんの罹患率と死亡数
国立がん研究センター「がん登録・統計」の2014年の統計によると、大腸がんの罹患数は13万4453人で、これは全部位のうち約15.5%にあたります。
また、厚生労働省「平成29年(2017)人口動態統計」によると、がん(悪性新生物)による死亡数は37万3334人、うち大腸がんによる死亡数は5万681人で全体の約13.5%にあたります。
大腸がんの検査
大腸がん検診では主に便潜血反応検査や大腸内視鏡検査を行います。
便潜血検査
便潜血反応検査とは便の中に血液が混在していないかを調べる検査です。一般的には便を2回採取します。基準は陰性(-)ですが、血液が混在していると陽性(+)になります。この場合、大腸がんや大腸内の腫瘍、炎症が疑われます。目に見えないレベルの出血でも発見できます。
「便潜血検査」についてもっと詳しく見る→
大腸内視鏡検査
肛門から内視鏡を入れて、大腸内の粘膜をみる検査です。検査前に下剤を服用するか、食事制限で大腸内を空にする必要があります。大腸粘膜を視認するため、大腸がんを発見しやすいです。もし、病変を発見したら内視鏡で切除し、組織検査に回し詳しい検査に応用します。
「大腸内視鏡検査」についてもっと詳しくみる→
また、これらの検査以外に大腸CT検査を実施することもあります。肛門から炭酸ガスを入れ、大腸を膨らませた状態で、CT撮影をおこなうことで、がんにみられやすい「隆起状」の病変の発見に応用します。
大腸がん検診が受診できる医療施設を探しましょう。予約数が多い施設から探す「予約数順から探す」、
エリアから探す「都道府県で医療施設を探す」「プランを詳細検索する」の3つの切り口から探すことが出来ます。
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)